「運命の瞬間」
柔らかな陽が、真一の夢を途切れさせた。
外は、昨夜から降り続けた雪が一面を覆っている。
陽に反射し部屋中が銀煌のシャワーを浴びているような爽やかさだ。
甘い香りが部屋を充満させていく・・・・
「真一・・・・もう朝よ。」
「・・・・え・・・・ぁ・・・ああ・・・そうか・・・・」
由紀が、真一の寝るベッドに足を運んだ。
欠伸をする真一の頬に由紀はキスをした。
「早く起きなさい。・・・紅茶を入れたわ。」
「・・・ああ・・・・・わかった。」
真一は、由紀に起こされベッドから降りた。
ワンルームマンションの由紀の部屋は、
シンプルではあるが、極力、必要最小限に抑えられた家具と
マホガニーのクラッシックテーブルがセンスよく置かれている。
椅子は二つ・・・
テーブルの上には、由紀が入れたイングリッシュ・ブレックファストティーが
スワンの大きなカップに注がれ熱い湯気を立てていた。
イングリッシュ・ブレックファストティーは、
朝の起きぬけにぴったりの紅茶だ。
色濃く出るお茶には強いコクがあるので、
ミルクをたっぷり加え、英国式に飲むと美味い・・・・・
真一は、由紀と向かい合って座ると入れたての紅茶に口をつけた。
「・・・・・美味い・・・・」
「目が覚めるでしょ。」
「ああ・・・・・」
川田真一、33歳
6年前、妻と死別し中学生になる娘と自分の母親の3人暮らしだ。
真一は、個人で建築設計事務所を構えていた。
崎村由紀、33歳
4年前に離婚し、現在は、骨董食器を扱うショップを経営していた。
二人が、出会ったきっかけは、由紀が骨董食器の店舗を
建築するため真一の設計事務所を訪れたのが始まりだった。
2年前
3月というのに雪が降っている日だった。
一人の女性が、ドアを開けて事務所に入ってきた。
被っている帽子に雪が付いている。
(外は、雪か・・・・)
《あのぉ・・・・はじめまして・・・・突然・・・・・すいません。》
真一は、にっこりと笑いながら返答した。
《設計の依頼ですか?》
《え・・・ええ・・・そうです。》
《では、どうぞ・・・中へお入りください。》
真一は、女性を奥の応接室に招き入れた。
《そうですか、食器の骨董を・・・・・》
《はい・・・・好きなんです。》
《何か理由が?》
《ええ・・・母が、骨董好きだったんですけど・・・母は、
西洋の骨董に興味を持っていて・・・父と知り合ったのも
骨董が縁だったんです。それで、私も小さいころから書籍などを
読んでいるうちに、だんだんと興味を持ち始めて・・・・・》
《なるほど・・・そうですか・・・ん?・・・そのネックレスも?》
真一は、女性の首に掛かるアンティークなネックレスに繋がれた切手大のプレートを指差して尋ねた。
《これは、私の父が母に送ったものなんです。母の形見なんですけど、
すごく気に入ってて大事にしてるんです。これを見てると落ち着くんです。》
《ほぉー・・・形見なんですか・・・つまり、ご両親は・・》
《旅行中、事故でなくなったんです。》
《そうでしたか・・・失礼なことを聞いてしまいました。》
《いえ・・・気になさらないで・・・昔のことです。》
《・・・しかし、素敵なデザインですね。》
真一の言葉に女性は素直に喜んだ。
銀プレートには何やら絵が彫られている。
《ヴィクトリア時代のジュエリーなんですけど・・片割れなんです。》
《ジョージアンですね・・・》
《よく、ご存知ですわね。》
《ハハ、一応、仕事柄、芸術的なことには興味がありまして・・・で、片割れとは?》
《このプレートは対なんだそうです。もう片方は、父も亡くなるまで必死に
捜し求めていたんですけど。どうしても手に入らなかったそうなんです。
つまり、もう片方のプレートをくっつけなければ、絵の正体は判らないんです。》
《そうなんですか。・・・・あ、失礼しました。
それで、どういうお店を構想していますか?》
黒縁の眼鏡をかけ深く被った帽子の奥から恥ずかしそうな視線を
真一に向けると、バッグの中から一冊のノートを取り出した。
《・・・あのぉ・・・・私、イラストを書いてきたんです。見てくれますか?》
《拝見しましょう。》
真一は、由紀から手渡させたノートを受け取った。
鉛筆で書かれたシンプルな絵であるが、見ただけで彼女のイメージが
