| 運動療法とは | page.6 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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たとえば風邪をひいて病院に行ったとする。診察を受けると、「では、この薬を1日○回、○日間飲んで下さい」と医師から薬の処方箋が出される。 それと同じように、運動療法を始める時にも、その患者の状態によって、「こういう種類の運動(歩行や自転車走行など)を、1回に○分間、1日に○回、週に○回して下さい」といった指示が出される。 これら、その患者に見合った適切なリハビリプログラムの作成を「運動処方」と言う。 運動処方の作成には、運動の効果と安全性が同時に求められることから、医師の間でその方法論が検討されている。*(7) 運動処方の内容は、前述の例のように、運動の種類・強度・時間・頻度・期間の組み合わせによって構成される。*(8) 他 (1) 運動の種類 運動の種類としては、歩行、サイクリング、ジョギング、水泳などといった、全身に酸素を取り入れながら続ける有酸素運動、等張性運動(筋肉の収縮と弛緩を交互に繰り返す動き)が適しているとされる。有酸素運動では、筋疲労も少なく長時間の運動が続けられることから、運動耐容能(運動に対する持久力)が改善する。 一方、重量挙げや、腕立て伏せ・腹筋といったいわゆる「筋トレ」など、いきみやりきみを生じる類の無酸素運動、等尺性運動(筋緊張を持続する動き)は、血圧の上昇をもたらし心臓に負担をかけるため、運動療法には適さないとされる。 しかし近年、筋力トレーニングも比較的危険性は少なく、骨格筋や運動時末梢循環等に効果があるとの報告がなされ、局所的な筋力トレーニング(レジスタンストレーニング)の導入も試みられているという。*(7),(9) 実際には、歩行や自転車エルゴメータを用いた運動が中心に行われ、個別的に局所筋力トレーニングも課されるといった状況にあるようだ。 (2) 運動強度 運動強度は、疲労せずに長く続けられる運動レベル、効果的な有酸素運動ができるレベルが有効であるとされる。具体的には、最大酸素摂取量(VO2max,※1)の40-80%、最大心拍数の55-85%に相当する強度が設定されるようだ。(※2) 運動強度を設定する際には、まず患者の現在の心肺能力を把握する必要があり、ほとんどの場合において、心肺運動負荷試験(CPX,CPET)が実施される。 心肺運動負荷試験を行わない場合は、「安静時心拍数+20」の心拍数を目安とする方法がとられることもある。*(17) ※1 最大酸素摂取量(VO2max)=最大心拍出量×最大酸素利用能 個人が1分間に体内に取り込める酸素の量(ml/kg/min)。 個体の最大運動能力、呼吸循環系の総合的な能力(持久力)を表す最もよい指標とされる。*(6),(8) ※2 両者の値とも、論文により強度設定に多少のバラつきがある。 最大酸素摂取量を目安にする場合なら、50-60%,40-60%,40-80%,60%以下などといった具合である。個々の患者の状態に応じて、適宜調整されるのだろう。
(3) 運動強度の決定法 運動強度を決定するには、いくつかの方法がある。以下に、主な運動強度の決定法をあげる。*(7) 他 ※いずれも、心肺運動負荷試験の実施を前提とする。 a. Borg指数を用いる方法 a. Borg指数を用いる方法 1973年に Borg によって提唱された自覚的運動強度(PRE;rating of perceived exertion,Borg指数;→表8)を目安にする方法。 Borg指数自体は、運動負荷試験の際、被験者の自覚症状を定量的に把握する目的で作成されたもの。安静時〜運動時の概略心拍数を10で割った数値を、運動強度の指標(scale)とする。*(10) これを運動処方に用いる場合、酸素摂取量や心拍数との相関も考え合わせると、Borg「11-13」にあたる運動強度(体感)が適当な目安とされる。 Borg「11-13」は、後述するAT(嫌気性代謝閾値)レベルの運動強度とも重なる。 この指数は自覚的体感に基づいているため、運動時の再現性が高く、安全域の広い例には手軽に用いられる。
