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伊是名日記

伊是名写真館へ

98/8/20〜8/25の旅の記録です。

8/20
1815
 ナントカ仕事を終えて退社。
1830
 大船駅着。
 コインロッカーに朝預けておいた旅グッズを取り出して、突然旅行者に変身。そうだ、昨夜はこの早変わりの準備で睡眠時間二時間だった。急に眠くなってきた。
 バスターミナルにいくとちょうど一時間に一本の羽田空港行きが来た。別に時刻表見てきたわけではないのに。
1920
 ほとんど貸し切り状態のバスに乗り込んで、うとうとしているうちに、羽田空港についてしまった。
 一昨日電話して、特割り切符、押さえてあるし、終わらないに違いないと思ってた仕事もまがりなりにも終わらせられたし、駅に行けば一時間に一本のバスがちょうど来ているし、ちょうど眠かったところで居眠りはできたし、しかしこれはめでたいではないか。きっと今回の旅は前途洋々だ。だからビールを飲もう。
 切符を購入。荷物を預けて身軽になって、空港内のレストランで晩飯ビール。ジョッキ2杯。ささやかな壮行会。ここで、正しいさすらいの旅人としては、都会に残していく女などに「行かないで。さびしくなるわ。一日に二回は電話してね」などと泣き付かれたりするのを邪険に扱ったりするのだけれど、ぼくの場合はもっと正しい旅人なので、都会でもさすらいの旅人であり、だから、女などというものは泣き付いてきたりはしない。これもぼくの人徳のなせる業である。しかしぼくだったら、一日二回の電話ぐらいならなんべんだってしてやるんだがなあ。
2020
 缶ビールを買い込んで、搭乗。一番前のスチュワーデスの座席の向かいの席。ますますもって今回の旅はツイているようだ。
2040
 ちょっと遅れて離陸。沖縄の天候は晴れ、気温は摂氏31度、との放送。
2330
 那覇は雨が降っていた。昼間の余熱の残った熱いアスファルトに降った雨から発せられるもわっとした空気が体にまとわりついてくる。
 タクシーに乗って、今日の宿を探す。なんだか、空手か何かの大会があって、市中のホテルがほとんど満室らしい。4軒ほどだめだったが、何とか5軒目に町外れのホテルが見つかった。
 晴れの予定なのに雨が降ったりしているのが少々気になるけれど、まあしかし、宿も取れたし実にめでたい。オリオンビールを購入し、部屋で飲む。何だか忙しい一日で盛り沢山だった。疲れたので早々寝てしまおう。

8/21
0830
 朝、ゆっくり起床。
0930
 歩いてバスターミナルへ。バスターミナルの食堂で「モーニング」を食べる。要はポーク卵セット。ベーコンも載っていた。
1000
 名護行き21系統名護東線に乗り、名護に向かう。沖縄は東海岸がいい。起伏を超えるごとに現れる小さな入り江がいい。大きなリゾートホテルが林立していたりする心配もない。
 とはいえ、名護まで3時間弱。長い。昨日の疲れがまだ少し残っていて、眠い。うとうとする。すると、頭上の冷風吹き出し口から水が頭に垂れてくる。目が覚める。でも眠い。車内は心地いい涼しさである。夏の日差しが差し込んで空気はほくほくしている。うとうとする。しばらくするとまた水が垂れてきた。どうも下り坂でバスがブレーキをかけると水が垂れるらしい。まあ、いいや。どうせTシャツに綿パンだし、別に水に濡れて困ることもない。もう水が多少垂れてきても気にしないことにした。気にしないことにしてしまえばたまにしずくが垂れてくるのは意外に気持ちのいいものである。
1300
 夢うつつの間を濡れながらさまよううちにとうとう名護のバスターミナル着。運天行きのバスまではまだ一時間以上ある。ベンチに腰掛け、売店で売っていたお弁当を肴にビールを飲む。伊是名の宿も予約した。アイスを食べ、それでも暇を持て余す。どうもまだ東京の時間感覚を持ち込んでしまっているようだ。
 いままで沖縄に来るときは毎回、船で来た。船で来ると、船の上で時間を持て余し、時計を気にしなくなり、沖縄に着く頃にはめでたくウチナータイムが身についてしまう。しかし今回は忙しかったその日のうちに沖縄までやってきてしまった。
