斎藤拙堂研究会 百四十二回例会  平成11年1月30日(土)


『鐵研餘滴甲集』 巻三から (テキストは、嘉永甲寅年刊本)

「白打錢」「又起頭白字」の二編を講読

白打錢

書影注白打但云見王建詩謂不持寸鐵徒手相角

者果如其言則白打似指拳之類然王建詩云寒

食内人嘗白打庫巾先散與金錢又有韋莊詩云内

官初賜清明火上相間分白打錢此皆謂宮人之戯

恐不至爲拳焦氏筆乘引此二詩謂用脩云白打

錢名未明指爲何事按齊雲論白打蹴鞠戯也兩人

爲白打三人角爲官場又丁晉公有白打大

此則知白打非拳明矣

白打錢

書影白打を注して、但だ云ふのみ、「王建の詩に見ゆ。寸鐵を持たずして、徒手相ひ角する者を謂ふ。」と。果して其の言の如くんば、則ち白打は拳の類を指すに似る。然ども王建の詩に云ふ、「寒食内人嘗に白打す。庫巾先づ散じて金錢を與ふ。」と。又た韋莊が詩有りて云ふ、「内官初めて賜ふ清明の火。上相間に分かつ白打錢。」と。此れ皆宮人の戯を謂ふ。恐くは拳を爲すに至らず。焦氏筆乘、此の二詩を引きて謂ふ、「用脩云ふ、白打錢は(戯)の名なり。未だ明かには何事を爲すを指さず。按るに齊雲論に、白打は蹴鞠の戯なり。兩人對を白打と爲し、三人角を官場と爲す、とあり。又た丁晉公に白打大斯有り。」と。此れに據れば則ち知る、白打は拳に非ざること明かなり。

三、六、八、九行目 〓 〔足+易〕

九行目(前) 〓  〔足+兼〕

四行目 「嘗」字 王建の詩では「長」、同じく「巾」は「中」

五行目 「間」字 韋莊の詩では「閑」

六行目 用脩 楊慎

六〜七行目 白打錢名 「焦氏筆乘」では、白打錢

八行目 丁晉公 丁謂(宋)

又起頭白字

前條多起頭白字既而又得事乃録之 

田見晉書傅玄傳白田十餘斛水田收數十斛 

白道見李白詩百里望花光往來成白道又詩白道

向姑熟王注云白道大路也人行跡多草不能生遙

望白色故曰白道唐詩多用之鄭谷白道暁霜迷

白道向村斜是也 白路與白道同白樂天歩東

坡詩欲識往來頻青苔成白路 白杜謂白酒蓋從

杜康轉來明呉鼎芳漁家詩村沽唯白杜野坐只青

苔 白撰朱子論文中子云懸空白撰見語類  

鐵研餘滴甲集三終

又起頭白字

前條多起頭の白字をむ。既にして又た事を得たり。乃れを續す。 白田、晉書傅玄の傳に見ゆ。「白田十餘斛を收め、水田は數十斛を收む。」と。 白道、李白が詩に見ゆ。「百里花光を望み、往來白道を成す。」と。又た詩に、「白道姑熟に向かふ。」と。王注に云ふ、「白道は大路なり。人行きて跡多く、草生ずること能はず。遙かに望めば白色なり。故に白道と曰ふ。」と。唐詩多く之を用ふ。鄭谷が「白道曉霜に迷ふ。」、韋莊が「白道村に向かひて斜なり。」は是れなり。 白路、白道と同じ。白樂天の東坡に歩する詩に、「往來の頻なるを識らんと欲するに、青苔白路を成す。」と。 白杜、白酒を謂ふ。蓋し杜康從り轉じ來らむ。明の呉鼎芳が漁家の詩に、「村沽唯だ白杜、野坐只だ青苔。」と。 白撰、朱子文中子を論じて云ふ、「懸空白撰」と。語類に見ゆ。

  

鐵研餘滴甲集三終

 

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