判断できるほどの繊細かつ詳細に書かれた店のイメージ画に感嘆していた。
《絵が上手なんですね。》
《いえ・・・そうでも・・・》
《で・・・ご予算は?》
由紀は、金額を真一に伝えた。
《なるほど、十分ですね。 数点サンプルを作っておきましょう。》
《・・・え?・・・・あの・・・それだけですか?》
《それだけとは?》
《あの・・・よく判らないのですが・・・その、使用する材料とか。色とか・・・》
真一は、由紀を見て笑顔で頷いた。
《この絵を見ただけで、貴方が作りたいお店が目に浮かんでくるんです。》
《・・・・・・・》
《2週間ください。必ず気に入っていただけるイメージ図を作っておきます。
それから、あなたが選び設計という形にもっていきましょう。いかがです?》
《わかりました。・・・どうかよろしくお願いします。》
由紀は、そう言って真一の事務所を後にした。
その10日後だった。
別件で他の客と会っていた真一は、用を済ませた後
久しぶりに出てきた駅前の繁華街で食事を採ることにした。
デ・コルタというJR駅地下の洋食屋に足を運んだ。
この店は、結婚前、付き合っていた妻とよく来た店だった。
真一は、カウンター席の一番奥に座った。
ちょうどテーブル席から死角になり、
真一にとっては落ち着けるお気に入りの場所だった。
席に着くと真一は、まずメインディッシュの前に食前酒として
サミュエルスミス・テディポーターを注文した。
サミュエルスミス・テディポーターは、イギリスの黒ビールだ。
泡立ちもしっかりしており、味も良い。
イギリスの黒ビールというとスタウトに行きがちだが、
ポーターの方が真一にとっては馴染みやすい香りだった。
真一は、テディポーターを一気に喉に流し込んだ。
《ふぅぅー・・・・美味い・・・》
一仕事終えた後のビールは最高だった。
空腹の胃が、心地よく歓喜しているという感じだ。
真一は、すぐに山羊肉の燻製とジョンブル・ビターを注文した。
山羊肉の燻製は、真一の大好物なのだが、少々脂癖が強かった。
しかし、ジョンブル・ビターが、それを中和してくれるのだ。
ジョンブル・ビターは、一口飲むと、やや薄い感じのするエールだが、
肉類との愛称は抜群だ。肉の脂っぽさを上手く緩和してくれるビールなのだ。
真一は、ノートパソコンを開き、過去に設計し完成した建築物の
写真を眺めながら美味そうにビールと燻製を口に運んでいた。
そのとき、真一に視線を送る一人の女性に気がついた。
先ほど、3つ隣に座った客だ。
(・・・・・?)
何気に、その女性に目を向ける真一・・・・・
女性は、真一を見つめたままだ。
《・・・・あのぉ・・・私に何か?》
女性は、真一の言葉に少々間をあけた後、黒縁の眼鏡をはめてにっこりと微笑んだ。
《あ・・・あなたは・・・・・この間の・・・》
《はい・・・崎村です。》
女性は、真一の事務所に店の設計を依頼に来た崎村由紀だった。
《こんなところでお会いするとは思いませんでしたわ。》
《・・はは・・・どうも・・・・あ・・・よろしかったら一緒に、どうですか。》
《え?・・・》
《いや、実は、あなたに依頼されたお店のイメージ画が出来てるんですよ。
このパソコンに入っているので、それを見ながら一緒にどうかなと・・・》
由紀は、これ以上ない笑顔を浮かべると二つ返事で真一の隣に移動した。
真一は、特別な意識を持つでもなく由紀にビールを勧めながら
イメージ画が入ったフォルダを開きサムネイル化した数点の写真を見せた。
《素敵・・・・どれも凄く素敵です。》
《ハハ、よかった・・・・あなたの絵をイメージして作ったんです。
この中で気に入ったものがあれば、すぐにでも設計に取り掛かりますよ。》
由紀は、真一の言葉に喜んだ。
《あのぉ・・よろしければ、ゆっくり選びたいので、
このイメージ画を私に預けてくれないでしょうか?》
《ええ、かまいませんよ。》
真一は、そういうと新品のフロッピーを挿入しその画像をコピーして由紀に手渡した。
《ありがとうございます。》
由紀は、大事そうにフロッピーをバックにしまった。
《川田さん・・・素人の私がこんなことを言うのは失礼かもしれませんが
私のあの絵を見ただけで、理想のイメージ画を作ってしまうなんて
とても信じられません。川田さんって、とてもセンスがあるんですね。》
