密接に関連するファンタジーと日常

とっとこハム太郎
(金曜・TV東京系 夕方18:30〜)

 小学生の女の子に飼われているハムスターの視点から、ハムスター社会や人間社会の様々な出来事を描いていく。


ファンタジーと日常の隙間

 商業的に言えば、「とっとこハム太郎」は驚異的なグッズの売り上げを誇る一大キャラクター商品郡として認識されている。文房具、衣類、日用品、玩具とありとあらゆる分野で、愛らしいハムスターのイラストが描かれたキャラクター商品を見ないことはない。とにかく「ハムスターさえ描いてあれば売れる」とばかりに紛らわしいパチ物のハムスターグッズも山のように存在している。
 では、このアニメ作品は単にキャラクター商品の人気に乗っかって作られただけの便乗アニメなのだろうか? それがそんなことはなく、毎回毎回、心温まるいいお話を見せてくれる良質な作品となっている。もし自分に子供がいたら、現在放映中の作品の中で安心して毎回見せることができるものはこの「ハム太郎」くらいしかないんじゃないだろうかと思える。「おジャ魔女どれみ」も良作だとは思うが、あれはたまにえらくダークな話が混じることがあるし……。
 基本的に人間に飼われているハムスターの視点を中心にストーリーは展開するのだが、このハムスター、ケージの中で一日中おとなしくしているようなどこにでもある普通のハムスターではなく、飼い主の目の届かないところでは当然のようにケージを抜け出し、秘密の会合場所へ向かい他のハムスター達と会い、遊んだり話をしたりしている。他のハムスターたちもそれぞれ誰かに飼われているハムスターであったり、飼い主を持たない野良ハムスターであったりする。ハムスター同士が交友を持っているのと同様、その飼い主達も学校の同級生だったり、ご近所だったりという縁で、互いに交友をもっている。
 この作品の面白いところは、このように作品を構成する世界が「人間の社会」と「ハムスター社会」の2つに大きく分かれているところだ。もちろん互いに関係しあってはいるのだが、双方とも相手に対する認識に差があり、人間からはハムスターはあくまで「飼っている動物」であり、ハムスターが話している言葉など理解出来ないし、自分の飼っているハムスターたちが自分たちの知らないところで交友を持っていることなども知らないのに対し、ハムスターは人間の言葉を理解し、彼女たちあるいは彼らのために何かをしようと時折団結して努力をしたりする。
 人間とハムスター、二つの世界が互いに奇妙な関連性を持ちながらストーリーが進んでいく。我々が普段暮らしている「現実世界」のすぐ側に、思いも寄らない「ファンタジー世界」が存在し、私たちは知らないうちに、普段からその世界からの影響を受けて生活しているという世界観は、子供にとってはとても夢を与えてくれるものである。しかもその世界への入り口は、誰でも簡単に飼うことの出来るハムスターだというところが心憎い。
 
 

多彩で魅力あふれる登場人物たち

 登場するキャラクター達は、もちろんのことだがハムスター達と人間達の2種類に大きく分けられる。ハムスター連中が個性的な面々が揃っているのは当たり前だが、人間の方もなかなか品揃えが豊富だ。子供達だけでなく、両親同士のネットワーク、親が仕事上で付き合いがある人達、親戚、学校の先生達、近所の小さな子供など、年齢層だけをみてもバラエティに富んでおり、様々なエピソードが発生して飽きさせない。
 視聴者層としては「親子で一緒に」というのを想定しているのであろう、子供達の交友関係だけでなく親同士の交友関係が描かれる機会が比較的多い。これがまた、「そろそろ小学生くらいの子供がいてもおかしくない年齢」である私なんかにはツボにはまったりする。親バカ全開で突っ走るお父さんズの暴走は見ていて楽しい。
 というか、アニメを見ていて主人公たちではなくそのお父さんたちに共感してしまうのってどうしたものだろう。
 そうそう、両親より少し年齢層の低い登場人物もいる。学校の先生だ。主人公達のクラスの担任は男の先生なのだが、けっこう長いことつきあっている女性がいる。その女性とのなれそめや交友を深めていく過程などは、(ハムスター達の影なる援助努力も含めて)順番に描かれてきているのだが、先日その二人が結婚するというエピソードがあった。
 その結婚の決め方っつったら凄かった。普通にデートしていて、突如思い立ち「結婚しましょう、今週末の日曜に式を挙げましょう」とか言いだす。おいおいとか思っていたら、本当にその数日後にいきなり式を挙げて結婚してしまうのだ。
 そんな3日か4日で結婚式が挙げられるんだったら誰も苦労しねえんだよ!!
 ハァハァハァ……。すいませんちょっと取り乱しました。
 リアルにそういうことを考えざるを得ない年齢になった身としては……ちょっと……。



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