(Japanese language only)
「技術屋だから広報なんて・・・」と思われる人も多いかと思います。正直に言って、私も今の席に座るまで、広報について考えることなんてありませんでした。しかし、調べてみると、近頃は技術系公務員も広報に力を入れているようです。国土交通省の地方整備局、水資源機構、県の中では福島県土木部が、職員の広報及びアカウンタビリティ(説明責任)に対する意識高揚と広報・広聴技術のレベルアップを図ることを目的に「広報コンテスト」を開催しています。このコンテストでは、職員が実施している様々な広報活動を発表し、その中から優れた活動について表彰しています。
このうち、関東地方整備局の「広報コンテスト」では、審査ポイントのひとつが「アウトカム(成果)」となっています。何をどう作ったかだけではなく、その後どうなって、この先どうするつもりかなど、アウトカム評価の視点に基づいた審査を行っているそうです。
今回、タイトルに「アウトカム広報」という言葉を使いましたが、インターネットで検索してもヒットしませんでしたので、一般には使われてない言葉のようです。しかし、これまで我々農業農村整備事業に携わる者が行ってきた広報と対比させると、この言葉はしっくりしているように思います。すなわち、これまでは、事業が完了する時になって、「こんなものを作りました」とか「作った効果としては、こんなことが期待できますよ」というPRはしてきましたが、作った結果、農業や農村に対する成果として「こんなふうに事業が役に立ちました」というPRは少なかったのではないでしょうか。つまり、「アウトカム広報」をあまりしてこなかったように思います。
「アウトカム広報」として、たとえば、「ほ場整備地区で担い手となる法人組織ができた」、「ほ場整備地区で白ネギの生産高が5,000万円に達した」、「暗渠排水を行った結果、転作が集団的に50haに達した」、「農道の完成により輸送経路が確立した結果、地域の特産品がコンビニに並ぶようになった」なんてPRしてはどうでしょう。これらの成果は、農業農村整備事業だけの効果ではないかも知れません。しかし、元を正せば、我々が基盤を整備して得られた成果に間違いはないのですから、農業農村整備に関わる側からPRしても全然おかしくありません。
私が所属する組織では、「広報が施策の効果を高める」を合言葉にして広報に力を入れようとしています。この「広報が施策の効果を高める」という言葉は、言い得て妙だと思いますが、分かりにくいということであれば、たとえば次のようにイメージしてみてはどうでしょうか。
【事業を機会に生産組織や加工組織が立ち上がり、特産品ができる→広くPRすれば物が売れるだけでなく、生産者や地域の自信につながり、活性化する→事業の結果で地域が活性化したことをPRすれば、事業をやって良かったと農家や住民が思うようになり、顧客(農家や住民)満足度が上がる→顧客が満足すれば、職員の自信にもつながる→広報が施策(事業)の効果を高める】
そんなにうまくいくはずがないという声が聞こえてきそうですが、でも、これまで苦労して完了までこぎ着けた事業なのですから、その成果を最大限PRすべきであることに変わりはありません。もちろん、「新しく近道できる農道ができたのに、知らないが為にこれまでどおり遠回りする」ことがないように、これまでどおりの「こんなものを作りました」という広報は当然必要です。しかし、作ったら終わりということではなく、事業の効果を最大限に発揮させるためには、事業が完了した後に農家が使って得られた成果を「アウトカム広報」としてPRするべきです。そして、そうすることが、行政が住民に対してアカウンタビリティ(説明責任)を果たすことにもなると思います。
さあ、「アウトカム広報」に向かって進め!です。
|