シルバーネット創刊10周年記念企画

シルバー川柳 最優秀賞発表

特選

冗談に 値切って無駄を 買わされる   酒井与作69

【評】誰しもがこんな日常経験を持っているかもしれない。適切な「てにをは」の使い方が句をキチンと生かしている。

物忘れ するが晩酌 忘れない      佐藤庄助

【評】一読句意明快。ずばり核心を剔出(てきしゅつ)して揺るぎがない。作者名も酒好きにピッタリだなんて。

紫陽花に 電動ベッド 上下する     糸井綾子76

【評】梅雨の晴れ間のひととき、退屈な病窓から七変化の揺れが慰めを運んでくれる。電動ベッドを操作する、か細い指。心理を巧みに捉えた現代川柳。

寅さんの 顔が出そうな 朝の市     佐藤政弘80

【評】特定の日に賑わう朝市。土地の名産が客たちの足を止める。国訛りの会話がはずむ一角に寅さんらしい顔も。寅さんの上手な引用。

悲しいね プラスチックの 鏡もち    千葉敬子81

【評】昔ながらの伝統風習にも時代の移り変わりが。会話調の表現が、作者の嘆きを伝えてあますところがない。時代相の痛烈な風刺。


秀作

人生は 見えない段差 多すぎる     田林豊治郎89

老眼鏡 磨いて訃報 確かめる      大友球人82

朝ドラに 涙流して 鍋焦がし      鈴木千代73

いい湯だな みんなそれぞれ 薬出す   冨成久江80

まだ生きて いるかと年金調書くる    富樫辰夫75

満月と 同じ顔した 孫可愛      丹野典子60

七人の 孫より怖い 妻一人      菅野宏司72

家族から 戦力外と 冷たい目     高沢照夫78

物忘れ このまま全部 忘れたい    矢野伸子77

今日もまた 花マル付ける 介護の記  中村多美子67

あの世から 病に勝って Uターン   及川英夫66

美男子の 兄もガ島で 散りました   高橋キヨ子81

畑仕事 時々立って イナバウァー     佐藤 勉76

母の歳 越え初めての 一人旅     菅原えい80

M5より 揺れが大きい リフォーム代  小澤政幸81

定年と 知らない靴が 手入れ待ち   山口省三 71

ポストまで 迎えに来てる 墓地チラシ   菅野 芳72

何流か 障子を足で 開ける妻     相原勝美82


入選

■孫

柔軟と ガンコがぶつかり 孫の勝    加茂英雄72

孫来りゃ 爺婆喧嘩 どこえやら     大村弘幸63

曾孫から 年玉もらい 目玉ぬれ     大村武子74

孫がくる やるかもらうか お年玉    大村昴星77

孫の声 リハビリ痛さ 忘れ聞く     山田悦子64

禁煙を 煙草値上げで 孫命じ      高沢照夫80

孫が来る 整骨院にて 腰鍛え      佐藤 晃75

トランプで 孫より強い 声を出し    伊藤勇子67

合格に 隠れた爺の 守り札       小澤政幸79

家守る 息子も孫も みな家出      冨成久江78

孫便り 読み終えすする 冷めたお茶   山田悦子64

旗色が 悪いと孫を 味方にし      小白正敏72

オレオレと 見えない孫は 巧妙に    宍戸雄三郎73

孫と来て 赤信号は 渡れない      大塚光太77

膳囲み 孫の一言 初笑い        大泉昭一 

孫を産む 嫁へ年玉 はずむ祖父     大泉みつ子68

映る電話 ひ孫の笑顔 寿命伸び     庄子衛子85

通信簿 見れば財布の 紐緩む      会田昭夫75

耳遠い 孫との内緒 家族知り      大村昴星77

初孫に 爺様取られて 婆嫉妬       大場貞助77

おれおれに 暗号決めた 爺と孫      小澤政幸79

孫たちに 教えるつもり 教えられ     伊藤 弘66

つきっきり 孫に教わり メール打つ    森本淳子74

ベッタリが サラリに変わり 孫成人    渡辺セキ子75

老夫婦 孫に学んで 大笑い        高橋満博68

年金の おかげで 孫が肩たたく      村主利夫67

通信簿 満点取って 孫来たり       千川原昭六72

孫が来て 古い話に 戸を閉める      会田昭夫75

肩車 飽きた孫に 今感謝         山田正志68

手をつなぐ 孫の手の位置 高くなり    石森朝子73

孫増えて 年玉増えて 夢も増え      亀卦川篤82

朝風呂を 孫に教えて いいものか     大村國雄84

減る年金 孫に言い訳 しなければ     千田幸子74

銀行の 待つ間しのぎに 孫を連れ     佐藤由紀子75


【選考方法】みやぎシルバーネット紙に平成16年1月号から同18年4月号までに投稿された約2万5千句の中から、添田星人氏と発行人の千葉雅俊が慎重に討議を行った結果、下記の5作品が最優秀賞に決定しました。 

【総評 添田星人】選句をしていて楽しい場合と、それほどでもないときがあるが、シルバー川柳との賑やかな出会いはもう楽しく仕方がない。思わずドキッとするような作品が顔を出してくるからだ。身近な題材の新しい発見や、思いもよらぬ角度からの切り口など一人一人の問題意識が作品となって立ち向かってくる。そう沸き立つような川柳力が感じられる。戦前から戦後の川柳は、その三要素として「滑稽」「穿ち」「風刺」を採り入れる人が多かった。昭和30年頃からいわゆる現代川柳の風潮として三要素より「詩性」や「社会性」が重視され、句姿も伝統川柳とは一線を画するようになった。近年に至ってこの三要素が再び見直されつつある。シルバー川柳にもこの三要素が認められるが、どちらかというと「穿ち」(うがち)の句が少ない。「穿ち」は川柳発生以来の不動の構成要件ではあるが、初心者には会得するまでかなりの実作経験を要するようである。みなさんからも、思わず膝を打つ「穿ち」の作品をたくさん見せてもらいたいと期待している。