《いや、あなたの絵が私の脳にイメージさせたんですよ。
あなたこそ、非常にセンスが良いと思っていますよ。》
《・・そ・・・そんな・・・照れちゃうわ。》
由紀は、物腰柔らかい真一の言葉と知的な雰囲気に一気に好感が倍増していった。
その後、二人は、酒も手伝ってか世間話をするかのように、
互いの込み入った話までをも知らず知らずに口にし始めていた。
《・・・・奥様は、病死だったんですか。・・・まだお若いのにお気の毒に・・・》
《まあ、過ぎたことですし今は吹っ切れています。一人娘がいるのですが
おばあちゃんっ子ですし、私は、独身を謳歌していますよ・・・ハハハ。》
真一の屈託のない笑みに由紀も遠慮がちに笑った。
《崎村さんは、家族は?》
《・・・別れたんです。・・・子供もいないんです。》
《え?・・・・離婚したんですか・・・》
《ええ・・・すれ違いが多くて・・・・で、彼が浮気をして・・・》
《なるほど・・・・》
《資産家の家系でしたし・・・慰謝料をぶんどってあげたわ。》
《フハハハハハハッ・・・・なるほど・・・・》
二人は、意気投合したのか更に話は弾んでいった。
《え?・・・・・川田さん、私と同い年なんですね。》
《そういうことになるね・・・・》
笑いあう二人・・・・
いつの間にか、夫婦のような雰囲気になっている。
《崎村さん・・・もしよろしければ向かいのビルの屋上に
プラネタリウムのバーがあるんですが、行ってみませんか?》
《是非ともお付き合いしますわ。》
由紀は、そういって真一の腕に縋りついた。
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《・・・素敵ぃ・・・・》
《でしょう。・・・私もここは気に入ってるんです。》
《よく来るんですか?》
《まあ、仕事で駅近くに来たときは。》
真一は、そう言うと由紀の腰を押して
駆け上がり段に設置された小さなテーブルに腰を下ろした。
《崎村さん、何を飲みます?》
《川田さんにお任せしますわ。》
《いいんですか?》
《ええ・・・》
真一は、注文の煩わしさを考え、ワインをボトルで注文した。
由紀は、プラネタリウムの幻想的な雰囲気に、至極、気分が良いようだ。
ワインを飲みながら星の美しさに見とれていく由紀・・・・
しかし、星以上に真一が自然と醸し出す、
包まれていくような雰囲気に女心を酔わせていた。
そう・・・由紀は真一に好意を持ち始めていたのだ。
真一の瞳に反射する星がその気持ちを一層際立てていく。
由紀は、無性に、そして躊躇いなく真一に抱かれたいと感じていた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
《・・・・ァァァ・・・・か・・・川田さん・・・・・イ・・・イィィ・・・・》
由紀は、真一の首筋に唇を這わせながら、久しぶりの快感に身を満たしていた。
離婚してから4年間、由紀は誰とも関係を持っていなかった。
《・・・・崎村さん・・・・・》
《ァァ・・・由紀・・・由紀って・・・呼んで・・・・》
崎村由紀は、そういって真一を下からしがみついていった。
一方、真一も妻が死んでから、特定の女性は居らず
久しぶりの女性の身体に男としての本能が蘇ってきた。
(・・・この女性の身体は素晴らしい・・・・)
真一は、そう思いながら強烈に腰を由紀に打ちつけていった。
由紀の身体が紅色に染まり始めた。
潤んだ瞳で真一に舌を絡めてくる。
《・・・・ァァ・・・ンムゥ・・・・》
真一は、腰をベッドにつき由紀を起こした。
座位になり、互いが執拗にキスを繰り返していく。
由紀の腰に当てた手に力を入れる度に真一の肉棒を締め上げる由紀・・・
真一は、我慢の限界を由紀に伝えた。
《・・・ァァ・・・ゎ・・・私もイキそうなの・・・・》
由紀は、そういうと真一を押し倒した。
すかさず腰を激しくグラインドさせていく由紀・・・・
《・・・ァァ・・・ンァァァァァァァ・・・・イイ・・・川田さん、イィィィィー!》
由紀の恍惚な表情で真一のボルテージはピークに達した。
《・・・ゆ・・・由紀さん・・・・僕は・・・》
《アァァァ・・・・イィィィ・・・イイのぉー・・・・凄くイィィィィー・・
ウゥゥッ・・・イク・・・イク・・・・ァァァァ・・・イクゥゥゥゥゥーッ!》
