無線LANの導入に失敗した人のための、再チャレンジガイド
TEXT:YAN
ステップ0
この1年ほどで、急激に普及してきた無線LAN。しかし、初めて無線LANを導入する者にとって、その敷居は思った以上に高いようだ。
そこで、初めて無線LANを導入するに当たって、注意すべき点などを説明しながら、アクセスポイント(以下APと記す)と無線LANカード(以下端末と記す)の設定方法を解説しよう。
無論、APと端末がセットになっている物を購入した場合は、こんなところの解説など読まずに、素直に取扱説明書を読んで、取扱説明書の方法に従って設定して欲しい。
ここは、APと端末を別々のメーカーで揃えてしまった場合や、同じメーカーであってもセット物でない物を買ってしまった場合に読むことをお勧めする。
なお、ここでは未対応OSや未対応機種については一切触れない。初めて導入する場合は、このようなリスクは背負うべきではないからだ。未対応OSや未対応機種で使いたい場合は、無線LANについて十分な知識と経験を積んでからトライして欲しい。
無線LANは、決して難しいものではない。
無線LANが繋がらない場合の多くは、未対応機器に使用しているか、設定を間違っているかのいずれかだ。無線LAN機器が対応しているパソコンやPDAで使用しているならば、設定を間違っているだけだ。落ち着いて、1つ1つステップを踏みながら設定して行けば、必ず無線LANを使用することが可能になる。
ステップ1
まず始めに、APの設定ソフトと端末用のドライバーソフトをパソコンにインストールする。
ここでは、AP用のソフトをデスクトップパソコンに、端末用のドライバーソフトをノートパソコンにインストールするものとする。環境によっては、両方のソフトを同じパソコンにインストールすることになるだろうが、各自の環境に合わせてインストールして欲しい。
なお、ここではDHCPサーバーからIP addressを取得する設定をするものとする。
ステップ2
APのESS-IDを初期値、WEPをなしに設定。端末のESS-ID=any、WEPなし、インフラストラクチャーモード(アクセスポイント経由接続)に設定する。
もし、既に1度設定を変更してしまっていたら、APの初期化にはAPの取扱説明書で『設定を出荷時設定に戻す』と言うように項目を参照して欲しい。
例えば、下記の機器であれば表の部分を参照する。
メーカー
機器名
取説参照部
メルコ
WLA-S11G
ネットワーク活用ガイドP21『AirStationの設定を出荷時設定に戻す』を参照。
IO-DATA
WN-B11/AXP
取扱説明書P81『設定を出荷時設定に戻すには』を参照。
なお、APと端末がセットになって売られている物の中には、工場出荷時設定で既にESS-IDとWEPが設定されているものがあるので、この場合は設定変更することによって上記設定にする。
設定が終わったら、接続を試みてIP addressが192.168.x.xとなるかを確認する。
これらの設定なら、初期不良でない限りは殆ど繋がるはずだ。
これでIP addressの取得が出来なければ、初期不良の可能性もあるのでAPまたは無線LANカードのメーカーに問い合わせて欲しい。
ここでIP addressが取得できたなら、以前に設定して通信できなかったのは設定の問題だけだから、焦らずに設定していけば出来ると思う。
このステップのポイントは、とにかくAPと端末が無線で通信が行なえることを確認することだ。
APと端末の相性が悪くて通信できないなどの不安を、このステップで払拭するのが目的だ。
また、
ステップ2〜ステップ4までは、手早く設定および確認をして、ステップ4までの設定を完了させる必要がある。
これは、ステップ2およびステップ3の設定が完了した時点では、セキュリティーが一切施されていないためだ。この点については、十分注意が必要だ。
ステップ3
APと端末のESS-IDのみを変更する。この時、大文字小文字まで、1字1句までAPと端末で同じにする。
なお、ESS-IDの値に全角文字は使用してはならない。
設定が終わったら、接続を試みてIP addressが192.168.x.xとなるかを確認する。
このステップでのポイントは、APと端末のESS-IDを大文字小文字も含めて、総て一致させることだ。
本や雑誌によっては、このESS-IDがセキュリティー設定の1つとして紹介されているが、このESS-IDにはセキュリティー機能が全くない。
ステップ2で確認した通り、APのESS-IDと端末のESS-IDが違っていても、通信することは可能だからだ。
ESS-IDをanyとすることで、どんな相手とも通信が可能になるのだ。
例えば、APのESS-ID=anyとすることで、端末側のESS-IDはどんな設定でも受け入れてしまう。また、端末側のESS-ID=anyとすることで、どんなESS-IDの設定をしているAPとも通信が可能になる。
では、ESS-IDは何故必要なのか?