■嫁 姑

老眼鏡 かけてはっきり 嫁の粗      菅野宏司72

うなぎ食べ 嫁より先に 死ぬものか    丹野典子60

嫁姑 鍛えられたし この辛抱       菅原文代63

嫁姑 プライバシーは 守られず      鬼怒川勢子70

嫁の学 家庭を守り 愚痴も出る      大泉みつ子68

姑の 句読点無い 愚痴小言        大場 敬65

物忘れ 許し合っての 嫁姑        白井貞子85

嫁姑 教科書にない 看取り学       峯浦よし子 

鬼嫁は 今は仏の 介護娘に        大村禮二郎77

嫁料理 老夫婦毎日 楽しませ       黒川きゑ74


■夫 婦

亡き妻と 一緒ならばと 想う旅      正木三路84

物忘れ 妻の叱咤で 思い出し       江刺雄治郎75

ボケの気を 妻の前では 見せぬ我     石川胞寿73

ケーキより 夫婦でつつく 誕生鍋     大泉みつ子68

喧嘩して 気づけば二人 お茶すすり    岡田永子62

はいチョコよ 夫に贈り 妻が食べ     丹野典子60

ありがとう 妻に云えぬに よそで云い    千田幸子72

怒る妻 亡き母そっくり 何時覚え     佐藤兵太郎72

亡夫の靴 邪魔になるけど 捨てられぬ     岐部栄子81

時効など 認めぬ妻の 記憶力       江刺雄治郎77

古ぼけた 亡夫の表札 守り神       大場貞助78

今日も妻 明日が知れぬと 温泉へ     鈴木紀子65

亡き夫へ メール打ちます 夢に出て    佐藤昌子65

古日記 妻と過去を 喋る夜        黒川平司80

愛してる 問えば老妻 頬を染め      山田悦子64

夫看取り 我が身病めるを 忘れがち    糸井綾子77


■ぼやき

早起きは「三文」どころか 邪魔にされ   曽良みや子82

児童より 親を教育 したい国       庄子謙市80

通帳の シミかよ何と 預金利子      大平 昭74

五十代 六十代は 夢と去り        千川原昭六72

地図を買い 行ったつもりの 世界旅    佐藤昌敏67

どら息子 無心の時だけ 真人間      高橋 榮76

曾孫八 名を呼ぶ毎に 注意され      前田河とみ97

豊作も 不作も困る 変な国        大塚光太77

今日もまた 言葉飲み込み 腹が張る    笠原京子72

白黒の ネクタイで足りる 定年後     江刺雄治郎75

必要な 意地は捨てずに 居た時も     菅野美春75

改革は 老のふところ 狙いうち      中村多美子67

アンケート 六十までと 除外され     糸井綾子75

孫たちと カラオケしたが マイク来ず     伊藤 弘66

晩酌の おかずは孫の 食べ残し      高沢照夫78

パソコンに 頭を入れて のぞきたい    佐々木隆雄66

尽くしても 介護の頃は ソッポ向き     大場 敬66

あの世へと 老いの背を押す 増税が     那須武志75

形見分け 昔宝で 今粗大         菅原文代64

頭だけ 働く祖母は 煩がれ        黒川きゑ75

酒禁止 ワイングラスで 水を飲む     伊藤勇子68

コンビニは 包丁いらぬ 人増やし     糸井綾子77

バスの中 大きな鏡 ニュート出し     吉江弘敏78

年とると 過去が多くて 先き見えぬ      峯浦よし子83

味噌醤油 貸し借り消えた 隣り組     大場 敬66

久々ね 訪ねし故郷は 知らぬ街      紺野浩子66


■年 金

片麻痺を 年金介護が 守り抜く      小原信仰79

ダイエット やめて下さい 年金様     笠原京子72

私のは 年金でなく 年銅か 日本平     石森朝子71