由紀の蜜壷が巧みに蠢きながら真一の肉棒を締め上げた。
(・・・グッ・・な・・なんだ・・・この感触は・・・・)
真一は、未だかつて経験したことがない快感で全身を襲われた。
まるで蜜壷の中に襞が無数に発生し、
その一本一本が肉棒に絡み付いているような錯覚を覚える。
真一は、容赦なくそして勢いよく分身を爆発させた。
《・・・ンァァッァァァァ・・・ぁ・・・熱い・・・川田さんのが・・・熱いぃ・・》
由紀は、妖艶な表情で真一を見つめると
スローモーションのように真一の胸に倒れこんでいった。
二人は、確認し合うわけでもなく、いつの間にか3回のプレーをこなしていた。
仰向けに寝る真一を横から見つめながら由紀が小声で囁いた。
《・・・川田さん・・・素敵・・・素敵過ぎる・・・・》
《それは、僕の台詞さ・・・・君の身体は・・・凄い・・・・》
由紀は、真一の腕にしがみついた。
《一応・・・独身同士だから不倫にはならないよね・・・・》
《・・・え?・・・・ぁ・・・ああ・・・そうだね・・・》
《・・・・川田さん・・・・あ・・・あの・・・私・・・・・・》
《・・・ん・・・なんだい?》
《そ・・・その・・・・今日が、会って2回目なのに・・・・
それも、いきなり、こんな風になってしまったんだけど・・・・》
《あ・・・・いや、その・・・・僕は、決して・・・・》
《うぅん・・違うの・・・・そうじゃなくて・・・その・・・・
私・・・・川田さんと・・・・お付き合いを・・・したくて。》
《・・・ゆ・・由紀さん・・・・》
《川田さん、由紀って呼び捨てでいいってば・・・》
真一は、それには答えず身体を反転させて向かい合うと
由紀を強く抱きしめながら唇を重ねていった。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
イングリッシュ・ブレックファストティーを飲み終えた真一は
テーブルから離れてカーテンを開けると窓の外を眺めた。
日が出ているのに雪が舞っている。
「降ってるな。」
ブリーフ一枚だけの姿で、5階から下を見下ろす真一・・・・・
暖房が程よく効いているせいか、特に寒さを感じない。
だが、外の景色と比べると妙に滑稽な感じを受けた。
「大分と積もってるな・・・・昨日から降り始めたのかな?」
「そのようね。」
そういって真一に近づき後ろから抱きついていく由紀・・・・
由紀もショーツと上半身はキャミソールを着ているだけだ。
「由紀・・・もう、丸2年が経つな。」
「そうね。・・・そういえば、私が、真一の事務所を訪れた時も雪だったわ。」
「んむ・・・・そうだったな・・・被っていた帽子に雪が付いていたのを覚えてる。」
「2年かぁ・・・この3月で3回目の春を迎えるってことね。」
「だな・・・・」
身体を密着させたまま、由紀は手を前に回し
悪戯っぽく、真一の肉棒をブリーフの上から握った。
「ククッ・・・由紀・・昨日、あれだけしたのに・・・・」
「だってぇ・・・真一に抱きついたら無性に・・・・・」
そういって背中に唇を這わせていく。
「由紀・・・・君は、今の僕にとってかけがえのない大切な女性だ。」
「フフフッ、菜っちゃんが、やきもち焼かない?」
菜っちゃんとは、真一の一人娘、菜摘のことだった。
「ハハハ、菜摘は、僕よりお袋にべったりさ・・・気が合うんだろう。」
「私にも慣ついてくれてるわよ。」
「ああ、君がくると喜んでくれてるよ。」
「菜ちゃん、可愛いいもの・・・・」
真一は、由紀に振り向くと片手を項に滑らせながら髪をかき上げた。
「フフッ・・・くすぐったいゎ・・・・」
そういって、再度、真一の肉棒をブリーフの上から優しく包んだ。
「・・・・・由紀・・・・結婚しようか。」
その言葉に、由紀の手に力が入った。
「え?・・・・」
「嫌かい・・・・まあ、僕は、このままの関係でもいいんだけど。」
由紀は、うっすらと瞳を潤ませながら、
ブリーフの上に当てていた手を中に進入させ直接肉棒を握り締めた。
「アタタタタッ・・・こら、由紀・・・離せ。」
由紀は、握った肉棒を離さずに真一にキスをした。
「離したくないの・・・・」
「え?」
「これも・・・・真一も・・・・・」
「・・・・」
「2年間、ずっとその言葉を待ってたのよ。」
