身分証明書について
(@身分証明書に関する規定 A身分証明書番号について)




@身分証明書に関する規定



身分証明書に関する規定は中国の方ならよくご存じのことと思いますが、

捜査官からよく質問がありましたので、参考までに身分証明書に関する

規定をまとめてみました。



2003年6月24日現在、中国の身分証明書に関する規定には

「中華人民共和国居民身分証条例」と

「中華人民共和国居民身分証条例実施細則」

があります。



「中華人民共和国居民身分証条例」より

(1985年9月6日第六期全国人民代表大会常務委員会第十二回会議

にて採択。同日、中華人民共和国主席令第二十九号により公布、即日施行)





○身分証明書には次のような種類がある。

@居民身分証     公安局より交付(← 一般市民の身分証明書)

A軍人身分証     中華人民共和国中央軍事委員会より交付

B武装警察身分証  中国人民武装警察部隊総部より交付





○「居民身分証」の有効期限は以下の三種類に分けられている

@10年--------満16歳から25歳まで

A20年--------満26歳から45歳まで

B長 期--------満46歳以上





○規定では一般市民は満16歳になると身分証明書の交付を申請しな

 ければ ならないことになっている(第2条)が、実際に被疑者などに聞

 いてみると、満18歳で交付を受けている者もいるようである。また、華

 僑で中国に戻って定住している者は、戸籍の届け出を行う際に、身分

 証明書取得の申請をしくてはならないことになっている。(第7条) 

 外国人や無国籍の人には本規定は 適用されない(第18条)。





○「居民身分証」は印刷から交付、管理に到るまで全て公安局で一元

 管理されており(第5条)、交付の申請は戸籍地にある戸籍登録機関

 に対して行うこととされている(第6条)。死亡した場合、身分証明書

 は公安局によって回収されることになっている(12条)。また、変更や

 更新の際には書き換え手続きが必要。破損してしまったり紛失してし

 まった場合には、再交付手続きが必要。(第8条)





○軍人は一般市民としての戸籍を抹消する際に、「居民身分証」も

 返納しなくて はならないが、退役すれば返却若くは再交付してもら

 える。(第9条)





○拘留刑や懲役刑を受け服役中の者、労働教護(中国語では"労働

 教養"=犯罪を犯した18歳から25歳の青年を収容し,生産労働と政治

 教育を通じて更生させる制度.▼"労働教養"は行政罰であり,刑事罰

 である"労働改造"とは区別される---『小学館中日辞典』より)のため

 身柄を拘束されている者で、未だ身分証の交付を受けていない者に

 ついては、その期間中の身分証明書の交付は認められない。また、

 既に身分証明書を取得している者の場合も、身柄を拘束されている

 期間中は身分証明書を一旦刑の執行機関に提出しな ければなら

 ないが、刑期を満了し身柄の拘束が解けた時点で返却される。  

 (第10条)





○海外へ出国する場合には戸籍を一旦抹消し、身分証明書を返納

 しなくてはな らないことになっている。(第11条)





○公安機関が職務遂行中に身分証の点検を行う際には従わなくて

 はいけない。但し、身分証の点検を行う際には、公安職員がま

 ず先に自分の職員証を 提示しなくてはならない。また、刑事訴訟

 法の定めにより強制措置が執行され ている者の場合を除き、身

 分証明書を差押えてはいけない(第13条)。





○一般市民も業務上身元確認が必要な場合は身分証の提示を求

 めることがで きるが、身分証明書を差し押さえてはならない。

(第14条)





○次のような場合は「中華人民共和国治安管理処罰条例」により

 処罰される。



  @公安機関による身分証明書の点検に応じなかった場合

  A身分証明書を勝手に他人に貸与したり譲渡した場合

  B他人の身分証明書を使用した場合

  C他人の身分証明書を故意に破損した。  (第15条)





○身分証明書の変造、偽造や他人の身分証明書を窃取した

 場合で悪質なケースは刑法第167条により処罰される。

 (第16条)





○公安機関の職員が身分証明書に関して不正行為を行ったり、

 一般市民の合法的権利を侵害した場合には処分される。悪質

 な犯罪行為にあたる場合には刑事責任を追及されることもあ

 る。(第17条)







というわけで実施細則も見てみることにします。







「中華人民共和国居民身分証条例実施細則」より

(1986年11月3日国務院の採択により、同年同月28日公安部

より公布。1991年12月3日国務院の採択により改正、翌年2月

27日公安部より公布。1999年7月29日国務院の採択により二

度目の改正、同年10月1日公安部より公布。)





