音を目で見てみよう
1.音と周波数特性と人間
周波数[Hz]とは、音波が1秒間に何回方向を変えるか(振動するか)を示す単位です。
人間は、20KHz以上の音は聞こえないことになっています。そのため、CDなどでは、
44..1KHzのサンプリング周波数を使って、22KHz以上の音は、ノイズと共にカットされ、
CD上には記録されません。
サンプリング周波数とは、入力データを1秒間に何回拾うかを決めます。理論的には
サンプリング周波数の1/2周波数までのデータを再現することが出来ます。
44.1KHzというサンプリング周波数のために、アナログマスターテープに録音されていた
はずの22KHz以上の信号は、CD上では失われていることになります。
ノイズを除去したいがために、本来の音もカットされてしまうという問題があるわけです。
最近の研究では、20〜50KHzに存在する音は、人間に安心感を与えるようです。
聞こえないはずの高音域を敏感に感じる人にとっては、CDは落ち着いて聞いていられ
ないんだそうです。
そこで、最近では、Super CDと呼ばれる、サンプリング周波数が100KHzのCDもあります。
香水には1滴の悪臭をと言いますが、ある程度の
ノイズ=雑音 も人には必要なんですね。
2.音を時間の世界で見る
音を目で見るには2種類の見方があります。
1つは時間に対する音波信号の音量変化を見る方法です。さっそく見てみましょう。

横軸は時間、縦軸は音波の振幅です。振幅が大きいほど、音量は大きくなります。
この波形はGM音源のヴァイオリンの"ラ"の音です。なんかいっぱいノイズがのって
汚い波形ですね。これではよくわからないので、別の見方をしてみます。
次は、周波数に対する音量の分布を見る方法です。

横軸は周波数、縦軸は各周波数の振幅を[dB]で表しています。
[dB]は[倍]という単位を対数表現したものです。[dB]と[倍]の関係は次のようになります。
10000倍 = 80[dB]
1000倍 = 60[dB]
100倍 = 40[dB]
10倍 = 20[dB]
2倍 = 6[dB]
1倍 = 0[dB]
1/2 倍 = − 6[dB]
1/10 倍 = −20[dB]
1/100 倍 = −40[dB]
1/1000 倍 = −60[dB]
1/10000倍 = −80[dB]
[dB]表現を使うと、振幅の小さな信号も逃さず読みとることが出来ます。
一見難しそうですが、この形式の方が上の信号波形の周波数成分の分布がわかって、
信号の実体がわかりやすいのです。
ここでいう周波数とは正弦波周波数のことです。全ての信号波形は正弦波の合成波と
して表現することが出来ます。一例を示します。以下は10KHzの台形波です。

このような台形波も実は正弦波の合成波なのです。それを順に見ていきましょう。
次は10KHzの正弦波です。

この波形に30KHzの正弦波を重ねてみます。

少しだけ台形波に近づきましたよね? さらに10KHzから90KHzに10KHz刻みの正弦波を
まとめて重ねてみます。

さらに台形波に近づきました。さらに細かく正弦波を重ねていけば元の波形が再現出来
ます。逆を言えば、ある程度情報量を絞っても、元に波形に「近づける」ことは可能なわけ
です。
高い周波数まで重ねるには、より高いサンプリング周波数が必要になり、同時に情報量
も大きくなる分、データサイズとしても大きくなります。
WAVE、MP3、WMAなどの音そのものを含む音楽ファイルは、「音質」と「データサイズ」を
天秤にかけながら圧縮アルゴリズムをあれこれ考えて作り出されたものです。
一方MIDIは、音情報は音源側で持っていますので、「音は音源の中から選ぶ」ものである
という制約と引き替えにデータサイズはずっとコンパクトに出来ます。
このように様々な周波数の正弦波を適当な振幅で重ねていくことであらゆる波形を作り
出すことが出来ます。
3.音を周波数の世界で見る
時間の世界を周波数の世界に変換することをフーリエ変換と言います。このフーリエ変換
を自動的にリアルタイムでやってくれるのがスペクトラム・アナライザです。
ここからは、PCで利用出来るソフトウェアのスペクトラム・アナライザとして、efu's pageの
WaveSpectraを、信号発生ソフトとして同じくWaveGeneを使用していきます。
先ほどの台形波を、今度は完全な方形波にして、フーリエ解析をやってみましょう。
まず、1KHzの方形波(=矩形波)をWaveGeneで作ります。