 一時間ぐらいの時間がただぼけーっと過ごせないようでは先が思いやられる。一念発起、ぼくはあと40分、ベンチから立ち上がらず、ただ雲を眺めることにした。青い空に白い雲。当たり前のことだけど、沖縄ではそれが新鮮だ。もくもくと盛り上がる細かい入道雲が、風に飛ばされて刻々と姿を変えていく。
 ときどきバスが到着して、バスが発車していく。
 名護のバスターミナルは町外れにあって、どのバスも町の目抜き通りでお客をおろしてから到着する。バスターミナルまでわざわざ来てバスに乗る客もほとんどいない。だからバスターミナルは静かである。さっきまで吹き出ていた汗がだんだん止まってきた。ときどき吹き抜ける乾いた風が心地よい。
1420
 40分が無事経過。運天行きのバスがやってきた。このバスは一日5便。別に時刻は調べてなかったけれど、それはやっぱり行く先が運天だから、運を天に任せてとりあえず来てみたらちゃんと乗れるのである。さすが運天。
1450
 バスは本部半島の基部を横切り、運天に着いた。突然大粒の雨が降りだして、港の待合所までの数十メートルでびしょぬれになってしまった。まあしかし、これも運である。運天に着いて、天のご機嫌が斜めだったからびしょぬれになったりするのは、何だかきちんと運天している、という感じがして楽しいではないか。オリオンビールを購入して、何だかわからないけれどとにかくめでたい。一気に飲み干す。うまい。実にめでたい。
1515
 雨の中、伊平屋行きの船が先に出航して行った。続いて伊是名行き「ニューいぜな」も出航する。またびしょぬれになりながら伊是名行きに乗り込む。傷一つない新造船で、走り始めてからまだちょうど一カ月だと言う。何だかやはりめでたいので、船内を一巡りしてみたのだがビールの自販機がなかった。実にめでたくない船である。
 子どもがいっぱい走り回っていて、にぎやかだ。しかし島に行く船で、エンジンと舵の次に大事なのはビールの自販機だと思うけれど、まあ、いいや。とはいえ、ぼくが乗船するやいなや雨は上がってしまい、あとからぞろぞろ乗船してくる客は濡れることもなくタラップを上がってくる。なんとなく悔しいような気もしないではない。
1540
 少し遅れて出航。屋我地島、古宇利島を右手にみて、船は外海にでる。甲板の手すりにもたれて海面を眺める。べた凪である。
 太陽がちぎれ雲の向こうに隠れたり、また出てきたりする。ビールがないのは返す返すも残念であるが、船旅はやはりいい。飛行機で来てしまったけれど、やはりぼくには船旅のほうがいいみたいである。
1630
 もっと乗っていたいけれど、伊是名は近い。50分で着いてしまう。旧型の船は1時間15分船旅が楽しめたのに、高性能というのも困ったものである。みるみるうちに伊是名が近づいてきて、接岸した。
1630
 宿の車が来てくれていた。今夜の宿は島の反対側の伊是名集落にある。昔は伊是名が島の中心だったらしいのだが、指定港が仲田港になって、近年は仲田港ばかりが栄えている。新しい家が多い仲田の集落をあとにして、伊是名集落に向かう。伊是名集落は山の向こうである。坂を登って、道が下り坂に変わると、目の前にエメラルドグリーンの海と、その手前に広がる緑に囲まれた落ち着いた集落が目に入った。
 坂を降りていって、テーブルサンゴ積みの石垣の間の道に入る。石垣と深い緑の木々に囲まれて、赤瓦の家々の屋根が見える。
1640
 宿に着く。宿も赤瓦の建物である。冷たいお茶をいただく。
1730
 ひと休みして、集落を散歩する。古い沖縄の心がそのまま風景にまでにじみ出しているような、ほっとする集落である。
 映画「パイナップルツアーズ」というのがあって、沖縄県産の素晴らしく面白い映画なのだが、この集落はそのロケが行われたところである。映画に出てきたような建物や路地がそこここにある。記憶があいまいで、自信はないけれど、この建物があの場面のロケ地だな、と思われるところもある。
