SPECIAL
昨年11月(2006.11.20)千葉県高等学校給食研究協議会に参加させていただきました。
全体テーマは「食堂は定時制高校のオアシスだ!」。研究協議では、残菜調査、コミュニケーションノート、
生活習慣病予防のための食生活に関する模擬授業等の多彩な報告に加え、パネルディスカッションなど、
千葉県の定時制高校の先生方の一生懸命な取り組みに心が熱くなりました。
協議報告から「世界の給食」について数回シリーズで中川敏雄先生の了解をいただき紹介します。
世界の給食から
…日本の学校給食の独自性…
 その2   2007.4.1
千葉県立千葉高校教諭 中川敏雄
<日本の給食の独自性について>

調べ始めると日本の学校給食が欧米の先進諸国と相当違うことに驚いたと同時に、どうしてそんなに違いがあるのだろうかと疑問に思った。他方発展途上国に関してはわれわれが常識と考えている給食と途方も無く違った給食が実施されているので、後で触れることにする。

欧米諸国と日本の学校給食に、共通点はあるが、違いの方が多いという印象だった。 欧米諸国といっても、画一的なものでなく個々の国に相当の違いがあるが、選択の自由度の大きさと学校教育への給食の位置づけの2点で、それらの国々全体をくくった共通性の方が日本と欧米諸国の違いより大きいという印象を受けた。学校教育と同時に学校給食もその国の文化、伝統、国民性、を強く反映しているとはっきりわかる。

現在少なくとも表面的には欧米諸国と日本と最も似ている点はどの国も学校給食が貧困救済とか、栄養補給という段階を超えてしまっているということである。

戦後に本格的に開始された日本の学校給食だけでなく、大体20世紀の初頭に始まった欧米諸国の学校給食でも、貧困で弁当を持ってこられない生徒たちに簡単な昼食を出したのが始まりである。

学校給食を提供することによって、児童生徒の出席率の向上を図り、さらには出席した生徒でも栄養不良で授業に集中できない生徒を減らすことを目的としていた。

現在でも先進国の給食の始まりと同様に、就学率と出席率の向上を最大の目的として、多くの発展途上国で、「世界食糧計画(WFP)」によって実施されている学校給食が1千7百万以上の子供を対象に提供されている。(2004年度)これらの国は先進国とあまりに対照的である。

先進国ではこれらの国々とは対照的に、現在では食糧難や貧困対策という点では、学校給食の必要性が絶対的なものではなくなったといえる。

日本の場合は、栄養補給という段階からより良い質の給食、提供される食事の内容の多様化等、紆余曲折を経ながら発展していったと思う。脱脂粉乳とコッペパンの時代から現在の給食の内容は飛躍的に発展している。 地方公共団体のよって差異はあるが、おおよそそういう傾向は否定しがたい。

それに対して、欧米先進諸国の場合は、多様な選択という道を進んでいる。もちろん、欧米諸国の中でも相違はいくつもあるが、食事の内容は別として、選択の自由度の大きさという点ほど彼らと日本との差異が大きい点は無いだろう。それも含めて差異を下記に列挙してみる。

1. 給食以外の昼食形態を選択できる。

給食以外にpacked lunchつまり多くの日本の全日制の高校生が持ってくる「弁当」を食べる、3番目は自動販売機で販売されているスナック的な食べ物と飲料で昼食の代わりをする。4番目は、あまり多くの国で実施されていないが自宅に帰って家族といっしょに昼食をとる。

2. いくつかの国では給食を教育の一環と一見考えようとしているように思えるが、個々の学校のレベルでは昼食は生徒の個人的レベルあるいは家庭に属する行為と位置づけられている。

教員、職員が食堂で生徒と同じ料理を食べたとしても生徒に給食指導的なものをすることはほとんど無い。教員が生徒の給食の食事マナーに関与することは稀である。食堂で生徒といっしょに食べることも一般的でない。日本の学校に子供を通わせている外国人が日本の給食風景を見て驚くことは、よくバランスのとれた献立の次に、学校の全職員が同じ給食を食べていることである。

3. 多くの国では給食費は毎回チケットあるいは現金で支払われることである。

ただし、無料給食費、減額された給食費を払う生徒は現金でなく、上に印字されたナンバーだけ違うチケットを給食職員に渡す等のシステムで他の生徒にはわからないようになっていることが多い。(具体的なことはよくわからない。)

4. 少数の国を除いて、それほど栄養のバランスを考えられているとはいえないメニューを提供している。

ファーストフードかそれに近い食べ物である。おそらく日本に一番近い内容、形態の給食を提供しているのは韓国ではないか思う。

5. 日本では、自校方式であれセンター方式であれ、給食を実際に作っている調理員が公務員であることが多いが、多くの先進欧米諸国では非常に多様な形態を取っている。

日本の教育委員会にあたる機関が調理員として公務員を雇ったり、ファーストフードチェーンを含む民間給食会社等に民間委託したりしている。例えば、大きなケータリング会社が学校外の調理場で給食を作って各学校に配送する一括契約の民間委託があり、学校の設備を借り、食材を配送し、調理員は派遣するだけといった委託の仕方があったりしている。(面白いことに最近都市部で一般的になりつつある中国の給食は民間委託が多い)

2に関連するが、食べることが基本的には個人、家庭の問題という意識が強い。しかし、最近肥満の生徒が増えてきているので、その対策として給食に対する社会的意識が徐々に高まっているが、民間委託では、給食の栄養的な質が保証されないのではないかという理由で、自校方式に移行する傾向も出てきている。

6. かれらが給食を食べる場所は、教室ではなく、cafeteria あるいは canteen といわれる食堂である。

私の調べた範囲では、韓国だけが日本と同様に教室を食堂代わりに使っている。だから、アメリカなどは生徒を2,3の学年等に分けてローテーションでcafeteriaを利用させている。
<参照したwebsite>
http://www.fns.usda.gov/fns/default.htm USDA Food and Nutrition Service
http://www.nikonet.or.jp/~kana55go/rekisi/serekisi.html 学校給食の歴史・世界編
http://www.corporatewatch.org/?lid=2290 Corporate Watch SCHOOL MEALS
http://www.channel4.com/life/microsites/J/jamies_school_dinners/porridge/index.html
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/bebe/sekai/england/ イギリスの給食 阿部菜穂子
http://www.channel4.com/life/microsites/J/jamies_school_dinners/index.html Jamie's school dinners
http://j-eye.co.uk/forum/index.php?PHPSESSID=08921a46ea5e8441425fc89e92361daf&topic=80.new イギリスの食料事情
http://educationwonk.blogspot.com/2005/03/around-world-on-school-lunch.html Around The World On A School Lunch
http://www.ktl.fi/nutrition/catering_and_meal_patterns.html Catering and meal patterns
http://www.ktl.fi/nutrition/catering_and_meal_patterns.html Nutrition in Finland
その他多数
2007.6月に続きます。
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