記憶: 音と曲


久しぶりにカラオケマイクを握った。  画面から歌詞が流れても

曲が・・たしかに知っているはずの その曲が出てこない 。

まわりのみんなが不思議そうに  そして早くと促すように こちらを見ている 。 

でもどうしても その曲は口から出てこない。

何度も歌ったこの曲もあの曲も 詩は頭の中に残っているのに

曲だけは溶けるように きれいになくなっている。


一人で乗った車の中で カラオケで流れたあの曲を  走りながら口に出す。
 
誰も聞いていないのにおずおずと・・・


詩と曲とが一緒になると  歌になる 歌ってなんだろう。

詩と曲がバラバラに離れると  歌ではなくなってしまうのだろうか。

自分の声が自分の耳に届かない 出まかせに口ずさんでいる この曲は歌なのだろうか。

それでもわかっている  前に覚えていたあの曲でないことを・・・


この歌の詩と曲が合っていたのは  いつ頃のことだろうか。

自分の声が自分の耳に届いたから それはわかったのに・・・

自分の声を忘れてから 三年過ぎる  目で覚えたのは 残っているのに

耳で覚えた音は だんだん消えていく 二度と戻ってこない 音と曲

shimuro