「・・・・・・ゆ・・・由紀・・・・」
「ね・・・・真一・・・・今からやろうよ・・・・」
「え・・・今から?」
「ええ、そうよ。」
「・・・昨日、3回もしたのに・・・」
「私がしたいのっ!」
「でも・・・・」
「私に奥さんになれって告白してくれた記念日に抱いてくれないなんて不自然よ。」
「なら、今夜、僕の家で・・・・」
「いま、したいの・・・」
由紀は、もう片方の手で真一の腕をつかむと自分の股間に導いていった。
「・・・おっ・・・もう染みてる。」
「お馬鹿っ・・・・ムードないじゃないの真一・・・」
「ハハ、ごめん、ごめん・・・・」
「早くぅ・・・」
真一は、由紀のヒップを引き寄せると
形良く盛り上がる尻丘を下から撫で上げていった。
「ァァァ・・・・真一ぃ・・・・」
「感じてるな・・・ハハハ・・・」
「もう、馬鹿っ・・・・・」
由紀は、甘えた声で拗ねた。
「ね、真一・・・・運命って信じる?」
「え?・・・・」
「私、運命という言葉が好きなの・・・」
「運命?」
「フフッ・・そうよ。・・・離婚したのも運命・・・あなたと出会ったのも運命・・
そして・・・そして、貴方が、私にプロポーズしてくれて・・・・そう・・そして
・・・・・そして、たぶん、貴方の奥さんになるのも・・・・・私の運命なのよ。」
「・・・運命か・・・・じゃ、そうなるであろうことは僕の運命だ。」
「フフフッ・・・」「ハハハハッ・・・」
由紀は、肉棒から手を離すと両手で真一の首にしがみついていった。
ヒップをセクシーにくねらせながら真一の愛撫に合わせていく。
真一の肉棒もいつの間にか固く怒張していた。
「アンッ・・・おなかに硬いのが当たるわ・・・・」
「準備OKだ。」
真一は、そういうと由紀を軽々と抱き上げて真後ろのベッドに移動した。
真一に、早く来てと両手を差し出す由紀・・・・・
真一は、ブリーフを脱ぐと由紀の身体に覆いかぶさっていった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
真一のプロポーズから一週間が過ぎていた。
真一は、建築士協会の推挙でヨーロッパ各国の建築物見学のため一ケ月間、日本を留守にしていた。
(あぁーあ・・・・真一もいないし・・・暇だなぁ・・・)
由紀は、暇潰しに骨董の食器を並び替える作業を終え一息ついていた。
熱いミルクティーを飲みながら、流れる音楽に耳を傾けていると
知らず知らずのうちに居眠りをし不思議な夢を見ていた。
《・・・・アァァ・・・・》
妙な夢だった。
見知らぬ男性が、自分を抱きしめながら口づけをし、
下着の上から亀裂に指を這わせていた。
目を瞑っているため男性の顔は定かではない。
由紀は、その夢の中で男性のベルトを外しチャックを下げている。
すでに怒張した男性の肉棒がブリーフを盛り上げていた。
由紀は、肉棒を握り締めながら自ら舌を絡めていく。
《・・ンゥゥゥー・・・》
男性が、由紀のショーツをずらし指を蜜壷の愛撫を開始した。
《・・・ンゥ・・・アァ・・・ァァ・・・》
男性のもう片方の手が由紀の顎に手を掛かり、
そして、ゆっくりと項の方向に滑らせていく。
《・・・ゥゥ・・ン・・ァァ・・・》
由紀は、甘い声を漏らしながら肉棒から手を離し男性の首に両腕を巻きつけた。
由紀は男性の首に舌を這わせた。由紀は徐々に胸元に移動していく。
そのとき、由紀の唇が男性が付けていたネックレスに繋がるプレートを感じた。
由紀は、ゆっくりと目を開けそれを確認した。
《!・・・あ・・・こ・・・このプレート・・・・・ジョ・・・ジョージアン・・・》
それは、由紀の付けているネックレスのプレートの片割れだった。
由紀は、夢の中でそのプレートの絵を確認しようとしたときだった、
店のドアを開ける鈴音で目が覚めてしまった。
「・・・ぇ・・あ・・・・」
慌てて椅子から立ち上がる由紀・・・・
店に一人の男性客が入ってきた。
「い・・・いらっしゃいませ。」
客は、軽く由紀に会釈をすると店内に並ぶ食器を物色し始めた。
歳は、四十代前半だろうか・・・
どことなく物静かな雰囲気ではあるが、
ミドルチックなセクシーさを由紀は、その男性から感じていた。
男性は、主にカップを手にとって見ている。
(・・・・・何か探しているのかしら?)