「中華人民共和国居民身分証条例」の第19条の規定(「本条例の

実施細則は公安部により定められ、国務院にて採択された後施行

されるものとする。」との内容による)により、具体的で詳細な規則

が定められ、曖昧だった箇所がより明確に規定されました。



内容を条文の流れに沿ってまとめてみました。



身分証明書の様式



 ラミネートパウチされた、1枚式のカードタイプで、「常住人口登記表」

 (身分証明書の申請用紙)や「居民身分証編号順序碼登記表」(身分証

 明書番号の登録表)の様式とともに全て中国公安部で定められている

 ものである。(第2条)



 各省、自治区、直轄市の公安局の戸籍登録機関により印刷から交付、

 管理に至るまで全て一元管理されている。(第3条)





身分証明書の申請(第2章より)



 ○中国国民は満16歳の誕生日から起算して30日以内に定住地の

  戸籍登録機関で身分証取得の申請を行わなくてはならない。(第6条)

  また、帰国して中国国内に定住している華僑や香港人、マカオ人、

  台湾人、中国国内に定住している外国人若しくは国籍を持たない者

  で、中華人民共和国の国籍取得を許可された者も満16歳になった

  ら同様に身分証明書の取得申請手続きをすることが定められてい

  る。(第7条)(第8条)



○拘留中の者、懲役刑や労働教護に服している者で、未だ身分証明書

  を取得していない者は身柄の拘束が解けた後に身分証の取得申請

  を行うこととされているが、保護観察下にある者や執行猶予中の者

  など身柄を拘束を伴わない罰を受けている者は身分証明書の申請

  をすることができるとされている。(第9条)



○申請時には「常住人口登記表」に記入し、「戸口簿」(戸籍簿)と写真

 二枚(最 近撮影したもの)を添えて提出する。(第10条)





書き換え・再交付(第3章より)



○他の行政区域に転居する場合には戸籍の届け出とともに新しい

 身分証明書への書き換えが必要だが、同一行政区域内の異動

 であれば書き換えをしなくてもよい。(第11条)



○軍人は、戸籍の抹消手続きを行う際、身分証明書を返納しなくて

 はならない。退役後、原戸籍地に戻り定住する場合、身分証明書

 の有効期限が残っていればそのまま継続使用ができるが、期限

 が切れている場合は書き換えを行わなくてはならない。退役後、

 原戸籍地以外の土地に定住する場合は、住所 地の戸籍登録機

 関へ交付を申請する。そのときの身分証明書番号はもとの証明

 書の番号を使用する。(第12条)



○外国に定住する場合には、戸籍の抹消手続きを行い、身分証

 明書を返納する。(13条)



○身分証明書を取得後に罪を犯して公安に逮捕、勾留された場

 合は、その公安で身分証明書を預かって保管する。懲役刑の判

 決を受けた場合、人民法院(裁判所)が刑罰の執行機関に身分

 証明書を預け保管させる。労働教護の処分を受けた場合、身分

 証明書は労働教護の処分を許可した機関から実際に労働教護を

 行う機関へ預けられ保管される。身柄の拘束が解かれた後、原戸

 籍地へ定住する場合、身分証の有効期限が残っていればそのま

 ま継続使用が可能だが、期限切れの場合には書き換えが必要。

 原戸籍地以外の土地に定住する場合は、住所地の戸籍登録機関

 へ交付を申請する。(第14条)



○身分証明書の有効期限が切れたら、有効期限の三ヶ月前に書

 き換え申請をすること。(第15条)



○身分証明書が汚れたり破損したりして識別不能になった場合に

 は再交付の申請が必要(第16条)



○身分証明書の記載事項に変更があった場合には、変更手続きを

 して新しい証明書をもらう(第17条)。紛失した場合はすぐに公安

 に届け出をして、三ヶ月間見つからなかったら再交付する。再交付

 してもらってから、紛失したはずの身分証明書が見つかったら、も

 との身分証明書を返納する。(第18条)



○書き換えや再交付の際には改めて「常住人口登記表」に記入をし、

 写真二枚と古い身分証明書を添えて申請を行う。その際、古い

 身分証明書類は公安で回収して廃棄する。(第19条)





身分証明書の使用(第4章より)



○身分証明書の提示が求められる場合は次の通り。(第20条)

  1.選挙立候補者の届出をする際

  2.戸籍の届け出をする際

  3.兵役につくための手続きをする際

  4.婚姻手続きをする際

  5.入学、就職の際

  6.公証証書の手続きをする際

  7.国境付近の管理区域へ赴く際

  8.出国申請手続きをする際

  9.訴訟にかかわる場合

  10.運転免許証の手続きの際

  11.個人経営者が営業許可書の手続きをする際

  12.個人貸し付けの事務手続きをする際

  13.社会保険の加入、救済金の受領の際

  14.中国民航の搭乗手続きをする際

  15.旅館ホテルのチェックインの際

  16.振り込み金や郵便物の受け取りの際

  17.物品の委託販売を行う際

  18.その他事務手続きの際



 また、公安が被告人に対して身分証明書を差し押える強制措置

 を行う場合を除き、何人も身分証明書を差し押さえることはでき

 ないとされている。(第21条)





