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おじいさんはもう40年も、この第二海堡に通い詰めているという第二海堡フリークだった。テントに上がり込んでおじいさんの話を聞く。
この島は島の形をしているけれど、その実、ビルみたいなもので、このテントを張っているところも地下に三階建ての空間が埋まっていること。
何十年か前に入り口を全部ふさいでしまったので、今はその中に入れないこと。
島は年々形を変え、どんどん崩れて砂が海に流れていっていること。
隣の第三海堡(神奈川側)はほとんど崩れてしまっていること。
第一海堡(千葉より)は一時期干潮時歩いてわたれたこと。
おじいさんは70歳くらいに見えたけれど、もう、85歳だという。
「すごいですね。ぜんぜんそうは見えないですよ」
「そうかな。いやいや、まぁ、もう一杯茶をのまんか」
「あ、ありがとうございます」
ビールではない。お茶である。でも、ビールをイメージしながら飲む。やはりおいしい。
「いや、最近はさすがに目が霞んできてな。歩くのも、自分ではまっすぐ歩いてるつもりなのに、人から見るとふにゃふにゃ歩いているらしい」
今回はここで4泊ほどして、釣りをするらしい。
「今日は釣らないんですか」
「いや、今日はとりあえずノンビリするんじゃ」
「なるほど」
テント建てたりものを運んだりするのはもう少し若い相棒のシゴトで、おじいさんは専ら茶を飲んで、テントの窓から外を見るのが今日の仕事。
「相棒さんはどこに行ってるんですか」
「どこに行ってるのかのう。朝出ていったきり、戻って来ん」
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