年金も 百円ショップで 満たす日々    氏家さゆき75

穏やかな 老後を夢見た 駄目だった    矢野伸子77

思いっきり 良妻気取る 年金日      庄子衛子84

年金の 中から貯金 苦労性        高倉公子86

ボーナスの 記事に年金 目をそらし    小林時春70

年金で やりくりするのが ボケ防止    永松江津子81

ボケ進む 年金の日は 忘れずに      大堀ハル92

年金が 孫の笑顔と なりにけり      鎌田やすの73

無年金 食事のたびに 愚痴言われ     高沢照夫78

年金を 貰うお陰で もてる老父      高橋巳津夫75

銀行は 年金だけの 縁となり       庄子謙市82


■物忘れ

愛嬌と ごまかしきれぬ 物忘れ      佐藤由紀子72

天使のよう 母の晩年 認知症       豊田真次63

失った 脳細胞を 学び埋め        古田正吉 

惚けじゃない 老にもあるの 反抗期     大平 昭74

逃げ足の 早い記憶の 影薄れ       菅野 芳70

喜寿が来る 物忘れなど 負けられぬ    大村禮二郎76

メモをした それをどこかに置き忘れ    中村多美子68

ハガキ持ち ポストの前を 通り過ぎ    鬼怒川勢子70

物忘れ するから妻は まるく見え     谷井啓路72

ファスナーを 閉め忘れして 妻の声    笹出左村74

物忘れ 防ぐ手だてと 記録魔に      渡辺セキ子76

今日も又 何か忘れて 頑張るぞ      高橋スマノ77

物忘れ 遂には他人を 疑って       後藤掃雲79

物忘れ 年寄り笑うな 歩む道       小野隆夫81

人生に 忘れがあるから 救われる     高橋イツコ92

歯を磨き 差し歯忘れて カラオケへ    大友寛子68

若人の 物忘れ見て ホッとする      石森朝子71

届け物 渡したはずが 家に有り      佐々木弘子61

白寿でも 忘れないのは 厚化粧      伊勢武子70

老夫婦 足した記憶で 一人分       戸田 信72

呆けと呆け 意気投合し 呆けの花     石森孝義67

勘違い しないと言い張る 老二人     小原信仰79

思い出す 力も失せた 歳となり      郷家 榮73

物忘れ 何回しても 罪はない       峯浦よし子83

ボケ比べ 今日は家内が 勝ったよう    大平 昭74


■療養・介護・病・衰え

外出着 病院行きの おしゃれです     千葉敬子80

免許証 更新絶たれた 視力減       小澤政幸81

胃一杯 クスリ詰め込み 病み消えず    大村ゆき子80

退院日 迎いの妻が 光って見え      植野静夫81

糖尿病 受け継ぐなよと 祈る日々      加藤昌一73

つまみ食い 正直過ぎる 血糖値      大場 敬66

介護の手 時に冷たく 温かく       中村多美子67

疲れたな 鏡の中の 皺の群れ       土谷信一郎64

老いの友 話し通ぜず 長電話       福井ヨノ77

成長を 見守った子に 看守られ      富樫辰夫70

点滴で ねばり死に神 引き取らせ     渡辺セキ子75

血圧の 記録で埋める 日記帳       三浦 和76

錠剤で 傷む身守る 古稀の坂       吉田征四郎65

何処の人 話がはずむ 診療所       清野輝夫76

リハビリで 曲がったヘソも治します    藤島勇雄82

医者通い これも一つの ボケ防止     小川恒治93

白内障 治って人生 もう十年       奈良正八90

デイサービス 傘寿は子供 白寿いる     小原信仰80

病が友 薬がデザート 日課とす      村上新吉68

