死刑に関する事実と数字

  原文: Facts and Figures on the Death Penalty

※これは2007年10月2日に更新された原文を和訳したものです。




1. 死刑廃止国と死刑存置国

いまや世界の過半数の国が法律で、または事実上死刑を廃止している。アムネスティ・インターナショナルの最新の情報によれば、

合計133カ国が死刑を法律上または事実上廃止していることになる。



2. 世界的な死刑廃止へ向けての前進

1990年以来、50を超える国がすべての犯罪に対する死刑を廃止した。それらの中には、アフリカ(最近の例ではコートジボアール、リベリア、ルワンダ)、アメリカ地域(カナダ、パラグアイ、メキシコ)、アジア太平洋地域(ブータン、フィリピン、サモア)、そしてヨーロッパおよび中央アジア(アルバニア、モルドバ、モンテネグロ、セルビア、トルコ)などの国々が含まれる。



3. 死刑再導入の動き

いったん死刑が廃止されると再導入されることはめったにない。1990年以降、4カ国だけが死刑を再導入したが、そのうちの2つ、ネパールとフィリピンは、その後、再度死刑を廃止した。その他の2カ国(ガンビア、パプアニューギニア)では執行がない。



4. 死刑判決と執行

2006年中に、25カ国において少なくとも1,591人が処刑され、55カ国において少なくとも3,861人が死刑の判決を受けた。これらは最低限の数字というだけであり、実際の数字は確実にこれを上回る。

2006年においては、判明しているすべての執行の91パーセントが、中国、イラン、パキスタン、イラク、スーダン、米国で行なわれた。

入手した公の報告をもとに、アムネスティ・インターナショナルはこの年に中国で少なくとも1,010人が処刑されたと見積もったが、実際の数字はこれをはるかに上回ると考えられる。信頼できる筋は7,500〜8,000人が2006年に処刑されたと示唆する。公式な統計は依然として国家機密であり、そのことが監視と分析を難しくしている。

イランは177人、パキスタンは82人、イラクスーダンは少なくとも65人を処刑した。米国では12の州で53件の執行があった。

現在死刑を宣告され処刑を待つ人の世界的な数字を入手することは困難である。人権団体、メディアの報道、手に入る限られた公式な数字からの情報をもとに、2006年末時点で見積もられた数は19,185から24,646の間だった。



5. 処刑の方法

2000年以降、死刑は次のような方法で執行されている。

‐斬首 (サウジアラビア)
‐電気処刑 (米国)
‐絞首刑 (エジプト、イラン、日本、ヨルダン、パキスタン、シンガポール他)
‐致死薬注射 (中国、グアテマラ、タイ、米国)
‐射殺 (ベラルーシ、中国、ソマリア、台湾、ウズベキスタン、ベトナム他)
‐石打ち刑 (アフガニスタン、イラン)



6. 子どもの犯罪者に対する死刑の適用

国際人権諸条約は、犯行当時18歳未満であったすべての者が死刑を宣告されることまたは処刑されることを禁止している。市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)、子どもの権利条約、子どもの権利および福祉に関するアフリカ憲章、人権に関する米州条約(米州人権条約)のすべてがこの趣旨の規定を持つ。少なくともある一部の犯罪については法律でまだ死刑を規定している100を超える国が、子どもの犯罪者の死刑執行を特別に除外する法律を持っているか、または上記の条約のいずれかに加わることによってそのような死刑執行を除外していると推定できる。しかしながら、少数の国では、子どもの犯罪者を処刑し続けている。

1990年以降、9カ国が犯行当時18歳未満であった54人の囚人を処刑したとして知られている。中国、コンゴ民主共和国、イラン、ナイジェリア、パキスタン、サウジアラビア、スーダン、米国、イエメンである。中国、パキスタン、米国、イエメンは、いまでは法律で最低年齢を18歳に引き上げた。米国とイランは、その他7カ国を合わせたよりも多くの子ども犯罪者を処刑してきており、イランはいまや、1990年以降の米国の総数である19人の子どもの処刑に引けをとらなくなった。2006年にはイランで4人、パキスタンで1人、子ども犯罪者が処刑された。

2007年のこれまでの時点で、イランで2人、サウジアラビアで1人、子ども犯罪者が処刑されている。



7. 犯罪抑止議論

死刑が他の刑罰よりも有効に犯罪を抑止するという説得力ある証拠は、科学的研究によっては一貫して得られていない。1988年に国連(訳注:国連犯罪防止・犯罪統制委員会)のために行なわれ2002年に改訂された、死刑と殺人発生率の関係についての最新の調査結果報告書の出した結論は「死刑のもたらす脅威やその適用が、より軽いと思われる終身刑のもたらす脅威やその適用よりもわずかでも殺人に対する抑止力が大きいという仮説を受け入れるのは妥当ではない」というものだった。

