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SHIROの雑感 6

「つながっていたい」欲求


 僕が愛読している少女マンガ雑誌「LaLa」の別冊「LaLa DX」に、おもしろいマンガが載っていました。
 メインのストーリーはハードボイルド?なのですが、主人公の女子高生が持っているバッグを引ったくられて、自分の携帯電話を無くしてしまった時の感覚がとてもおもしろいのです。
 携帯電話を持っている時は、『コイツでみんなとつながってんだよ』という感覚なのですが、それを無くしてしまった時、ものすごく不安になるんですね。それで、他の人の携帯電話の呼び出し音にピクッと反応してしまったり、空耳で呼び出し音を聞いてしまったりします。不安になった彼女はつぶやきます。『カラダの部品失くしちゃったみたい・・・』
 おそらく携帯電話やPHSを開発した人たちは、ビジネスでの利用を中心に考えていたと思うのですが、実際に世の中にこれだけ普及する原動力の1つが、女子高生たちだったのはまちがいないと思います。それだけ彼女たちの「つながっていたい」欲求は大きなものなのでしょう。

 これは僕自身の経験ですが、高校生の頃、生徒会活動や学校外の「仲間の声」「サマーキャンプ」といった活動を通じて、たくさんの人たちと友達になりました。それまで仲間外れになったり、いじめを受けたり、つらい思いをしていたので、それは僕にとってとてもうれしいことでした。
 その時、いろんな人と「つながっている」感じでいました。その時のイメージを思い返して図に描くとこんな感じです。

 ちょうど、体の一部分が伸びて(僕のイメージでは「手を伸ばしている」感じでした)、相手とつながっている感じですね。
 その後、高校を卒業して上京して、それらの友達とも疎遠になってしまって、20歳過ぎあたりから、「手を伸ばしても切られてしまう」というようなつらい思いをするようになるのですが、それについてはまた違うページで書きたいと思います。

 大学を卒業して就職して、カウンセリングスクールに通うようになって、こうした「つながっている」イメージの話をスクールのクラスでしたことがあります。その時に上の図もホワイトボードに描いたのですが、「母親と胎児のよう」などと言われました。
 いろいろな人と関っていく中で、人との付き合い方を学んでいったのですが、それは同時にうまく自立できないでいた過程だったのかもしれません。
 スクールで過ごしていく中でだんだん落ち着いてきて、自分のまとまりとして落ち着いていられるようになりました。今は人と付き合っていても、手を伸ばしてつながるような感じではなくて、自分のまとまりと、相手のまとまりとを感じていられる感じです。

 女子高生たちの「つながっていたい」欲求が、僕が感じていたような、手を伸ばしてつながるような感じなのかはわかりません。ただ、カウンセリングが目指す「自立して、自己としてまとまりを持った人間」とは、少し違う方向のように僕には思えます。
 それを「甘えている」などと切ってしまうのは簡単なのですが、いずれ彼女たちの世代が大人になって社会の中心になった時、「自立して大人になる」ことがどんな意味になっているのか、そんな彼女たちが一人の人間として幸せに生きていくために何が必要なのか、そんなことがこれからの課題になっていくように思われます。

 僕が91年頃に知り合ったジャーナリスト関係の人が、こんなことを言っていました。
 「80年代は、風俗産業が流行った。これからの90年代は、恋愛産業が流行る」
 実際、テレビの「ねるとん」などを始めとして、結婚仲介産業なども花盛りになりました。
 そして90年代も終わりに近づいた今、携帯電話やPHS、プリクラやたまごっち、あるいはインターネットチャットなどが流行っています。これらのコミュニケーションツールが広まる今は、言うなれば「友達産業が流行る」時代なのかもしれません。
 こうした変化は、俗に言うお付き合いの”ABC”からすると、だんだん逆行しているように思われます。かつてはセックスや恋愛の関係を作るのが大変でした。今は友達関係を作ることすら、いろいろな物や道具やお金を必要とする、大変な作業なのでしょう。
 技術の進歩は元には戻せません。それらの道具やコミュニケーション手段がある中で、人が幸せに生きるために何ができるだろう。そんなことをこれから少し考えてみたいと僕は思っています。

《参考: 今回の雑感のきっかけになった少女マンガ》

麻生みこと 「BELL」
白泉社 ”LaLa DX”(ララデラックス)
99年1月号(12月10日発売)掲載
白泉社のページへ 白泉社のホームページへ


※この麻生さんの作品は、他のシリーズ「天然素材でいこう。」が花とゆめコミックスになってますので、よかったら皆さん読んでみてください。こちらも少女マンガの枠に収まらないおもしろい作品です。

《追記》(00/03/05)

3月4日に「花とゆめコミックス」で「BELL」が発売されました。
よかったら読んでみてください。


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