b. Karvonen式を用いる方法 最大心拍数を測定し、Karvonen式(以下)を用いる方法。 処方心拍数=(最大心拍数−安静時心拍数)×k+安静時心拍数係数kの設定(※)は疾患の種類や程度によって異なるらしく、運動実施期間が推移するごとの心拍数変化に応じて調整する必要があるようだ。 また、徐脈作用のある薬剤(β遮断薬やジギタリス[強心剤]など)を服用している患者の場合、運動時の心拍応答が低下していることも多く、Karvonen式による処方心拍数では適切な運動強度以上になることがあり危険なため、用いるべきではないとされる。*(11) Karvonen式以外でも、心拍数をもとにする強度設定は同様な注意を要する。 ※係数k=0.3-0.5, 0.4-0.55, 0.5-0.75, 0.5-0.8, 0.6-0.7...等さまざまであるが、設定の詳細(決定基準、算出方法など)については不明。>σ(^^;) c. 二重積変曲点(DPBP)を用いる方法 「症候限界性ramp負荷試験を実施し、得られた二重積(double product)の変曲点を2本の一次回帰直線の交点として決定し、運動強度の目安とする方法」。*(7)
またまたよく分からないのだがσ(^^;)、右の略図(論文*(7)-図3グラフを簡略化)で説明してみると…。 運動負荷試験中に測定された一定時間ごとの収縮期血圧と心拍数、及びそれらの積(かけ算)から求められた二重積(※)は、それぞれ右肩上がりの点グラフを描く(右図)。 そのデータにおいて、増加率が明らかに変化(上昇)している点を境に、前後を2本の交差する直線に回帰し、直線の交点を二重積変曲点(DPBP;double product break point)として決定。運動強度設定に用いる…もののようである。 この二重積変曲点(DPBP;二重積屈曲点とも)は、もう一方で運動強度設定の目安とされるAT(嫌気性代謝閾値)やLT(乳酸閾値)とも相関関係にあり、次項の呼気ガス分析によるATを基準とするものに次いで、客観性の高い方法とされている。 ※二重積=(収縮期)血圧×心拍数 d. 呼気ガス分析によるATを基準とする方法 自転車エルゴメータまたはトレッドミルで心肺運動負荷試験を行い、呼気ガス分析で得られたATレベルの運動強度を目安とする方法。 呼気ガス分析によって、連続的に酸素摂取量(VO2)と二酸化炭素排泄量(VCO2)の変化を見ると、VO2増加度に比べてVCO2の増加度が急激になり始める点がある。 その点の酸素摂取量(VO2)が「AT」である。 運動強度設定には、AT時点より約1分前の心拍数や外的仕事率(ワット;Watt)、歩行速度などが用いられる。
(4) 運動時間・頻度・期間 a. 運動時間 1回20-60分間。最低でも10分間。一般的には20-30分間。 軽い運動の時は長く、きついと感じる時は短くする。 運動前後には、準備運動(ウォーミングアップ)と整理運動(クーリングダウン)を行う。 有酸素運動は、週2回以下、最高酸素摂取量の40-50%以下、10分未満では効果が期待しずらいとされる。 一方、低強度の運動でも長時間行った場合、あるいは10分以下でも1日に何回も行い合計した時間が長ければ、効果が得られるという。*(17) 様々な理由により1回20-60分の運動を持続できない場合でも、間欠型の運動(運動と休憩の繰り返し)によって同等の時間分を行えればよい。 また、在宅での非監視型運動療法では、通勤や買い物など日常生活において意識的に歩行運動を行い、歩数計にて運動量を定量化する試みもある。*(9) b. 頻度 週3-5回。運動強度によっては、ほぼ毎日。 これも、運動強度が強めならば日数は少なくてよく、低強度ならばほぼ毎日ということになる。 c. 期間 1〜3ヶ月。〜6ヶ月。〜1年以上。 運動療法の効果が現れるのは1〜2ヶ月からとされる。しかし病態や年齢によって効果の発現には相違があるため、運動期間は個別的に設定される。 目標とする運動レベル・日常生活を回復した後は、その維持のために運動を継続することになる。 患者の状態は、百人百様。 運動処方・リハビリプログラムは、定番化した一般的なものに限らず、個々の患者の病態や条件を考慮する必要がある。 患者一人ひとりに合わせた「オーダーメイド型」*(18),(19) の内容であることがより望ましいとされる。 |
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| ('01/02/08) (改訂:'03/02/09) |
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