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このコラムは、バイトして食いつないでいる、サバイバルモードの絵描きモドキ
だったころの私が、確定申告に悩んだことをメモしたものです。 税に関する相談や問い合わせは、ご勘弁ください。 1 確定申告しなきゃいけない? 作品だけでは食べていけず、勤めていたりアルバイトしたり、でした。 それらは『給与所得』です。 それ以外、作品が売れたとか、 原稿料を貰ったとかで20万円以上の収入があれば、確定申告の義務があります。 それは『事業所得』になります。 アルバイトにもいろいろあり、所得の分類に迷うこともありました。 一応の目安として、源泉徴収票に給与と書いてあれば、給与所得。 書いてなかったり、源泉徴収されていなければ雑所得。 絵描きの腕を買われてのバイトなら、事業所得。 とりあえず、こんなかんじでやりました。 2 「源泉徴収票」が届いたけど、これは何? 企業から仕事を貰って報酬が振り込まれたりすると、 たいてい一割ほど「天引き」されています。 これは「あなたのかわりに所得税を払っておきましたよ」ということです。 1月末あたりに「源泉徴収票」というものが郵送されてきたら、 それは「これだけ所得税を前払いしておきました」という証明書です。 申告のときに提出する必要があります。 必要経費などを計算したら、前払いで納めた税金が多すぎる場合があります。 払い過ぎた分を返してもらうのが『還付申告』です。 入ったお金が『給与』の場合、 『年度末調整』されているかもしれません。これは、 確定申告をしないサラリーマンのために、必要経費が65万円ほど認められていて (給与所得控除と言います)、収入から65万円を引いた残りの金額の一割が、 源泉徴収額になっていると思います。 払いすぎた税金が年度末調整で戻ってきたはずです。 アルバイトの『給与』が『年度末調整』されていないこともあるでしょう。 その場合、還付申告で戻る金額は大きくなります。 3 申告って、どんなふうなのか? 次のような具体例で、考えてみます。
バイトの給料が年度末調整されていない場合の例です。 ここから、必要経費を引いたり、各種の控除を計算して所得税額を出しなおし、 差額を納めたり返してもらったりするのが確定申告です。 4 必要経費は記録をつけて 必要経費はいろいろあります。『勘定科目』という言い方をします。 「地代家賃」「消耗品費」「旅費交通費」「水道光熱費」「通信費」「雑費」「接待交際費」etc...。 これ以外に、10万円を超える道具等を購入した場合、 「減価償却費」という科目で、ややこしい計算をすることになります。割愛します。 経費、と言うよりお金の記録は、持ち歩ける日記帳に記入するのが楽です。 レシートや領収書も捨てずに取って置くべきですが、 美術家(自称)の場合は、日記帳(私はスケッチブックにその場で書き込み)のほうが、 仕事とお金の関係がはっきりするので良い、と思います。 きっちりお金の記録をした日記帳を、そのまま『現金出納帳』としました。 「030103 池袋-御茶ノ水160(交通費)歩 平野さんの店に挨拶」 こんなかんじで『勘定科目』や使途を書いたので、後が楽でした。 経費でないもの(家事消費分)の記録も、サバイバル生活のためには必要です。 5 必要経費の計算と見せ方の具体例 いよいよ表計算の出番 必要経費は預金通帳から出て行くものもあります。 表計算ソフトを使って、預金通帳からピックアップします。 現金で支払った経費も合わせて、『月別集計表』をつくります。 こんなかんじ;(勘定科目は一部省略しています)
按分(あんぶん)の比率などは、ひとそれぞれ。 実態に即して判断することになります。 このように月別集計表を出し、一年分を集計して「経費帳」にします。 6 いよいよ、税金の計算 最初に、言葉の整理を。 (課税対象の)所得 = 収入 − 経費(あるいは、控除) です。 まずは、所得を計算して出します。 上の例で、『給与所得』は; \800,000 − \650,000 (給与所得控除) = \150,000 です。 「経費帳」をつくったら、一年分の経費の合計が \582,850 だった、とします。 すると、『事業所得』は; \1,000,000 − \582,850 = \417,150 になります。 所得の合計は; \150,000 + \417,150 = \567,150 これが『所得の合計』です。 ここから、国民年金や国民健康保険の『社会保険料控除』 (バックレてなければ、年間で合計20万くらいでしょうか)、 それに、保険会社の生命保険や火災保険(家賃の更新のときに払っていませんか?) にも若干の控除があります(独特の計算式があります)。それを差し引くと、 \567,150 −( \200,000 + \3,000 )= \364,150 千の位で切り捨てて、 \364,000 これが『課税対象所得額』。 これに対する税額(税率は10%)は、 \36,400 『定率減税額』(20%)が \36,400 × 0.2 =\7,280 これを差し引くと、所得税額は; \36,400 − \7,280 = \29,120 さて、既に『源泉徴収』で ¥140,000 の所得税を前納しています。 ということは、差額は; ¥140,000 − \29,120 = \110,880 口座振込みで『還付』してもらえます。 バイトの時給が \1,000 だったとしても、110時間分。 バイトで食いつなぐときこそ、確定申告。 7 そして、提出 ネット上に、 国税局のサイトがあります。 そこからリンクをたどると、申告書(白色)をつくってみることができます。 (青色申告というのもありますが、これは簿記の知識が必要です。) きちんと書けたら印刷して、「経費帳」、印鑑、筆記用具などを持って、 最寄の税務署に。 初めての申告のときは、わからないことをいろいろと聞いて。 申告用紙には『職種』の欄があります。 ここに『美術家』や『デザイナー』と書くか、あるいは空欄にしておくか。 いずれにしても、ある種の覚悟が生じます。 その覚悟こそ、還付されるお金よりも、価値あるものだったかもしれません。 8 安易な借金はヤバい! 税金の話から逸れますが、サバイバル状態での借金は、危険です。 月々の返済が食費を直撃。健康状態を損ね、医療費増+収入源でまた借金・・・ こんな泥沼に陥らないよう、自分が使える金額をしっかり把握すべきです。 そのためには、まず、日記帳から。 9 ジォルナーレは、めんどくさいけど、おもしろい。 ルネサンスの美術家たちの多くが日記をつけていた背景には、 数学者のルカ・パチオリの影響があると推測できます。 パチオリは複式簿記の記帳法を完成させ、その普及のために、 まずは日記帳(Giornale)をつけることを推奨しました。 お金の動きの記録です。 レオナルドやミケランジェロの手記の翻訳本にはあまり出てきませんが、 デューラーやベンベヌート・チェッリーニの手記には、 お金の記録がたくさん出てきます。 ルネサンス文化の背景には、芸術家たちが日記帳で自己管理するようになったことも、 大きく貢献しているように思います。 私なりに分析すれば、ルネサンス人の日記帳は次の三要素で出来ている、 と言えましょう; 1: お金の記録 2: アイツはケチだ 3: オレは天才だ ・・・ごめんなさい。冗談半分です。 でも、まぁ、ルネサンスの気分で楽しみつつのサバイバル日記は、おすすめです。 自分の成果の記録に、お金の出入りも書いておく、というだけのことですから。 2003年 2月24日 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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