次にWaveSpectraでどのような周波数成分で構成されているかを解析してみます。

基本となる1KHzにピークがあり、以下3KHz、5KHz、7KHz、・・・と基本周波数の奇数倍
周波数にピークがあることがわかります。一方、偶数倍周波数は小さくなっています。
1KHzと2KHzあたりのレベルは、約50dBの差があります。先ほどの解説で、40dB=100倍、
60dB=1000倍でしたから、50dBは数百倍も音量差があることになります。
念のため正弦波もフーリエ解析しておきましょう。次は1KHzの正弦波のフーリエ解析結果
です。

見事に1KHzだけでした。わずかなノイズがありますが、−100dBの差=1/100,000の音量
ですから全く無視出来ますね。
4.音色とスペクトラム
ここからは、MIDIの様々な楽器の音色を聴きながら、信号波形とフーリエ解析した結果を
眺めて行きましょう。音は時報の"ラ”の音(=440Hz)です。MIDIはGM音源を使用します。
その前に正弦波・のこぎり波・三角波・矩形波・スパイク波・ホワイトノイズを見ておきます。

いよいよMIDI音源です。
ヴァイオリン・ストリングス・フルート・オーボエ・クラリネット・オルガンを見てみましょう。

同じ"ラ"でも波形で見ると、その違いが見てとれます。
勘の良い方は、もうお解りでしょうが、私たち自身が音を作ることも可能です。
WAVEファイルさえあれば、その音をフーリエ解析することで、周波数成分や各周波数の
振幅がわかります。周波数とその振幅を操作してやれば好みの音が作れるはずです。
単音を作ることは、それなりのハードやソフトがあれば可能ですが、ノイズの除去や耳では
聞き取れない高音域の調整は簡単な作業ではありません。
音だけではなく、曲を作ろうとした場合は、MIDI音源を作る必要があります。個人で音源
を作るには、Timidity++
等の自分で音源を用意するタイプのソフトを利用することになり
ます。
音源を作るとなると少々マニアックな世界になりますので、それなりの覚悟が必要です。
音源よりも曲作りに没頭したい方は、GM/GS/XG等の汎用規格を使う方が無難でしょう。
いかがでしたでしょうか? ここで見てきたのは、あくまでデータとしての音です。
実際の音はケーブルやスピーカー、ヘッドホンを通じて私たちの耳に届きます。
1つのスピーカーで全ての周波数帯域の音を忠実に再現出来るわけではありません。
音情報が伝わる途中でもノイズが乗ったりと、様々な変調を受けます。
MIDIにおいてもソフト音源とハード音源では音色が違います。音源の種類によっても音色
は違います。このあたりを理解された上で、お財布と相談しながら、好みの音を選んで
ください。
Sigmarionは、音を聞く道具としては決して優れたものではありません。しかし、PC機能を
有していながら、さらにダントツの携帯性を持っているわけですから、何かが犠牲になる
のは仕方ないことかもしれません。
音は人の心を動かすものですから、聴きたいときに聴きたい音楽が聴けるのは大切なこと
です。その意味では通信機能は重要ですし、HPには豊富な音楽が用意されていて欲しい
ものです。これがこのHP設立の主旨だったような気がします。
最後に、本当の音を聴くには、やはりライブ演奏しかありません。
私は、作られた音ばかり聴いていると、生の音が無性に聴きたくなってしまいます。
みなさんもたまにはコンサートに行きましょう。生の音のすばらしさがきっとわかります。
ただし、Sigmarionも持っていってあげましょうね。
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