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倒産実体法に関する見直し
賃貸借契約
@賃借人破産の場合 民法第621条の削除
新破産法の制定に伴い、民法第621条は削除され、賃借人破産の場合 には新法第53条のみが適用されることになった。
*第53条(旧法第59条)
双務契約について破産者及びその相手方が破産手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、破産管財人は、契約の解除をし、又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。
2 前項の場合には、相手方は、破産管財人に対し、相当の期間を定め、その期間内に契約の解除をするか、又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができる。この場合において、破産管財人がその期間内に確答をしないときは、契約の解除をしたものとみなす。
3 (省略)
A賃貸人破産の場合
(ア)対抗要件を具備している場合の解除権の制限 賃貸人が破産した場合について、従来の通説は賃借人保護の理 念を強調し、かつ、賃借人破産の場合と異なって、民法上規定がないこと自体が管財人の解除権を排除する立法者の意思の現れであるとして、賃貸人破産の場合については旧法第59条の適用を全面的に排除し、破産管財人の解除権は認められないと解してきた。しかし、近時の有力説は、従来の通説の見解を再検討して、旧法第59条に基づく契約解除権を否定する必要があるのは、対抗力を備えた不動産賃貸借のみであり、それ以外の場合(たとえば、動産の賃貸借の場合)には、原則どおり旧法第59条の適用を認めて破産管財人に解除権を認めて差し支えないと解している。そこで新法第56条1項は、かかる趣旨に沿って 賃貸人が破産した場合に、賃借人が賃借権を第三者に対抗できるときは、破産管財人は、新法第53に基づき賃貸借契約を解除できないと定めている。
イ)敷金返還請求権を有する賃借人による寄託請求
賃貸人が破産した場合に賃借人の有する敷金返還請求権は、破産債権となる。その履行期は賃貸借契約が終了し、賃貸借契約の目的物を返還するなど、賃借人がその義務をすべて履行したときである。したがって、賃貸借契約が継続する場合には、賃借人は、賃料債務と敷金返還請求権を相殺することはできない。しかし、これでは賃借人の保護にかけるので新法第70条後段は、敷金の返還請求権を有する賃借人は、賃料の支払いにあたり、敷金の額を限度として、弁済した賃料の寄託を請求できることにし、敷金返還請求権を優先的に回収できるよう配慮している。
請負契約
@ 注文主破産を理由とする契約の解除 民法第642条1項の存続
請負契約の注文者が破産した場合については、民法第642条が、破産管財人のみならず請負人にも契約解除権を認めているため(同条1項前段)、従来から、同条と旧法第59条等のいずれの規定が適用されるかをめぐって議論があった。
しかし、請負契約において、請負人は積極的に役務を提供して仕事を完成させる義務を負い、かつ、請負人の仕事の完成が先履行とされているため、破産財団帰属の財産が十分でなく、破産手続開始後の請負人の仕事に対する報酬と費用について財団から完全な弁済を受けることが困難な場合にも、請負人が積極的な役務の提供をせざるを得ないとすると、請負人に不当な不利益を課し、当事者間の衡平を害する。確かに一般に先履行義務を負う契約当事者は、不安の抗弁権により、相手方の信用不安が解消されるまで自らの履行を拒絶でき、信用不安が解消されない場合において、相手方債務の当初の履行期が到来したときは、同時履行関係へと転換し、自らの履行と引換えに相手方の履行を求め、それが実現されないときには契約を解除できると解される。しかし、役務提供型契約である請負契約では、請負人の役務の提供について同時履行関係への転換はできない。もちろん、仕事の目的物の引渡しが問題となる場面では、同時履行関係が認められるが、そのためには仕事完成義務を先履行せざるを得ない。したがって、破産財団が十分でなく、破産手続開始後の請負人の仕事に対する報酬および費用について財団から完全な弁済を受けることが困難な場合にも、請負人としては、不安の抗弁権を基礎として、履行拒絶を継続できるだけであり、契約関係を解消する途はないと解される。このような請負人の地位に照らすと、請負契約における注文主破産の場合は、破産管財人のみならず、請負人も契約解除権を認める現行民法第642条1項の立場を維持するのが適切と考えられる。そこで、新法下でも、民法第642条1項については、特に内容の改正は加えられていない。
A 損害賠償請求の肯定…民法第642条2項の改正
注文主破産の場合について定めた民法旧第642条の規定によると、 破産管財人または請負人によって請負契約が解除された場合には、請負人は既履行の仕事の報酬およびその報酬中に包含されない費用については請求ができるものの(民法旧第642条1項)、それ以外については、各当事者は相手方に対し「解約」によって生じた損害の賠償を請求できないとされていた(同条2項)。元々、民法旧第642条2項が、各当事者の損害賠償請求を否定したのは、損害賠償責任を負う可能性が契約の解除を萎縮させかねないことが懸念されたためである。しかし、破産法の一般原則によれば、破産管財人により契約が解除された場合には、相手方の損害賠償請求が認められており、請負契約の注文者破産の場合にのみこれと異なる取扱いをすべき理由はない。そこで、新法の制定に伴い、民法第642条2項の規律を変更し、破産管財人が解除した場合には、請負人による損害賠償請求を認めることにした(民法第642条2項)。
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