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一番東の海上保安庁の建物の前に、若い青年がぼーっと雲を眺めていた。声をかける。東工大の学生だそうだ。
「そうそう、ぼくも学生の頃はそうやって雲の流れるのを飽きもせず眺めていたよ」
「あ、これは、気象の観測中でして……」
夏の間、一週間ぐらいずつ交代で、学生がここに泊まり込んで観測をするのだそうで、風船を何時間かおきに上げてオゾン濃度を計ったりするらしい。
さて、梅雨が明けたばかりで、天気は快晴、日陰の全くない島で、頭が蒸発してしまいそうである。のども渇いて来た。
船に乗り込む前にとりあえず缶ビール2本と水を用意したのだけれど、船の上ですでにビールは無くなってしまい、あとは水が500ミリリットルだけ。これは大切に使わなければならない。
で、ちょうどテントから顔を出してお茶を飲んでいた、キャンプをやっているおじいさんに声をかける。
「ちょうど今沸かしたところなんじゃ。飲まんか」
策略通り、お茶を頂くことに成功。あっという間に飲み干して、
「おいしいですねぇ」
「どうだ、じゃ、もう一杯」
本当はビールを期待したんだけど、三年前から禁酒している、とのことで、テントの中、アルコール類はナシ。残念だけど、こればかりは仕方がない。頭の中でビールをイメージしながらお茶を飲む。
とても、おいしい。
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