トップへ戻る SHORT FICTION LABORATORY-タイトル-


TWO OF US
2.真っ白のTシャツにブラックジーンズ −リャンとニコ−

「俺、ニコって呼ばれてんだ。いつも学食でプリン2個食べるから。君は?」
ニコは真っ白のTシャツにブラックジーンズ。
わたしは今日一日でこの服装の人間をもうすでに1万人ぐらい見ている。

「リャン。高校の時、仲良かった先輩からそう呼ばれてたの。いい名前でしょ?」
ニコの顔を眺めながらそう答えた。
ニコはわたしの前に座ってきつねうどんを食べている。
そしてきつねうどんの隣には本当にプリンが2個置いてある。

「なんでリャンなの?」
ニコはすごい勢いできつねうどんを啜っている。
大量の汗が頬を流れては落ちていく。

「わたしその先輩の2コ下なの。2って中国語でリャンって言うじゃない?」
ニコはあまりわたしの顔を見ない。
とにかく一心不乱にうどんを啜っている。
そして忘れた頃に話し掛けて来る。

「なんか俺の名前と似てるね。リャンかぁ。いい名前だ。俺もニコよりそっちの方がいいなぁ」
ニコはアッと言う間にきつねうどんを食べ終える。
氷水を一気に飲み干すと今度はゆっくりとプリンを食べ始めた。

「なんで?いいじゃん、ニコって。なんかイタリア人みたいで」
ニコはきつねうどんを食べていた頃の勢いが嘘のようにゆっくりとプリンを食べる。
わたしの言葉にちょっとだけ笑った時に見えたニコの歯は、
Tシャツと同じぐらい白くて綺麗だ。

「それ自分で染めてんの?髪の毛、綺麗な赤だね」
ニコは初めてちゃんとわたしの方を見る。
そして1個目のプリンを食べ終え、ふぅーっと大きな息をつく。

「ありがと。そうだよ。こないだ自分でやったの」
ニコは2個目のプリンに手を伸ばす。
男とは思えない程の細くて華奢な指。

「俺、今度銀髪にしようかと思ってんだけど。どう思う?」
ニコは胸にこぼしたプリンを丁寧に指ですくい灰皿に捨てた。
華奢な指からは想像もつかない程の筋肉がTシャツの上からでもわかる。

「似合わないよ、きっと。今のままの方がいいんじゃない?」
ニコは2個目のプリンを食べ終えるとタバコに火を点ける。
窓から差し込む光に手をかざしながら真上に向かって大きな煙を吐いた。

「はっきり言うね。じゃあ金髪にしよう」
ニコは自分の黒くて短い髪を撫でる。
そして入り口付近にいた友達に呼ばれると手を上げて席から立ち上がった。

「楽しかったよ。リャン。またね」
ニコはそのまま友達の方へ向かって行ってしまった。

わたしが今出逢った1万1人目の真っ白のTシャツにブラックジーンズの男は
真っ白のTシャツにブラックジーンズもそんなに悪いもんじゃないよと言っているようだった。

02.9.20


感想掲示板を作りました。 何か一言でも御感想を頂ければ幸いです。

サイトマップへ  メニューへ  1.海 −ハルヒとリャン−に戻る  3.卒論のテーマ −ニコとコー−へ進む