名作鑑賞
 第20話 スケートの女神 (昭和49年2月18日放送)

脚本:辻真先/原画:小松原一男、丹内司/動画:神田光臣、金沢銅一、金順子、(東紀プロダクション)/美術:福本智雄/作画監督:小松原一男/演出:勝間田具治


 

<ブー子> きれいねぇ…ホントにきれい。
<友男> 36、37
<ブー子> ああ、あたしも滑ってみたいなぁ、あんなにきれいに…
<友男> 38
<リミット> なに数えてんの?
<友男> おねえちゃんが「きれい」って言った数だよ。
<ブー子> 余計なお世話です!
 
<男の客> この野郎、ひとがいい気持で見ていれば――
<友男> おねえちゃん!
<ブー子>
  すいません、あたしが――それにしても、きれいなコブ――あ…
<友男> 39回!
<男の客> このォ!
 
 
<坂田先生>
 
信じられん、本当にスケート靴をはいたのは今日がはじめてなのかい?
<リミット>
 
はい
<坂田先生>
 
ウーム、するときみは天才だ。 よし、もう一度やってごらん!
<ハンス>
 
まさしく天才……とうとうスターを掘りあてたぞ!
<ブー子> リミットちゃん、どうだった?
<リミット> ええ、そういうブーコは?
<ブー子> あたしなら、まあまあね。
<リミット> じゃ、あたしのほうもまあまあよ。
<ブー子> ウソよ、すぐおとなのリンクへ行ったじゃない。
<リミット> あっちのほうがすいてたからよ。 あたしだって、今日はじめてだもん、スケートは。

<一円> ご注進、ご注進! かねがねご自慢は聞いてましたが、ボスはスケートはうまいんでしょ?
<ボス> 名人の域に達してらあな、それがどうしたんだい。
<一円> 実はリミットと信子のやつがね、放課後リンクへ行く相談をしてましてね。
<ブー子> わかった? あわてちゃいけないのよ、あわてちゃ。
<リミット> うん
<ブー子> かかとを同じ位置に引きつけて――(ええ)、そうそうそう、つま先はいつも直角に広く――これを忘れるとですね――あらら。
<リミット> ブー子、よくおぼえてるわね。
<ブー子> 遊ぶことなら、すぐおぼえるんだ。
<ボス> 特別にオレが、いっちょ教えてやろうか? 来なよ、リミット、金時にかわって今日はオレが先生さ。
<ブー子> リミットちゃんはダメよ、まだヨチヨチ歩きなのよ。
<ボス> それじゃ、お前はどーなんだよッ!
<リミット>
  危なかったわね。 あのスピードで転んだら脳震盪よ――ほら、まだドキドキ。
<ブー子> ひどいわね
<リミット> え…?
<ブー子> なぜウソつくのよ?
<ブー子>
  
あなた、スケートいくらでも滑れるじゃないのよ。 「まあまあ」が聞いて呆れるわよ。
<リミット>
  
それはね、ブー子……
<ブー子>
 
わかっております。 リミットちゃんは何をやらせても上手だし、あたしは何をやらせても下手っぴいよ。 それじゃ、あんまり気の毒だから、わざとできないふりをしてたんでしょ。 それこそ大きなお世話だわよ。 侮辱もいいところだわよ! さよなら!
<リミット>
 
あたしがブー子を侮辱していた? そう、ブー子のいうとおりだわ。 どうしてこだわりなく話せなかったのかしら……。
<リミット> それッ、うまいでしょ!
<ブー子> いやぁ、天才!
 
 



<リミット>
  ブー子なら、そういって喜んでくれたにちがいないわ。 でも…… 
<ブー子> たった一日でそんなに上手くなるなんて、不思議ねぇ……。

<リミット> それは…、あたしが普通の人間ではないからよ。
<リミット> ワールド・アイスショー……スカウト?
<ハンス> ハンス・コッヘルです。 あなたの才能を、ぜひ、私どものリンクで活かしていただきたい。
<リミット> そんな……困ります。
<ハンス>
 
想像してごらんなさーい♪ あなたの前に広がるのは、ただのスケートリンクじゃない。 白熊が遊び、そして氷山がそびえ、自然が咆哮する北極! 天に北極星をいただいて、あなたは雪の精のように軽やかに舞う――。
<リミット> おことわりします!
<団長>
  では、会ってみることにしよう。 私はあなたの眼力を100パーセント信用しとる。
<ハンス> 絶対に後悔させません、誓います。
<団長>
 
