SPECIAL
子育てに不安を感じたり、イライラしたり、諸外国に比べ日本では子育てを楽しめない若いお母さんが多いようです。
育児情報の氾濫が、そのことに輪をかけているようです。子どもの育て方に、いつの時代も常に同じ確固たるものはない。
大人となった自分が、もう一度、子どもになってみる。それによって子育てをおおらかに楽しむ余裕が生まれるのでは
ないだろうか―。長年小児科医として子どもや母親と接して来られた、山口修一先生のお話を紹介します。
もう一度 自分も子どもになってみよう
       その2−個性とリズム     2006.10.1
やまぐち小児科院長
元埼玉県立小児医療センター保健発達部長 山口修一
埼玉小児医療センター医学誌 別冊 vol.21 No.1 2004(20周年記念講演)より
近代の最大の課題は、自分のリズムで生きることができないことではないでしょうか。個性の大切さが叫ばれた時代があり、今現在もそうでしょうか。この「個性」とは何でしょうか。好きなこと、嫌なこと、出来ること、出来ないことを認めてくれることではないでしょうか。全てを認めることは出来ないでしょうが。

わたしの臨床経験から得たものをご紹介いたします。小学生の女児が身長が低いということで受診されました。リジン蛋白不耐性という、世界でも稀な、生まれつきのたんぱく質の新陳代謝の病気と診断いたしました。

そのお子さんと話しているうちに、学校給食で牛乳を飲むと吐いてしまうというのです。家でも牛乳や肉は嫌いで食べていませんでした。そして夏にはスイカが好きで、スイカを食べると調子がよいというのです。スイカにはシトルリンというアミノ酸が、たくさん含まれているのです。

この児はシトルリンを治療薬として飲むことにより、身長の伸びもよくなりました。肉や魚も食べられるようになり、いまではとても素敵な女性となっています。彼女から得たものは、食の好き嫌いの原因として、食べると体調が悪くなるというとてもシンプルな考えを思い出させてくれたことです。

個性というもの、それは心、思想などだけではなく、身体そのものにあることを、偏食とは何か、など多くのテーマをいただき、リフレッシュさせていただいたのです。彼女の担当医となった喜びは、小児科医としてこの上ないものです。個性を認める、その難しさにチャレンジしなくてはならないのです。

言葉の遅れは、女児より男児に多いものです。そもそも一般的に男児は会話が少ないのです。それは成人男子の趣味の一部を挙げれば、盆栽、パチンコ、魚釣りなどであり、会話のない遊びが多いものです。

これらは時代とともに変わるでしょうが、基本的には会話の多い遊びとはならないのではないでしょうか。公園で耳をすましていると、女児の声しか聞こえないときがありました。

男児の声は時に友やお母さんを呼ぶ声しかありません。行動を見てみますと、男児は一人で穴を掘っている、ボールを蹴っているとかで会話がないのです。

女児は、砂場でいろんな話をしていました。これが、生まれつきの大切な男性、女性の持つそれぞれの個性の一つでもあるのではないでしょうか。
2006.12月に続きます。
このシリーズは山口修一先生のご了解を頂き掲載しています。
山口修一先生の紹介
やまぐち しゅういち

東京慈恵会医科大学小児科に10年間、その後、埼玉県立小児医療センターに開設準備から20年間勤務。同センター保健発達部長を経て、2002年10月、調布市に「やまぐち小児科」を開設。

山口先生のメッセージ〜会話、それは字のまま、会って話すことです。(中略)小さなクリニックです。でも、僕なりにできるだけ、お母さん、お父さん、おばあちゃん、おじいちゃん、子どもさんで悩んでおられる方と、より良い子育てに役立つよう、力いっぱいお話してまいります〜やまぐち小児科ホームページより

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