 西漁港に行ってみる。やはり映画にもでてくる小さくて大変穏やかないい港である。港はそのままそこにあった。子どもたちがたくさん遊んでいて、突堤の先端から海に飛び込んだりして遊んでいる。
1830
 宿に戻って、泡盛をいただきながら晩ご飯を待つ。オジィがいて、泡盛をすすめてくれる。この宿のオバァとは、ムンチューだそうだ。ムンチュー(門中)というのは、沖縄独特の大変強力な親戚組織で、一人前の男になると、ムンチュー費を納め、いろいろな行事を手伝い、その代わりさまざまな相互扶助が受けられるという、いわば親戚共済のようなものであろう。詳しくはわからないけど、祖先とのつながりを重視する沖縄らしい組織であると思う。
 オジィは10年ほど前まで横浜にいたらしい。横浜にいていろんな工事現場で働いた。働きながらいろんな場所を見てきた。東京駅の地下ホームを作る作業のときは東京に泊まり込んで東京見物をしたし、埼玉や仙台もビル工事をやりながら見物したよ。君も若いうちにいろんなところに行くのはいいことだ。どうだい、伊是名は。いいところだろう。ほっとするさあ。
1910
 だいぶん酔っ払って晩ご飯。宿のオバァの親戚の子どもが来ていてにぎやかである。明日サッカーの大会があって、それで今、島には子どもが溢れている。
2100
 オバァは畳の上で横になってすうすう寝息を立て始めた。たくさんいた子どもたちもみんないなくなってしまった。小声で、お休みなさい、と言って、自室に引き上げる。オバァは寝息を立てたままだ。
8/22
 やっと、ウチナータイム化が進行してきたようである。よって、今後は時刻はよくわからないので、テーゲーで行くこととする。
あさ
 起床。朝食。
 今日はお客さんがたくさん来るので、部屋をうつらないといけない。本当は全室満員のところ、無理を言って泊めてもらうのである。六畳の部屋から三畳の部屋に都落ちである。書斎にしてしまいたくなるようなこじんまりとした部屋だ。
 自転車を借りて、集落を巡る。ついでにちょっと遠乗りして、勢理客集落まで行き、自販機のお茶をのんで帰ってきた。
 伊是名はさとうきび畑のほか、たんぼが目立つ。二期作だそうだ。いま今年二度目の田植えの真っ最中である。たんぼの向こうに海が見える。海には地元でヒンプンの島、と呼ばれている屋那覇島が細長く横たわっていて、その島と伊是名集落との間の海は静まり返ってコバルトブルーに光っている。ヒンプンというのは、沖縄の民家の門を入ったところに、目隠しのようにして立っている、魔除けの塀のことである。
 帰ってくると喉が乾いている。宿の近くの売店の場所を聞き、ビールを買いに出かけた。
 行ってみるとほれぼれするような赤瓦の建物。ヒンプンこそないけれど、石垣に囲まれた庭には花壇があって、花が溢れている。建物は正しい沖縄的建築で、縁側があって、その奥の一段高くなったところにニス塗り木枠の渋いショーウィンドウがあって、ガラス窓つきの冷蔵庫にはビールが冷えている。その奥は普通の生活スペースである。店の名は書いてないけれど、聞いてみれば山川シゲ商店というらしい。店のオバァの名前そのままだ。
 オバァもむかしは横浜にいたらしい。鶴見に住んでいたという。ぼくも鶴見の沖縄人街に行ったことがる。しかしオバァが鶴見にいたのは戦前の話であった。話はなかなかかみ合わない。
 縁側に座って、オバァとお話をしながらビールを飲む。
 ちょうど、今日は日食である。30%ほど欠けるらしい。まあしかし、太陽がちょっと欠けようがどうしようが、どうでもいいくらいに気持ちがいい。というのは負け惜しみであって、あまりに気持ち良くビールが飲めるので、すっかり日食のことを忘れていた。
 根の生えかけた尻を無理矢理縁側から引きはがしたら、とっくに太陽は丸く戻っていた。
ひる
 勢理客集落とは反対側に海岸沿いを行くと、海岸に奇岩がそそり立つ景勝地、海ギタラ・陸ギタラがある。自転車で出かけた。展望台があって、写真など撮っていると家族連れがやってきた。ジュースとおにぎりをいただいて、一緒に食べる。子どもたちは元気に走りまわって、開放的な展望台なので落ちそうでひやひやする。