病床で 待ちどおしきは 妻の音      高橋 猛64

病める時 誓った愛を 呼び起こす     戸田トモ74

病みぬけて 生命の重さ よく解かり     高橋冨美子 

大雪を 見守るだけの 病の身       堀江良彦64

病床の 母の強気 今いずこ        鬼怒川勢子71

病友会 名づけて今も 旅仲間       小野すえ子78

楽天を 病も忘れ 応援す         高橋スマノ78

退院日 温もり詰めて 妻運転       山田悦子64

紅さして 退院の日に 彩を添え      遠藤ひでこ68

もう一度 恋の病を 試したい       鈴木 實71

病とは 長生き支える 安全弁       小野秀男85

前を行く 妻の背中で 病い避け      大村示豊  

妻いても ヘルパーさんに 介護され     吉田征四郎66

新人の 医師を診察 老患者        戸田 信73

親ゆずり 私の持病は 宝物        林 教子63

今日も駄目 夫逝きし院 息苦し      高橋知杏75

長生きも ちょっぴり遠慮す 子供等に    前田河とみ98

いい方へいい方へ言う 医者が好き     酒井与作69

病人は 薬のためと 飯を食う       小赤沢ツヤ子70

年老いて ついて来るのは 病だけ     安住きい子75

痛い足 痛い注射も 我慢する       岐部栄子82


■夏

若返る 色あざやかな 夏帽子       梁川正三74

麻蚊帳に 蛍放した 夏恋し        渡辺セキ子76

きのこ雲 忘れてならぬ 修羅の街     後藤掃雲79

外地にて 聞きし玉音 夏の雲       小澤政幸79

終戦日 老兵無口に なるばかり      大友球人81

夏痩せで もしや癌かと 気があせる    岐部栄子80

夏祭り 渡り歩いて いい余生       高澤千恵子64

仙台空襲 田舎で見てた 夏の夜      柴田 實70

スイトンが ご馳走だった 終戦日     庄子謙市81

夏休み 孫台風が 居座りし        大塚光太78

亡き父母を クーラーの部屋に 招きたし   永松江津子81

夏休み 孫よ早よ来い 早よ帰れ      大石大介78


■五 輪

次期五輪 元気で待とう トレーニング    石川胞寿74

日の丸に 君が代のると グッと来る    富樫辰夫76

口だけは 五輪級の 俺の友        鈴木 實70

老々も 五輪の夜は 熱く燃え       後藤予し子67

嫁姑 料理の争い 家五輪         大村武子73

五輪過ぎ 我に返った 寂しさや      千川原昭六72

五輪より 七輪欲しいと 卒寿婆々     大石大介78

私には 誰がくれるか 金メダル      高橋満博69


■命

余命表 延びて天国 過疎となり      東海四四二90

命日に 見合いしてよと 夢に妻      及川英夫66

子に孫に 継がれる命 ありがたし     森本淳子75

僅かでも 遺言書くか 恥かくか      那須武志75

命受け 何か恩返し せにゃならん     冨成久江79

命がけ 恋した乙女 介護する       後藤掃雲79

おばあちゃん 死んだことあると まじめ顔  菅原文代63

物欲が 失せて命の 賞味知る       南 雅子65

老いたとて 命燃やせる こと尽きぬ    高橋亮平68

友急死 星になっても クラス会      土谷信一郎64

モスモスの 東北なまり 天国に      栗原浅子80

天国に 辿り着くまで 妻の愛       吉田征四郎66

今の世の 命の軽さ 誰に問う       後藤予し子67

命ある 限り働く 自営業         柴田 實70

天国に 賑やかなのが 一人増え      戸田 信72