しばらく、色々なカップを見ていた男性が由紀に問いかけた。
「すみません・・・・」
「・・・は・・・はい・・・なんでしょう?」
「カップ&ソーサーを探してるんです。何かいいものはありませんか?」
低い声ながらも透き通るような優しい声に
由紀は後頭部に心地よい痺れを感じた。
「え・・ええ・・・色々取り揃えていますけど・・・ご希望は?」
「いえ・・特に・・・これといって・・・貴女のお勧めはありますか?」
「私が・・・ですか・・・」
「はい。・・・これだけいい物を扱っているし、
あなたのセンスに任せたほうが無難のようです。」
男性は、そういって優しい笑顔を見せた。
「・・・そうですか・・・」
由紀は、落ち着かない様子で店内を見渡し男性に答えた。
「・・・・・スプリング・ブロッサム・グリーンの
スタッキング・カップ&ソーサーはどうでしょう。」
「え?」
由紀は、棚から一つのカップを取り出し男性に差し出した。
「クレイジーデイジーとしておなじみの、ひな菊の柄がとてもセンス良くて
私は、お勧めですわ。それに、このカップはとても人気がありますのよ。」
「そうですか・・・」
男性は、それを受け取ると、すぐに由紀に購入を伝えた。
「それでは、そのカップをツインでいただくとします。カードでもいいですか?」
「ええ、もちろんです。」
由紀は、カップを持ってレジに向かった。
後に続く男性・・・・
「どうもありがとうございます。」
「いえ、こちらこそ選んでいただいて・・・・」
男性は、ポケットから皮製のカード入れを取り出し
中からクレジットカードを抜いて由紀に差し出した。
「お預かりします・・お待ちください。」
購入処理をし、男性にカードを返す由紀・・・・
男性は、由紀がカップを包むところをずっと眺めていた。
由紀は、男性の視線を感じながら
カップを丁寧に包み込みセンスのいい紙袋に入れて男性に手渡した。
「どうも・・・・」
男性は、そう言うと、にっこりと微笑んで店を出て行った。
男性の後姿を目で追っていく由紀・・・・・
どうしたわけか、由紀は身体に火照りを感じている。
暑いわけではなかった。
男性が店に入ってきてから、そういう状態に陥っていたのだ。
まるで夢の中の延長のような出来事に由紀は不思議な感覚が一層深まっていった。
(フゥゥー・・・どうしたのかしら・・私・・・)
ふと、レジのカウンターに目を落とすと皮製のカード入れが目に飛び込んだ。
「あ、やだ・・・さっきの人、忘れていってしまったわ。」
慌てて店の外に出る由紀だったが、男性の姿は既になかった。
(・・・・ぁ・・・・・ま、クレジットカードが入ってるし、すぐに取りに来るわね・・・)
由紀は、溜息をつきながら店の中へ入っていった。
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それから、一週間・・・・
男性は、一向にカードを取りに来なかった。
さすがの由紀も心配になり、引き出しにしまっておいたカード入れを取り出した。
由紀は、多少、躊躇ったが、中を見れば名前は確認できる。
ともすれば、住所が確認できるものも入っているかもしれない。
そう思い二つ折りのカード入れを開いた。
しかし、中には、数枚のカードしか入っていなかった。
由紀は、やむなく中から一枚のクレジットカードを取り出し名前を確認した。
(カセ ヨシハル・・・か・・・)
由紀は、カード会社の電話番号を確認すると取り扱い会社に電話をして
男性客が、自分の店に忘れていった旨と由紀が預かっていることを伝えた。
担当者は、早速、本人に連絡をすると由紀に答え礼を言って電話を切った。
由紀は、ほっと胸を撫で下ろしカードを仕舞おうとした。
「あら・・・入らないわ・・・・」
何かが引っかかっているようだった。
由紀は、指で中の物を取り出した。
「?・・・・・プレート・・・・・」
プレートを取り出す由紀・・・・
「・・・・ぁ・・・!・・・こ・・・これ・・・・・」
由紀は驚いた。
紛れもなくジョージアンで、由紀のネックレスに繋がるプレートの片割れだったのだ。
しばし、見つめる由紀だったが、急いで自分の首に掛かるネックレスを外した。
(や・・・やっぱり・・・・・・もう片方の・・・)
形も色もまったく同じだった。
絵の模様もどことなく似ている・・・・・
由紀は、震える手でプレート同士を合わせようとしたときだった。
「ごめんください・・・」
由紀は、手を止め店に入ってきた人物を見た。
「あ!・・・・あなたは・・・・」
「・・・一週間前、ここで買い物をした者ですが、
覚えていますか?・・・実は、カード入れを・・・」
「カセ・・さんですね・・・」
「え?」
「お客様が、取りに来なかったものですから、失礼かと思ったのですが、
中を見て、たったいま程、カード会社に連絡をしたところなんです。」
「そうでしたか・・・とんだご迷惑を・・・あ、加瀬といいます。
実は、カードより大事な物が、中に入ってたものですから。」
由紀は、その言葉を聞き、手に持ったプレートを
男性に気づかれないようにカード入れの中に仕舞まい男性に囁いた。
