運動療法とは page.1
 
  運動療法の歴史 ..... はじまりは?  
運動療法は、いつどのように始まったのか。
その歴史は、欧米、特に1980年以降は米国を中心に、次のような流れとして区分されている。*(1)
表1.心臓リハビリテーションの流れ(歴史的にみた時代区分)
1930年代前半〜1960年代 長期臥床安静の時代
1970年代前半 監視型運動療法の始まり
1970〜1980年代前半 早期運動負荷試験とリスクの層別化
−早期社会復帰
1980年代前半 運動療法の適応の拡大(バイパス、心不全)
1980年代後半〜1990年代前半 包括的リハビリテーション
1995年以降 マネージドケア時代の心臓リハビリテーション
文献*(1)−「表1」より引用
運動療法は、主に心筋梗塞のリハビリテーションとして始まったようである。
心筋梗塞などの回復には、長らく「安静」が基本とされる時代が続いた。
しかし'60年代末、安静が長期にわたるとかえってデコンディショニング(deconditioning;身体的脱調節。身体が本来備えているさまざまな調節機能の低下。例えば起立性低血圧や運動能力・筋力低下など)をきたすという弊害が明らかになると、状況は変化。
低下した身体機能を回復する有効な手段−心臓リハビリテーションとして、運動療法が取り入れられることとなった。

'70年代以降、低リスクの患者には早期に運動療法などのリハビリを進め、すみやかな回復・退院を目指すという方向性になっていく。
その後、心臓手術後や心不全の患者にも運動療法の対象が拡大。
リハビリの内容も、身体的なトレーニングだけでなく、心理的なカウンセリング、病気に関する教育、食事や行動面での生活指導なども加えられ、多面的に回復をサポートする包括的リハビリテーションへと発展する。
'95年以降のアメリカではさらに、「より安くかつ効果的に」*(1) といった合理的経済的要素が加わり、できるだけ費用効率のよい心臓リハビリテーションが行えるよう、システム作りがなされている現状である。

日本ではこれまで、社会的な関心の低さや、環境の未整備といった問題があり、欧米に比べて取り組みが遅れてきたという。まだ情報化社会に入る以前のことであれば、心臓リハビリ分野での時代のトレンド(欧米の流れ)が日本に伝えられ、運動の有効性が広く一般にまで認知されるには、ある程度の時差を要したのか、とも思われる。
それでも、'88(昭和63)年には運動療法が健康保険適用(施設基準の条件付き。急性心筋梗塞症・狭心症・開心術後の発症後または手術後6ヶ月以内。*(2))となり、治療の一環として組み込まれたのを機に、普及が進んできたようである。

私が現在試みている「運動療法」は、対象者の拡大という点から見れば、上表、'80年代前半からの流れに位置づけられるもののようだ。
欧米ではここ20年の歴史だが、私のかかりつけ病院では「ここ10年」との話であった。
とはいえ、その取り組みは熱心で、ハード面でも病院併設のリハビリ施設が新たに整備されるなど(現在進行形)、心臓リハビリに対する医療機関側(少なくとも私のかかりつけ病院では)の積極的な姿勢がうかがわれる。
もはや日本でも、欧米並みの環境が整いつつあるようだ。
  ('00/12/23)
(改訂:'03/02/02)
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