 さらに自転車で行くとまた展望台。ここでも写真を撮って、さらに海岸沿いを走って仲田港にやってきた。待合所のテレビで高校野球の決勝戦をやっていて、これは見ないといけない。オリオンビールを買ってきて、横浜高校の活躍を肴に飲む。
 絵はがきを買って、宿に戻る。また山川シゲ商店でビールを購入し、今度は持って帰って横浜高校の続きを肴に飲む。何だかいい試合で、おかげでビールが進む。
ゆうがた
 伊是名西漁港のまわりは白砂のビーチで、キャンプ場にもなっている。三点セットを持っていって泳ぐ。キャンプ場の近くなので踏み荒らされていてごみも多く、魚は少ない。上がってシャワーを浴びる。シャワーのある「海水浴場」で海水浴するなんて何年ぶりだろう。いや、ほかに人のいるビーチで泳ぐのでさえ何年ぶりかわからない。何となく恥ずかしいような気がして居心地が悪い。
 海水浴場からの帰り道、真っ青な空に盛り上がる入道雲の脇に、きれいな二重の虹がかかった。
よる
 今日はたくさんお客さんがいて、昨日にも増して晩ご飯がにぎやかである。ただしぼく以外は全員でひとグループ。ぼくの出る幕はないので早々引き上げて部屋でおとなしくビールも飲まずに絵はがきを書く。
8/23
あさ
 超早起きをして4時30分、三脚とカメラセットを持って出発。日の出を撮ろうという算段である。前日遅くまで絵はがきを書いていたから、眠い。外はまだ真っ暗である。鶏が盛んに啼いているから、朝は近い。
 集落は点々と街灯があって歩けるが、集落を出はずれると漆黒の闇になった。昨日が日食だから今日もほぼ新月。もちろん月はない。星は満天、天の川はうねりながら天を横切っていて賑やかだし、明けの明星も静かに光っている。星明かりに照らされて、さとうきび畑がぼーっと浮かんで見える。しかし肝心の道はアスファルトで、黒くて全く見えない。
 伊是名にハブはいないけれど、たんぼはいま代かきが終わって泥の海である。間違えて道をはずして泥の海に落ちるのは御免だ。ぼくの体と服は洗えば再利用がきくが、カメラセットは壊れてしまう。公民館前まで引き返し、ベンチに腰掛けてしばし小休止。空が白んでくるのを待ち再出発。しらさぎ展望台という、何だかあんまり沖縄の匂いか感じられない名前の展望台が目的地である。
 写真をたくさん撮って、集落まで戻ってくると、集落じゅうにラジオ体操の音楽が響き渡っている。ぼくは部屋に戻って、ずいぶんと間の開いた又寝をする。
 又寝のあと、朝ごはん。
おひるまえ
 朝、動き回って疲れたから昼寝をして過ごす。洗濯もする。
 山川シゲ商店に行って、ビールを350ミリリットル2本飲む。1本はオバァのサービスである。プルーンと黒糖もいただく。飲んだり食べたりしゃべったりする間、誰も現れない。
 空は真っ青に晴れている。相変わらずはっきりした小さな白い積乱雲が、いくつも盛り上がっては流れていく。
 帰り道、集落内にある銘刈殿内に寄る。伊是名出身の第二尚氏の尚円王の親戚のお屋敷である。丁寧に手入れされていて、昼間は雨戸も開けて中がのぞき込めるようになっている。庭のハイビスカスがきれいである。
おひるすぎ
 昼寝をして、ビールを飲んだだけなのに、もうおなかがすいてきた。仕方がないので自転車をまた借りて、山の上の集落にあるお店までお弁当とビールを買いに行く。
 実はこの自転車、下り坂ではブレーキをかけなくても適度なスピードで走行することができるという、下り坂抑速機構を内蔵していた。しかしちょっとした欠点もあって、抑速機構は始終稼働しているので平地では全力で漕がねばならず、上り坂は押して登る必要がある。無理矢理漕ごうとすると安全機構が働くのであろう、チェーンが空回りをする。つくづく素晴らしい自転車である。ダイエットにもいいに違いない。
 だから一生懸命自転車を押して山の上の商店まで行き、お弁当とビールを予定通り購入。帰りは、抑速機構でゆっくり戻っていたらビールがぬるくなる恐れがあるので、安全機構が働かない範囲内でペダルを漕ぎながら坂道を下る。頭の中に、自転車の前のかごの中で揺すられているビールの泡と琥珀色がありありと浮かんできた。