「どうぞ・・・一応、中を確認してください。何か、無くなってると困るから。」
「いえ・・・そんな・・・私は・・・」
「あの・・・ほんとに・・・調べてください・・・」
由紀の言葉に男性は、苦笑いをしながら頷いた。
「じゃ・・・・」
男性は、カードの中身を全て取り出した。
その中からプレートだけを手に握ると安堵の表情で由紀に答えた。
「ええ・・・全てあります・・・・」
「良かったわ。」
「どうも、ありがとう。助かりました。」
男性は、由紀に礼を言って店を出ようとした。
「ぁ・・・あの・・・待って・・・・・待ってください・・・」
男性は、由紀に振り向いた。
「はい・・・・なんでしょう・・・」
「ぁ・・・あの・・・実は・・・・・・・その・・・」
しどろもどろな由紀の口調に男性は、首を軽く傾げる。
由紀は、手に握る自分のプレートをそっとかざし男性に見せた。
驚きの表情を見せる男性・・・・・
「そ・・・それは・・・・」
男性は、まるでスローモーションのように由紀に近づいた。
「な・・・・なぜ・・・それを・・・・君が・・・」
同じく手に握るジョージアンのプレートを交互に見る男性・・・・
「私の父が・・・母にプレゼントしたものなんです・・・」
「・・・・そ・・・うなんですか・・・・」
「貴方は、なぜこれを・・・」
「僕は、考古学者なんですが、古代西洋のアンティークにも興味を持っていまして。。」
「考古学者?」
「ま、西洋のアンティークはあくまで趣味なのですが・・・
このプレートは、僕が長年捜し求めてきたものなのです。
8年前、偶然にもスコットランドで見つけたんですよ。」
(8年前・・・・・)
8年前といえば、由紀の両親が事故で亡くなったときだ。
妙に因縁めいたものを感じる由紀・・・・
「ジョージアンを知っていますか?」
「え・・・ええ・・・まぁ・・・」
ジョージアン、1700年から1830年頃以前の宝石、
または英国のアンティークジュエリーだ。
19世紀のビクトリア時代には、産業革命以後の著しい技術の発達、
宝石の発見等、需要増加に伴い美しく素晴らしいジュエリーが職人により誕生した。
「このジョージアンのプレートは、1750年代、当時の王女アンが、
心から愛した男性からプレゼントされたプレートなんです。
王女が愛した、その男性は、ビッツという銀細工職人だったんですよ。」
「・・・・・」
「王女はことのほか喜んだんです。しかし、そのことが王にばれてしまい、
腰の剣斧で真っ二つに切られてしまったという言い伝えがあるんです。
王は、それを窓の外から川へ捨てたのですが、偶然にも切られたプレートの
片割が桟に引っかかっていたんです。王女は、それを見つからないように拾い上げ、
大事にしていたのです。・・・その後、王女は、王が選んだ別の男性と
結婚させられてしまうのですが、銀細工職人の恋人は、それを知り自害してしまいました。
ひどく悲しんだ王女は、悲恋の人生を送りながら、生涯、その片割のプレートを
肌身離さず持ち続けたといわれてるんですよ。まあ、あくまで逸話なのですが。」
「・・・・・・・・・・」
由紀は、その男性の話を聞き本当にあった出来事のように感じていた。
「このプレートに刻まれている絵は、中世寓話に出てくるクワン物語の中で
若い恋人同士が手をつないでいる絵なんです。二人は結婚を約束した仲なんです。
しかし、幾たびと二人に苦難が襲い掛かり、何度も離別を繰り返すんですよ。
だが、二人は愛を信じあっていました。つまり、離れても離されても
必ず二人は、再会するという意味が絵の中に込められているんです。
結局、物語の中で、二人は結婚することができずに死別してしまうのですが。」
「・・・そ・・そうなんですか・・・・」
「つまり、二人が再び生まれ変わったら、
今度は、一緒になろうという思いが、
このプレートには込められているんですよ。」
片割れのプレートを見つめる由紀・・・・
男性は、由紀の持つプレートに自分のプレートを無言で近づけた。
由紀は、男性に合わせるようにプレートを差し出した。
そして、二つのプレートが静かに合わせられた。
そのとき・・・・
晴れた空に春雷が鳴り響き二人の身体に稲妻のような衝撃が走った。
「・・・・な!」「・・・・・え!」
男性の肉棒は、異常に怒張し、由紀の女芯も硬くなり蜜が溢れ出した。
二人は頭が真っ白になり意識が徐々に薄れていく・・・・
まるで磁石のように由紀は男性に引き込まれていった。
「・・・・ぁぁ・・・やっと・・・やっと・・・会えたゎ・・・ビッツ・・・」
「・・・おぉ・・・っ・・・アン・・・・」
由紀は、加瀬に抱きつき、熱い接吻を要求した。
加瀬は、由紀を強く抱きしめながらスカートをたくし上げていく。
「・・・・ァァッァ・・・・」
加瀬は、由紀の下着の上から亀裂に指を這わせていた。
由紀は、加瀬のベルトを外しチャックを下げている。
すでに怒張した加瀬の肉棒がブリーフを盛り上げていた。
由紀は、肉棒を握り締めながら自ら舌を絡めていく。
「・・ンゥゥゥー・・・」
男性が、由紀のショーツをずらし指を蜜壷の愛撫を開始した。
