講演していただいた深澤光有さんは札幌市内のお寺の住職さんで、詩人でもありま
す。5月10日の昼下がり。キリスト教の教会でお坊さんの講演会。
最初は詩と俳句の紹介でした。「死という平等の身に立てば…..」47歳で乳がんで
亡くなった女性の詩です。死に直面した心境を詩にしました。そして、少年死刑囚の
「ふとん様ぞうきん様さようなら」。この句は執行直前に詠まれたものだそうです。
死は全ての人に平等にくる。死刑にしなくても平等にくる…
そして、講演が始まりました。まずは欧米社会と仏教の考え方の違いでした。そし
て、仏教からは争いや戦争が生まれない。仏教では、反戦よりも不戦、不戦よりも非
戦の発想になる。仏教は死ぬことの大切さを説く。そのことは、命の尊さに言及する
ことと何ら矛盾しない。などなど。
『死刑という殺人は国家の未成熟を暴露するもの、国家がその国民に対して保障し
た基本的人権をみずから破棄するもの。殺人は殺す側に痛みが伴ううちは、まだ人間
が機能しているが、痛みがなく殺す側に立つなら、「人間」の放棄である。殺人に違
いないのに戦争と死刑制度のふたつは痛みを伴わないあるいは痛みを麻痺させる』
これが深澤さんの死刑に対する意見です。このことから、死刑に反対である。そし
て、終身刑を導入し、恩赦などの特例は廃止する。そして、囚人の精神生活の充実化
が急務であると主張します。
最後に歌人として有名になった死刑囚島秋人の紹介がありました。特に深澤さんは
「わが体重五十二キロを指しいたりさびしきことのふくまれていて」に感銘を受けた
ようです。
講演後の質疑応答は、演台からではなく、みんなでお菓子を食べながら丸くなっ
て、和気あいあいと行いました。学ぶべき点が多く、かつユーモアを交えた面白い講
演会でした。
去年は、シスタープレジャンや原田さんの講演会のような全国区のイベントを札幌
で実施しました。しかし、地元でも深澤さんのような方がいて、死刑廃止に関する講
演会を実施できることがわかったことはとても有益でした。ただ、もっとたくさんの
人に聴いてもらえなかったことは残念で、今後の企画を行う上で肝に銘じていきた
い。
<深澤光有師プロフィール>
僧侶、詩人。1943年生まれ。明治大学文学部卒。
札幌市中央区にある真宗仏光寺派大光寺の住職。
仏光寺派は真宗十派の一派で様式は西本願寺に近い。
師は月に一回、地域で読書会を指導しておられ、
市職員住宅の跡地利用にかんする中央区住民運動の代表者も
努めている。死刑制度を問題視する立場から、
親しみやすくわかりやすいお話を聞かせてくださる。