契約金はいくらでもかまわん、話をすすめてください。
 
<ハンス> オオ、ゴメンナサーイ!
<友男> イーエー、ドーイタシマーシテ。
<ハンス> 彼女を訪ねに行ったにちがいありません、どうぞ。
<団長> なんの真似だね、これは。
<ハンス> 盗聴用マイクをあの少年のポケットへ入れました。
<団長> きみは優秀なスカウトです。だが、行きすぎはいかんな。
<ハンス> フッ、団長はコチコチのクリスチャンですからな。
<リミット> それでわざわざあやまりに? そんなこと、あたし、なんとも思っちゃいないわ。
<ブー子> う…ん、そっちは平気でも、こっちは気になるのよ。
<リミット> いいんだったら! そのかわり、あしたのスケートバス旅行、行くんでしょ? じゃ、3人で思いっきり滑りましょうよね。


<リミット>
  ――
スケートの天才といわれても、あたしはちっとも嬉しくないの。 ほんとはね、ブー子みたいに、しくじって、またしくじって、それでスケートを自分のものにしたかった……。 サイボーグって不便ね。
<団長> サイボーグ……!?
<ハンス> 何かおっしゃいましたか?
<団長> いや、べつに…。
<リミット>
  ブー子、あなたがうらやましい……グー、よくおぼえておいてね。 ブー子は、あたしの素敵なお友だちよ。
<ブー子>
  さ、きょうはリミットちゃんの名人ぶり、ふんだんに見せてもらうわね。
<リミット>
 
オーケー、まかしといて!

 
<ブー子> リミットちゃん、もっときちんとやって見せてよ。
<リミット>
  
でも……アイスショーのひとだわ……もう、やめたわ。 なんだか調子でないの、ゴメンね。
<ブー子> そんな! リミットちゃん、きょうは思いっきり滑る約束よ。
<ブー子> みそこなったわ! わざと転んだのよ。 そうよ、あたしに当てつけたのよ!
<友男> バッカだなぁ、リミットちゃんがそんなことするもんか。
<ブー子> もうされております! 彼女とっても意地悪なんだから、頭きちゃうわ。
<友男>
  そんなんじゃないよ!……行っちゃった。 おねえちゃんの怒りんぼ!
<リミット>
  
ブー子を怒らせたのは、あのスカウトのせいだわ。 よし、追っ払ってやる……チェンジフェイス!
<団長> ハンスくん!
<ハンス> こ、これは……指名手配!?
<団長> いかん、行こう。
<坂田先生>
 
氷が割れたな。 危険だ、みんな岸にあがれ!
 
<ブー子> たすけてェ!
<リミット> ブー子、いま行く……なによ?

<リミット>
 
また……わかってるって! いま、あたしが超能力を出したら、サイボーグということがばれるっていうのね? わかってるわよ、それでもいいの。
<リミット>
 
ブー子を助けるためだもの!

<ハンス>
 
わたしの目に狂いはありません、追いましょう!
 
 
 
 
 
 
<リミット>
  待っててブー子、いま助けにいくから。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
<リミット>
 
あそこが一番近い……でも、かなりの距離があるわ。 パワーとランとジャンプ――あたしの力を総動員しても、ブー子、あなたを助けるわ。
<リミット> 第一がミラクルパワー――。

<ハンス> だ、団長――どうするつもりですかね?
<リミット> 第二はミラクルラン。
<リミット> 第三はミラクルジャンプ。


<リミット> ミラクルジャーンプ!

<ハンス> 跳んだ!
<団長> やった……。
 
 
<リミット> あ、あなたちは――。
<団長> ハンスくん、手を。
 
 
<団長>
 
奇蹟の――いや、友情のジャンプでしたね。 どんな華やかなショーでも見ることのできない、真実のジャンプだ。 どうか、お嬢さん、あなたの素晴らしいお友だちを大切に。
 
 
<ハンス> あんな芸当のできる子をあきらめるとは…まったく、人間ばなれしてたのになあ。
<団長> そのとおり。
<ハンス> はぁ?
<団長> 彼女は普通の人間ではない…だが、人間とかたい友情に結ばれている。
<ブー子> ありがとう、リミットちゃん…。
<リミット> いいのよ、そんなこと。
<ブー子> だって、ありがたいんだもの…ありがとう。
<友男> 「ありがとう」って言ったの、これで17回目!

 

 

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