(引用文献:ロジャー・フッド『世界の死刑』 オックスフォード・ユニバーシティ・プレス、第3版、2002年 230ページ)
(訳注:『世界の死刑』は、日本では1990年に辻本義男訳で成文堂から出版された。)



8. 死刑廃止の犯罪率への影響

1988年に実施され2002年に改訂された、国連に提出された報告書は、死刑の適用の変化と殺人発生率との関係についての証拠を評して、「統計の数字が以前と同じ方向を指し続けているという事実は、死刑に依存することを減らしたとしても、各国は犯罪曲線が急激かつ深刻に変化することをおそれる必要はないという説得力のある証拠である」と述べた。

死刑廃止国における最近の犯罪件数は、死刑廃止が悪影響を持つということを示していない。たとえばカナダでは、人口10万人当たりの殺人率は、殺人に対する死刑を廃止した年の前年である1975年の3.09件のピーク時から1980年には2.41件に低下、そしてそこからさらに減少している。死刑廃止から30年後の2006年には殺人率は人口10万人当たり1.85件、1975年よりも40パーセント低く、ここ30年間で2番めに低い割合だった。

(引用文献:ロジャー・フッド『世界の死刑』 オックスフォード・ユニバーシティ・プレス、第3版、2002年 214ページ)



9. 死刑廃止に向けた国際協定

近年の最も重要な進展のひとつは、国家がそれによって死刑制度を持たないようにする国際的な条約の採択である。現在、そのような条約が4つある。

「欧州人権条約の第6議定書」は、平時における死刑廃止の協定である。「市民的および政治的権利に関する国際規約の第2選択議定書」と「死刑を廃絶する人権に関する米州条約議定書」は死刑の完全廃止を規定しているが、完全廃止の意思を持つ国に対して例外として戦時における死刑の存置を認めている。「欧州人権条約の第13議定書」は、すべての状況での死刑の完全廃止を規定している。



10. 無実の者に対する執行

死刑が存置される限り、無実の者を執行する危険は決してなくならない。

1973年以来、米国では124人の囚人が、彼らが死刑判決を受けた犯罪について無実の証拠が明るみに出た後に釈放された。そのようなケースが、2004年には6件、2005年に2件、2006年に1件、2007年のこれまでで1件あった。何人かの囚人たちは、長い年月を死刑判決のもとに過ごした後、もう少しで執行されるところだった。それらのケースで繰り返し見られる特徴には、信頼できない証言・物理的証拠・自白を利用するといった検察官や警察官の不当なやり方や、不適切な弁護陳述が含まれる。他の米国の死刑囚には、有罪に深刻な疑いがあるにもかかわらず死んでいった者もいた。フロリダ州は無罪放免者数が最も多く、22人である。

2000年1月に、当時のイリノイ州知事ジョージ・ライアンは死刑の執行の停止を宣言した。彼の決断は、米国が1977年に死刑を再開して以来、その州で不当に有罪とされたことが明らかになった13番目の死刑囚の釈放に続いてなされた。同期間中に、イリノイ州の他の12人の死刑囚は処刑されてしまっていた。2003年1月、ライアン知事はイリノイ州の4人の死刑囚を特赦し、残り167人のすべての死刑判決を減刑した。

無実の者を処刑する可能性という問題は米国に限られたことではない。2006年、タンザニアはハッサン・モハメッド・ムテペカを死刑囚監房から釈放した。彼は継娘を強姦し殺したとして2004年に死刑を宣告された。控訴裁判所は、彼の有罪判決は、「否定できないほどに彼の有罪を示すものではなかった」状況証拠にひどく依拠したものであったと認定した。ジャマイカではカール・マクハーが、控訴で無罪とされた後、2006年6月に死刑囚監房から解放された。



11.米国における死刑

2004年、ニューヨーク州最上級裁判所は州の死刑法規を違憲であるとした。2007年初頭まで、この法令は変更されなかった。

2006年にニュージャージー州議会は、死刑執行を停止させ、ニュージャージー州における死刑のあらゆる側面を調査するための委員会を設置した。2007年1月の最終レポートで、委員会は死刑廃止を勧告した。

2006年中、別のいくつかの州の死刑執行が、法的な異議や致死薬注射の方法に関する懸念のために事実上保留された。
最終更新日:2007年10月2日

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