「・・・ンゥ・・・アァ・・・ァァ・・・」
男性のもう片方の手が由紀の顎に手を掛かり、
そして、ゆっくりと項の方向に滑らせていく。
由紀は、朦朧としながらも、あの夢の中で見た光景と同じ事に気づいた。
夢の中では、目を閉じていた由紀だが、
夢だったら覚めたくないという衝動に掻き立てられ瞳を開いた。
加瀬は、優しい表情で由紀を見つめていた。
「・・・ァァァ・・・・ァァ・・・アァァァァァァァァー・・・」
由紀は、我を忘れて加瀬のブリーフを一気に引きおろした。
そして、スカートを乱暴に脱ぎ、ショーツを渾身の力で引き千切ると
膝を突いて怒張した肉棒に唇を被せていった。
「ングゥゥゥゥゥー・・・・・」
いつの間にか、二人は店の中で真っ裸で絡み合っていた。
恍惚な表情で加瀬の肉棒を迎え入れる由紀・・・
自ら激しく腰を振り何度も絶叫を繰り返していく・・・・
「アァァ・・イィィ・・イィィィ・・・凄くイィィィー・・・」
夢の延長のような感を受ける由紀だが、快感は終わりなく続いている・・・
「・・・・・素敵だ・・・君は素敵過ぎる・・・」
「・・・由紀・・・由紀って呼んで・・・・あぁぁ・・加勢さぁん・・・・」
「ゆ・・・由紀ぃっ・・・・・」
加勢は、熱い分身を由紀の蜜壷の中で爆発させた。
そして・・・そして、二人は、飽きることなくディープを繰り返していった。
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「由紀・・・由紀・・・」
昨日、ヨーロッパから帰国した真一が、
由紀のマンションのドアを何度もノックした。
(おかしいな・・・昨日からいないなんて・・・)
由紀の店にも足を運んだ真一だったが、シャッターが閉められていた。
不安が煽る真一・・・・
(どうしたんだ、いったい・・・・・)
いてもたってもいられない真一・・・・・
(いったい、何処へ・・・・)
真一は、やむなく自宅に帰り連絡を待つことにした。
仕事が手に付かない真一・・・・
1週間、1ヶ月が過ぎても由紀からの連絡はなく真一は、抜け殻状態だった。
真一は、一人部屋の中で昼間から酒を飲んでいた。
由紀がいなくなったことで精神状態も最悪の状態だったのだ。
「由紀・・・由紀ぃ・・・何処へいってしまったんだ・・・・」
一人寂しく呟きながら酒を煽っていく・・・
そのとき、真一の携帯電話にメールの着信音がなった。
「ゆ・・・由紀っ!」
メール音で由紀とすぐわかる真一・・・
急いで携帯電話を開くと着信通知を開いた。
‘真一・・・ごめんね、連絡もしなくて・・・・・
私、もう貴方のところには戻りません。
勝手なことを言ってごめんなさい・・・
貴方のプロポーズは嬉しかったけど、まだ結婚する前だったからどうか許して。
貴方とは、こういう結果になってしまったけど運命と諦めて。‘
「う・・・運命・・・・・運命だと・・・・」
‘私の前に、本当に一緒に暮らす男性が現れたの・・・それも偶然に・・・
私は、この男性と生涯を共にする覚悟です・・・・
だって・・・それが私の運命とわかったから・・・・
本当にごめんなさい。菜っちゃんによろしく伝えてください・・・さようなら。‘
全てを読みきった真一は、顔を真っ赤に高潮させ携帯電話を床に叩きつけた。
「ふざけるなぁぁぁぁーっ!」
荒い息を吐き身体を震わす真一・・・・・
「・・・ゆ・・・・・由紀ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃーっ!」
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− 半年後 −
真一は、まだ多少の心痛が残るなか、仕事を終えた夕方近くに
駅前通りをゆっくりとした足取りで歩いていた。
(・・・・・飲んでいくかな・・・・)
周りを見渡し店を物色する真一・・・・
すでに秋が近づき街も様相がセピア色に変わりつつある。
(やはり、帰るか・・・・)
深い溜息をつきながら真一は駅に向かって歩き出した。、
その時、前から妊婦であろう女性が中年男性と肩を並べて歩いてきた。
それは、由紀だった。
「!・・・・ゅ・・・・由紀・・・・」
小声で囁く真一・・・
由紀も真一に気づいたようだ。
しかし臆する様子もなく隣の男性の腕をつかみ寄り添って歩いてくる。
(・・・ゆ・・・由紀・・・・)
由紀は、真一を見つめるものの表情を崩すことはなかった。
二人の首からは、ネックレスが下がり銀製のプレートが掛けられていた。
(・・・ぁ・・・・あれ・・は・・・・)
まるで他人を見つめるような視線で真一を見ながら歩いてくる由紀・・・・
そして、由紀が、真一の横を通り過ぎようとした瞬間・・・・
由紀は、声を出さずに口の動きだけで真一に囁いた。
「・・・運命よ。」
その言葉に真一は、身体が硬直した。
真一は、肩を震わせながら、通り過ぎていった由紀にゆっくりと振り向いた。
その時、突如、幻覚を見るような眩暈が真一を襲った。
真一は、由紀と男性の背中に、見たこともない若い外国の男女が
仲良く手をつないでいる姿が目に飛び込んできた。