これは、無線LANをグループ分けするのに必要なのだ。
例えば、WindowsにはLANの設定に
ワークグループ
と言うのがあるが、これと同じ物だと思って構わない。実際、ワークグループが違うと全くアクセスできない訳ではなく、所定の方法を取れば違うワークグループからもアクセスできる。これと同じことが、ESS-IDでも行なわれていると思っても、さほど問題はない。
無論、厳密に言えば違うが、初心者はこのように理解しても問題になることはないだろう。
ステップ4
ステップ3がうまく行ったら、WEPを設定する。
まず始めに、4つのWEP値を紙に書き下準備をする。
端末側はWEPの設定をする個所が4つあると思うが、空欄があるとWEP機能が正しく動作しないドライバーもあるので、今すぐ使う予定がなくても、4つとも設定しなくてはならない。
WEPは暗号化するためのものなので、あなた以外には知られないように、2桁の16進数(具体的には、0〜9とA,B,C,D,E,Fで表現される)を適当に用意する。
例えば、40bit(機種によっては64bitと表現されている)のWEPと言うことであれば、
12 34 56 78 90
34 56 78 90 AB
56 78 90 AB CD
78 90 AB CD EF
みたいに4つ用意する。ここでは判りやすくするために数字を並べたが、実際にはランダムな数字にして欲しい。また、上では見やすいように2桁づつスペースで区切ったが、実際の入力時はスペースで区切らないで欲しい。(こんな風になる。"1234567890")
APと端末のWEP設定が済んだら、接続を試みる。
多くの端末では、WEPを入力する欄が4箇所あると思うので、用意した16進数をそれぞれの欄に入力する。
104bit(128bit)は、この入力する桁がもっと増えるだけですので、考え方は同じです。セキュリティーを強化したい場合は、この104bit(128bit)でのWEP設定をお勧めする。
で、この4つの値のうちのどれを使うかを、指定してやる。
AP側も同じように、16進数の値を入力してやる。こちらは、入力する欄が1つしかないようなので、無線LANカードで指定したところに入力した値と同じものを入力する。
これで、端末とAPの通信が出来るようになる。
ポイントは2つ。
用意する16進数は、紙に書いて手元に置いておくこと。
同じような値を何度も入力するので、紙に書いたものを確認しながら入力した方が確実だ。
入力し終わったら、誰にも見られないように金庫にしまっておこう。(笑)
もう1つは、総てのドライバーに言えることではないが、WEPを設定する欄が複数ある場合は、空欄を作らずに総ての欄に値を入力すること。
どうせ1つしか使わないからと、残りを空欄のままにしておくと、WEP機能が正常に動作しないことがあるからだ。
ステップ5
APのMAC addressフィルタリングの設定を行なう。
これで接続を試みて、IP addressが192.168.x.xとなるかを確認します。
これでOKなら、設定が完了したことになります。
ポイントは、『指定した以外のMAC addressはアクセスを拒否する』と言う設定がある場合は、必ずこれを設定する。
ステップ6
APの機種によってはこの機能が実装されていないが、もし『ステルス機能』のあるAPを使用しているなら、必ずこの機能を有効にする。
この機能を有効にすることで、不正アクセスされる確率を更に下げることが可能になるからだ。
おわりに
以上で無線LANの導入が完了する。
ステップ6は機種によって設定できないので、セキュリティーを考慮するなら最低限ステップ5までは設定する必要がある。
無線LANは、決して難しいものではない。もし1度無線LANの導入に挫折していたなら、それは1度に多くの設定を行なおうとしたからだ。ましてや、初めて無線LANを導入する初心者にとって、通信が出来なかった場合は問題点を見つけることもままならない。1つ1つステップを踏むことで、どの設定に問題があったのかが初心者でも判断できる。
自分で判断して設定を変更し、最終的にある程度セキュリティーを確保した状態で通信できるようになれば、それは立派なスキルアップだ。そうなれば、端末が増えても戸惑うことなく設定が出来るだろう。
なお、本ガイドは今後出現するセキュリティー方式の導入には適応していない。しかし、その手順はセキュリティー方式が変わっても同じであり、1つづつステップを踏んで設定して行くことに変わりはない。
このガイドで、一人でも多くの人が無線LANの利便性を体験してもらえれば、筆者としては嬉しい限りだ。
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