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一 本件は、継続的な金銭消費貸借の借主が、貸主に対して、二つの基本契約に基づく債務の各弁済金のうち利息制限法所定の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生しているとして、不当利得返還請求権に基づき、過払金の支払等を求める事案である。
二 本件の経過は次のとおりである。
(1) ]は、貸金業者であるYから、二種類のカード(「オリコカード」と「アメニティ」)の交付を受け、それぞれのカード会員契約の金銭消費貸借に関する条項に従い、利息制限法の制限を超える利率で継続的に金員を借り入れ、返済することを繰り返していた(本件の対象となる取引の期間は、「オリコカード」、「アメニティ」のいずれについても一二年余りの長期間に及んでいる。)。
(2) ]とYの間の取引における個別の貸付けは、それぞれのカードの金銭消費貸借に関する条項(基本契約)に基づくものであり、この二つの基本契約においては、@借主は借入限度額の範囲内において一万円単位で繰り返し借入れをすることができ、A借入金の返済は毎月二七日に借主の指定口座からの口座振替によることとされ、B毎月の返済額は前月の借入残高を基準とする一定額とする(いわゆる残高スライドリボルビング方式)旨定められ、C利息は前月の支払日の返済後の残元金の合計に対する当該支払日の翌日から当月の支払日までの期間に応じて計算することとされていた。
(3) 本件訴訟において、]は、それぞれの基本契約において、利息制限法一条一項の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分(制限超過部分)を元本に充当することにより発生する過払金は、同一の基本契約において弁済当時に存在する債務に充当されるのはもとより、その後に発生する新たな貸付けに係る債務にも充当されるとの前提に立って過払金の額を計算しており、その旨の計算書を提出している。
(4)原審は、前記の各基本契約に基づく取引はそれぞれが全体として一個の取引であり、各取引内において、]が支払った制限超過部分が元本に充当された結果過払金が発生し、その後に新たな貸付けに係る債務が発生した場合であっても、当該過払金は右貸付けに係る債務に当然に充当されるものと解すべきである旨判断して、]の主張する計算方法に基づき過払金の額を計算した。
三 本判決は、同一の貸主と借主との間でカードを利用して継続的に金銭の貸付けとその返済が繰り返されることを予定した基本契約が締結されており、同契約には、毎月の返済額は前月における借入金債務の残額の合計を基準とする一定額に定められ、利息は前月の支払日の返済後の残元金の合計に対する当該支払日の翌日から当月の支払日までの期間に応じて計算するなどの条項があって、これに基づく債務の弁済が借入金の全体に対して行われるものと解されるという事情の下においては、右基本契約は、同契約に基づく借入金債務につき利息制限法一条一項所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には、弁済当時他の借入金債務が存在しなければ右過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当である旨判示して、原審の判断を是認し、Yの上告を棄却した。
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