浄土真宗親鸞会 親子ネット
父への手紙 願いを込めて
佐野 多美子(仮名)
幼いころより気管支が弱く、喘息に長く悩まされました。発作のつらさは思い出すだけで鳥肌が立ちます。
看病に疲れた母を見ていると、早く治りたいと思う一方、
「このまま息が止まれば楽だろうな、お母さんも楽になれるかな」
と何度も思いました。しかし悲しむであろう両親を思うと、精一杯生きなければと思い直すのでした。
やがて体力がついてくると、
?苦しむ人を助けたい。そばに寄り添い、力になりたい。私の存在意義はそれしかない?
と思うようになりました。繰り返し読んだナイチンゲールの伝記、看病してくれた母、福祉の道を歩む父の影響でした。
しかしそのころ、父が体調を崩してしまいました。夢に燃えて老人福祉の事業を立ち上げ、朝から夜まで心血を注いでいましたが、悩みが絶えず、疲れ切って心の病となったのです。父の生き方にあこがれていた私にとって、しおれ切って別人のような父の姿は衝撃でした。
「全力を尽くしたならば、思うようにいかなくてもそれで十分ではないか。少しでも人の役に立つことをするのが人生と教えてくれたのは父ではないか」という思いでいっぱいでした。
ところが、父を慰め励ますうちに、私の思いは揺らいでいきました。人はなぜ生きねばならないのか、分からなくなってしまったのです。かつて、「死んでもいい」と思っていた時の自分がよみがえってきました。
そんな時に、親鸞聖人のみ教えに出遇ったのです。
人生には目的がありました。苦しい人生、なぜ生きる。その答えがあったのです。これこそが求めるべき真実と知らされた喜び、感謝は例えようがありません。
私はだれよりも両親に伝えたくて、一緒にご著書を拝読し、地元の親鸞会の講演会にも参詣しました。そして、平成9年、高森顕徹先生ご法話で、親子肩を並べて聴聞することができました。大学卒業後、仕事を手伝いながら伝えようと思い、父の事業所に就職をしました。
そんな昨年の冬、父が再び心の苦しみを訴えました。その場は何とか抑え、その夜、初めて父に手紙を書きました。
〈仕事は大事です。でも、もっと大切なことを私は知りました。私だけでなく、お父さんにとっても〉
〈私の夢は、家族皆で仏法を求められるようになることです。私の願いはこれだけだから。ずっとお父さんの幸せを念じています〉
父は私の思いを受け止めてくれ、4月に2000畳の親鸞会館へ初参詣となりました。私が家族にできることは、一つしかありません。何としてもこの仏法を伝えたいと思います。