モバイルよた話・第58回
(2005年05月01日掲載)

文責:柳あきら



 さて今回は、久し振りにPHSの話だ。と言っても、残念な話なのだが……。
 何が残念なのかと言うと、とうとうドコモがPHS事業から撤退することを決めたのだ。
 今すぐ撤退する訳ではないのだが、ドコモでは現PHSユーザーをFOMAへと誘導するらしい。このことは以前から噂されていたので驚きはしないのだが、ドコモが噂を必死に否定していただけに、何か裏切られたような思いがするのも事実だ。
 ドコモのPHS撤退の原因を考えてみたのだが、思い浮かぶのはやはり『携帯電話事業との両立はできなかった』と言うことだ。
 それでも以前はNTTパーソナルとNTTドコモの別会社だったからよかったものの、その後NTTパーソナルがNTTドコモに吸収合併されたことで、携帯電話事業に注力するドコモにとって、PHS事業は本気で経営するものではなかったと言うことだ。
 実はこれと同じ事が、他のPHS会社でもあった。それが最近社名を変えたウィルコム、旧DDIポケットだ。
 ウィルコムは、auのブランド名で知られる携帯電話事業を有するKDDIの子会社のような存在だった。しかし、KDDIがアメリカの投資会社へDDIポケットの株の多くを売却したことで、DDIポケットはKDDIの呪縛から逃れることが出来たのだ。つまり、今までKDDIの顔色を窺いながらの経営だったため、思い切った戦略だ打ち出せなかったのが、今や定額制やPC向けホームページのフルブラウズといった、携帯電話各社も後追いをしているトレンドリーダーになっている。もっとも、そのシェアの少なさから、全く話題にはならないが……。
 話をドコモに戻そう。
 ドコモはウィルコムと違い、携帯電話事業とPHS事業が同一会社内に存在し、簡単に分離できなかったことがPHS事業からの撤退に繋がったのだと思う。もっとも、巨人ドコモと言えども携帯電話とPHSの違いを明確に打ち出せず、PHSを携帯電話の廉価版としか示せなかったのは、仕方ないと言ってもいいだろう。ユーザーの多くは、PHSに携帯電話と同じ使い勝手を求めていたのだ。それを覆すには、あらゆる対応があまりにも遅かったと言うことだ。
 とにもかくにも、@FreeDなどの魅力的なサービスを初めてまだ間もないと言うのに、誠に残念だ。
 さて、悪い知らせと言うのは、どうやら続くものらしい。ドコモのPHS事業撤退に落胆しているところに、今度は鷹山(旧アステル東京)がPHS事業から撤退するとのニュースが飛び込んできた。
 既にアステルグループは、アステル関西をはじめ、多くの地域会社が撤退を表明しており、アステル九州などいくつかの地域会社は、サービスを停止していたりもする。その中で最大規模を誇ると思われる鷹山であったが、既に全国でサービスするにはウィルコムの回線を借りなくてはならないところまで追い詰められていたのは衆知の事実だ。そしてこのPHS事業撤退のニュース。ショックがないと言えば嘘になるが、ドコモの時ほどのショックはなかった。と言うのも、アステルグループとして見た時、既に多くの地域会社が撤退を表明しており、今更鷹山が表明したところで意外性がなかったのだ。そして、こちらの方が理由としては大きいのだが、鷹山はPHS事業の代わりを同時に発表したのだ。それが広域高速無線LANの、WiMAXだ。
 鷹山は、以前からPHSの基地局をIP化することで、定額サービスを実現したいと言っていた。筆者は、それをWiFiで実現するのだろうと思っていたのだが、WiFiなどとは比べ物にならないほど広域かつ高速な規格で、それも予想より遥かに早く実現してしまうらしい。
 ネットニュースを読む限りでは、2005年12月に月額2000円の定額で、端末を固定局としてサービスインを目指しているらしい。
 端末が固定局と言うのは、WiMAXの規格がまだ移動局に対応していないためで、対応され次第、鷹山も対応するとのことだ。と言うことで、まずはADSLの代替え通信手段となるようだ。
 WiMAXについてはいずれ取り上げようと思うが、このニュースは鷹山がPHS事業から撤退するとのニュースを差し引いても、十分期待を持たせてくれるものだった。
 もっとも、このサービスがデータ通信のみなのか、通話サービスも含んでいるのか、よく判らないのが残念ではある。しかし、通話端末でフルブラウザを搭載した機種が現れたら、筆者は思わず乗り換えてしまうかもしれない。そもそも、筆者が現在使用しているウィルコムのPHSは、榛名湖でワカサギ釣りをしていると、まったく使い物にならないのだ。それなら、通話エリアがウィルコムの10倍はあるWiMAXへと、心動かされるのは当然のことだろう。
 WiMAXの使い方としてはPHSに近いだろうが、通信エリアの広さは携帯電話に近い。WiMAXが携帯電話寄りのサービスをするのか、それともPHS寄りのサービスをするのかは判らないが、しばらくは目が離せないようだ。

2005.04.24/17:30
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