アニメ作品を通して見える韓国人のメンタリティ

キックオフ2002
(月曜・NHKBS2 夕方18:00〜…放映終了)

 イタリアのユースチームでゲームメーカーとして活躍するサッカー好きの少年「健一」と、そのチームにやってきた次期韓国代表のストライカーと目される少年「カン」との出会いと交流を通して、若者達の青春を描く。


近年まれに見る凄い作画

 2002年日韓共催W杯に併せて製作されたと思われるこの作品。「共同制作」となってはいるもののOPもEDも韓国語で歌われているし、作画などもほとんどあちら製のようだから、事実上は韓国製なのだと思われる。
 作画のレベルは、はっきりいって酷いものである。人物や背景、小物や車や建物といったありとあらゆる絵が歪みまくり、ディテールは省略され積木のようになる。人物の顔はコロコロ変わるし、シーンごとの顔の向きの統一もまるで気を遣われていない。20年前の日本アニメだってもっとマシだったくらいだ。
 特に目について酷いのは色である。まるでポスターカラーをぶちまけたかのような原色、蛍光色が平気であちらこちらに使われまくる。色彩設計もクソもない。クレヨンを貰った幼児が大喜びで塗り絵にムチャクチャ描きまくったんじゃないかと思えるほどだ。これは色別に番号の付けられたアニメカラーを筆で塗っていた時代と違い、マウスのクリックでどんな色でも使い放題になったデジタルアニメだからこその弊害といえるだろう。
 ところが、ストーリーの方はというとこちらは落書きのような作画とはうってかわって真っ当な作りになっている。「崩れる」とかいうレベルをはるかに超えて破綻した作画にめげずに見続けると、この作品を通してかの国の人達が何を訴えたかったのかが見えてくる。
 
 

不器用だが素朴な「願い」

 相当に政治的な意図を込められて製作されたと思われる本作品、メインとなる登場人物の性格付けにもそれは現れている。
 「日本人」である健一は、天才的なサッカーセンスを持っているもののサッカーに対する情熱はそれほど強くない、ただサッカーを楽しめればそれでいいというキャラクターとして描かれていた。そして一方、「韓国人」であるカンは、国の名誉のためという高いモチベーションを持ち、事実ストライカーとしての能力も桁外れなものを持っているものの、周りと合わせるということを全くしない独り善がりな人物として描かれていた。
 だがその二人が出会い、最初は反発し、そして互いを認め合い友情を育てていく過程において、健一は一つの事に情熱を傾け一生懸命になることを知り、カンは仲間を信じて共に力を合わせることを学んでいく。「サッカーWカップを日韓で共催することによって両国の関係がこんな風に育ってくれたらいいな」という、笑っちゃうくらいに素朴な願い。それが1年を通して描かれたストーリー内で訴えたかったことの全てだろう。
 ところが現実では、Wカップ前と後では両国の関係は改善したとは言い難く、むしろ相手の嫌な部分ばかりを見せつけられた結果、逆に悪化してしまったのが残念だ。
 「誤審」として片付けられてしまった露骨な偏向審判、自国チームさえ勝てればそれで良いとばかりに相手チームを貶し侮辱する「応援」、自国チームが出場しない試合の極端な低人気などなど、「韓国Wカップ」において噴出した多くの嫌な思い出は未だに尾を引いている。あんなことをする連中は好きになれない、あんな国は嫌いだ。そういう考えに至ってしまっても仕方がない。というよりむしろそれが自然だろう。
 だが一方で、この「キックオフ2002」という作品に、素朴で不器用だが一途な想いを込めたアニメスタッフ達のような人達もかの国にはいるらしい。そりゃそうだろう。日本人だって色々な人間がいるのと同様、韓国人にだって色々な人間はきっといるに違いない。別に私はここで、「本当は韓国人はいいひとなんだからもっと仲良くしよう」なんて陳腐なメッセージを訴えたいわけではない。現に、「韓国Wカップ」から感じた多くの「嫌な思い」は確実にまだ心の奥のほうにシコリみたいになって残っている。ただ、「キックオフ2002」というアニメ作品を通して、たどたどしくも不器用だが、純朴で素直な「仲良くしたい」というメッセージを感じたこともまた事実なのだ。



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