身分証明書の交付(第5章より)



○身分証明書の交付機関は県公安局と市の公安支局。具体的

 手続きを行うのは戸籍登録機関。(第22条)



○届け出人の署名がなされた「常住人口登記表」の記載内容は

 身分証明書記載事項の根拠となる。(第23条)



○有効期限は交付日より計算する(第24条)



○戸籍登録機関は身分証明書の交付、書き換え、再交付などの

 手続きを申請受理日から三ヶ月以内に行うこと。(第25条)





身分証明書の管理(第6章より)



○「常住人口登記表」は戸籍登録機関により世帯ごとに管理

 されている。



○同一行政区域内での異動は身分証の書き換えを行う必要は

 ないが、戸籍登 録機関では「常住人口登記表」をコピーをとり

 ファイリング。原本のほうは転入地の戸籍登録機関に渡す。



 また、本細則の規定に従い身分証明書の書き換えや再交付を

 する場合には「常住人口登記表」の原本にその理由を明記して、

 別にファイリングし保管する。



○「居民身分証編号順序碼登記表」は戸籍登録機関で年度ごとに

 綴り長期的に保管。(第30条)



○返納された身分証明書は戸籍登録機関で綴り適切に保管して

 おくが、期限切れの身分証明書に関しては廃棄処分する。

 (第31条)

 

廃棄処分する場合には、交付機関の印章の部分にハサミを入れ、

リストを作成し、定期的に廃棄する。(第32条)





身分証明書の点検(第7章、第8章より)



○身分証明書は常に携帯し、適切に保管すること。(第33条、

 第40条)



○公安で身分証明書の点検を行う場合は次の通り。(第34条、

 第41条)



  @逃亡する被疑者の追跡中、事案の捜査中に不審者や被疑者

   と思しき人物を見かけ身元を確認する必要がある時



  A公共交通機関の治安維持やパトロールの任務についている際

   に、治安を乱す人物に対して身元を確認する必要がある時



  B災害や事故の現場で調査を行う際



  C戸籍の届け出と戸籍の照会を行う場合



○戸籍登録機関は日常業務で定期的に身分証明書の点検を行うこと。

 (第35条、第42条)



○人民警察や公安が職務遂行中に身分証の点検を行う場合には、

  まず職員証を提示すること。(第36条、第43条)





付則(第9章より)



○初回の交付では手数料は不要だが、書き換えの時は手数料が必要。

紛失して再交付する場合の手数料は通常の2倍。(第44条)手数料の

金額は財政部(日本の財務省にあたる)により作成にかかるコストにもと

づいて定められる。徴収された手数料は全て国庫に納められる。

(第45条)





以上です。

お疲れ様でした。



間違っているところがあったら教えてください。



***********************************



@身分証明書番号について



「身分証明書の番号にはいったいどのような意味があるのか?」

といった問い合わせが公的機関より寄せられましたので、調べてみることにしました。



「中華人民共和国国家標準GB 11643-1999」には身分証明書番号(公民身イ分号碼)に関する

規定があるとのことである。



これによれば、身分証の番号は15桁もしくは18桁からなる。15桁のものは古い番号である。

2003年の第10期全国人民代表大会常務委員会第三回大会で可決された規定により、15桁

のものは18桁へ変更されることになり、18桁の番号は身分証を取得してから一生変更される

ことはないと定められた。



それでは、18桁の番号にはどのような意味があるのだろうか。



1〜6桁目が地区コード



7〜14桁目は生年月日(西暦表示) たとえば1980年1月1日生まれなら、19800101となる。



15〜17桁目は同じ地区コードを持つ地域内で同年月日に生まれた人に付された番号。



18桁目が上17桁の数値をある公式に当てはめ算出した数から割り出したチェックコード

 ようなもので、その公式に当てはめて算出した数値が



    0 の場合は 1

    1 の場合は 0

    2 の場合は X

    3 の場合は 9

    4 の場合は 8

    5 の場合は 7

    6 の場合は 6

    7 の場合は 5

    8 の場合は 4

    9 の場合は 3

    10の場合は 2



となるそうである。



詳しい数式については以下のページを参照のこと。

http://www.csdn.net/develop/Article/23/23203.shtm