SPECIAL
都市部、農村部に関わらず、子どもの肥満が増えています。多くの人がその重要さに気付きながらも、
実際に実行できる手が打たれないまま、時が流れてしまうことが多いようです。
3回シリーズで、家族が実行できることを基本理念として幼児・学童の肥満の治療に携わってこられた
埼玉県小児医療センターの山口修一先生(現在はやまぐち小児科院長)、望月弘先生のお話を紹介します。
子どもの肥満
       その3−暮らし方を再考する   2006.6.1
      元埼玉県立小児医療センター保健発達部長
                   現やまぐち小児科院長 山口修一

      埼玉県立小児医療センター代謝内分泌科 科長 望月弘
Q7 暮らしの中では、どんなことに気をつけていけばよいでしょうか?

○好きなメニューは適度な頻度で

食事は子どもの楽しみです。けれども、子どもの好きなものを優先する機会は控えめにしたいもの。ときには外食もよいのですが、最近は子どもが好きなメニューを食べる機会が多くなりすぎているようです。食べる楽しみは頻度が高すぎてはならないでしょう。子どもにだらしない自由を与えてはならないのです。

○ワイワイ食べる

食事は家族団らんの場でもあります。その楽しさが損なわれてしまっては、精神衛生にもよくありません。最近は、一人で食事をしている子どもたちが少なくありません。

家族全員が集まって食卓を囲むことが少なくなってきていますが、できるだけ一人ではなく、会話をしながら、騒ぎながら、楽しく食事をすることが大切だと思います。サイレントファミリーは寂しいものです。


○テレビなどの時間を減らす

テレビ、ビデオ、テレビゲームなどの時間を減らしましょう。その間に、スナック菓子などを食べていると、消費されるエネルギーが少ない上に、摂取エネルギーが多くなり、途端にカロリーオーバーとなります。「座っていることの多い静かな生活」(sedentary life)から抜け出すことが大切です。

○お手伝いの中で躾ができてくる

今の子どもは家の手伝いをすることが減っています。お手伝いをして体を動かすことも大事です。躾は美しいものを目的とするのです。それは家庭でしかでき得ないものです。家族という共同体の訓練の場であり、学校という集団生活の訓練とは異なることを家庭で行ってほしいと思います。

○これからの時代の家庭料理の姿を考えるべき

食習慣は、学校という集団生活以前に、主として母親の量的質的満足度で教え込まれる(インプリント)ものです。食生活が大きく変わり、食品産業も何か売れるものはないかと必死の思いで模索し、開発を続けます。同時に、人々(消費者)の方も常に新しいものを捜し求める現代です。

社会が変遷していく中でも、食の楽しみは大事だと思います。家庭料理とは何か、を考える時期に来ているのかもしれません。近い将来、100%の女性が働く時代となるでしょう。家庭料理を女性が延々と一生にわたり作り続けることにについてさほど話題にならないようですが、女性のうちの何割の人が好きで家庭料理を行っているでしょうか。料理好きの女性も、料理好きの男性も、比率的にはそれほど差はないのではないかと思います。

「男子厨房に入るべからず」ではなく、いかに容易に、短時間に、男性・女性ともに家庭料理を作ることができるかを考えることが必要な時代となってきたようです。

子ども時代、思春期という大人にとっては過ぎ去った日々の楽しかったことを、誰もが思いおこし、子どものことを本当に考え、行動する義務を大人はもっていると思います。復古調の「してはいけない」ではなく、自分もでき、相手にもできて、楽しいこととして、継続できる肥満児対策を共有していきたいと思っています。(山口)
シリーズ終了です。

参考文献:山口修一「こどもの肥満対策」小児科診療・第63巻・6号:837-843,2000
山口修一先生、望月弘先生の紹介
やまぐち しゅういち

東京慈恵会医科大学小児科に10年間、その後、埼玉県立小児医療センターに開設準備から20年間勤務。同センター保健発達部長を経て、2002年10月、調布市に「やまぐち小児科」を開設。

山口先生のメッセージ〜会話、それは字のまま、会って話すことです。(中略)小さなクリニックです。でも、僕なりにできるだけ、お母さん、お父さん、おばあちゃん、おじいちゃん、子どもさんで悩んでおられる方と、より良い子育てに役立つよう、力いっぱいお話してまいります〜やまぐち小児科ホームページより

やまぐち小児科ホームページはこちらへ。

もちづき ひろし

1981年 東京慈恵会医科大学卒。同大学にて研修し、関連病院を経て、1993年より埼玉県立小児医療センターに勤務。現在に至る。
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