 お弁当を食べ、ビールを飲んで、昼寝をする。至福のひととき。
ゆうがた
 昼寝がすんで、起きてうたた寝をしていると、日が陰ってきた。風も出てきたようだ。いままでは暑すぎて外に出る気がしなかったけれと少し涼しくなったようだ。宿のハイテク自転車を持ち出して昨日とは別の浜に泳ぎに行くことにする。朝、朝日を撮りに行った展望台の近くの浜である。
 途中、急に雨が降りだし、公民館で雨宿りをする。豪雨である。道がすぐに川になった。川になった道を自転車に乗った子どもが2人、濡れ鼠になって、しかし別に急ぐ風もなくゆっくり走って行く。
 雨は10分ぐらいで小降りになり、20分で止んだ。予定通り泳ぎに出かける。海水はきれいだったが干潮で、行けども行けども深さは膝下ぐらいしかない。泳ぐと言うよりも腹ばいになって水中はいはいでもしている感覚である。
よる
 今夜はぼく一人である。晩ご飯のあと、絵はがきの続き。とうとう全部書き上げた。充実した一日だった。意外と遅くまで開いている山川シゲ商店に行って、ビールを2本買ってきた。これを飲んで早く寝よう。
 しかし、島に来てまで充実した一日を送っているようでは、まだ甘い感じだ。修行が足らんようではある。
8/24
あさ
 今日も朝日でも撮ろうかと思っていたのだけれど、起きたらもうお日様は高く上がってしまっていた。ご飯を食べ、ひと休み。だいぶん島時間が身についてきたようだ。
 郵便局が開く時間を待って、山の向こうの郵便局に向かう。たくさん書いた絵はがきに貼る切手を買わなければならない。また、ハイテク自転車で出発。回り道をしたりして、汗だくになりながら郵便局に着く。郵便局には冷たいお茶が準備してある。ありがたく頂く。
 集落に帰って、当然のように山川シゲ商店におじゃまして縁側ビール。日課である。運動のあとのビールは美味い。最高。
ひる
 きょうは宿のオバァがお昼ご飯を作ってくれた。お昼のあと、オバァの運転で島を一周案内してもらう。帰途、「ふれあい民俗館」で下ろしてもらい、民俗館で冷たいお茶を頂いてから歩いてチヂン山に登る。登山道沿いには、心地よい風の通る休憩所がいくつもあって、それぞれで30分ぐらいずつ休憩する。景色は素晴らしい。流れるいくつもの雲が集落に影を落として陰影をつけている。海上、北には伊平屋と野甫、南東には屋那覇、伊江、そして西から南に長々と沖縄本島が横たわっている。沖縄本島の上には累々たる入道雲が盛り上がっている。
 山道は涼しく休憩所も涼しかったのだが、集落までの道はアスファルトで炎天下、アタマが蒸発してしまいそうな暑さである。当然、山川シゲ商店に直行する。店のオバァは、ぼくが現れたとたん、何も言わずにビールを2本持って出てきてくれる。
よる
 今日は本当に疲れた。夜はテレビなんか見ながら、すぐに寝てしまう。
8/25
あさ
 今日は伊是名を出て古宇利島に向かう予定だったのだが、古宇利の宿のご主人が夜は不在だそうで古宇利に一軒しかない宿が取れなかった。今日は名護に泊まることにする。名護で帰りの飛行機の格安航空券を買うつもりだ。
 出発準備を終え、山川シゲ商店に挨拶に行く。ビールがすぐに出てきそうだったので、
「いや、今はビール、いらないんです」
と、あらかじめ牽制する。
 ちょうど別のオバァも話しに加わって、あっと言う間に一時間。餞別に、伊是名出身の画家、名嘉睦念さんデザインの「ニュー伊是名就航記念」の黒いかっこいいバンダナを貰った。このデザインは「空の象り」というらしい。なんと読むんだろうか。
ひる
 いよいよ宿の部屋を片づけ、荷造りして、オバァの車で出発。港でオバァの写真を撮ろうとするが、なかなか撮らしてくれない。やむなく諦める。港で自分用の泡盛を購入。これは名護から自宅に送ってしまうつもりである。
 船に乗ろうとすると、雨が降ってきた。
 雨の中、「ニュー伊是名」に乗り込む。来るときもそうだったけれど、港も船も雨に濡れていた。


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