勲章と 命を交換 した昔         庄子謙市82

白旗に 命拾われ 生還し         佐藤春男82

二度とない 命だゆっくり すると決め    田林豊治郎89

夫逝きて 命あずける 人も無き      小赤沢ツヤ子

病む妻に 長生せねば 誓わせる      石川胞寿74

引きかえに 代われる命 持てるなら     菅野美春76

お薬に 飽きたよ僕は 終わりかな     高森雅彦83


■店

町内の ニュースソースは あの店さ      鈴木 實71

ふるさとの 馴染みし書店 駐車場       佐藤とし子70

模擬店で わらべにかえる 老女たち      伊藤勇子67

万歩計 付けて安店 はしごする      氏家さゆき76

大型店 看板ばあちゃん 消しちゃった    冨成久江79

老舗ゆえ 心を癒す 味があり       小澤政幸79

立ち読みで 稼いだお金 なんぼでしょ    渡辺芳夫81

立ち話 できたお店が また消えた     高橋亮平68

店名は 知らない地理の 道しるべ     吉田征四郎66

年金に 合わせたような 売出日      千田幸子72

老人を とり残したる 郊外店       島田淑子73

秤り売り した年代を 懐かしみ      内海と志88

こんどこそ 本当らしい 店仕舞い     東海四四二90

今の世に 人を信じる 無人店       星 三男72

家事・育児 人生相談 店の中       大石大介79

リストラは 無い店の孫 ノンビリと     佐藤口子70

兄弟の ようなお店は 無くなった     矢野伸子77

スーパーに 運動目的 物買わず      小林吉平84


■車

車椅子 生き甲斐湧いて 欠かせない     高橋時雄95

冬野菜 満載にして 友が来た       鬼怒川勢子71

買ってもよ 何年乗れるか 指を折り    那須武志75

シルバーマーク 外して双葉 孫発車    渡辺セキ子76

プライドを 捨てて免許を 返上し     小野隆夫81

ハンドルを 孫にまかせて 気もそぞろ    大友勘吉68

がんこ者 生きる車線 変えぬまま     鈴木 實71

免許証 車やめても 身分証        小林 敏75

お付き合い さりげなくおく 車間距離    三浦 和77

80歳 座席を譲る 気持ち良さ      吉江弘敏77

八十五春 免許更新 心ゆれ        小野秀男84

タクシーに 乗ったつもりの 義援金     後藤予し子67

孫新車 食費払いは 祖母が受け      大泉昭一70

天国も 地獄も知って 車椅子       伊勢武子71

カーで来て ルームランナーで汗流す    戸田 信72

杖を見て 寄るタクシーに 目をそらす   小笠原登美子76

夫逝きて 廃車にする日 胸傷む      岡本静子80

年を取り タクシー代が どっと増え    永松江津子81

火の車 真っ最中で 子は育ち       高橋キヨ子81

お隣の 路上駐車で まずくなり     白井貞子86

押車 無くてはならない 伴侶です    内海と志88

廃車して 若さと健康 手に入り     大石大介79


■異 国

怖かった 戦後日本の 異国人      高橋哲彌77

招集時 外地と聞いて 覚悟決め     小澤政幸80

北満に 我が青春を 埋めて来た     手塚 廣83

正月飾り メイドインチャイナ 外国製    南 雅子65

日本どこ 異国文化の 食ばかり     鈴木 實71

戦友会 「異国の丘」で お開きに    小林吉平84

クリスマス 異国に散った 兄想う    佐藤信子85

骨も無く 異国に散りし 父悲し     豊田真次62

コアラ抱き 笑顔の一枚 もう行けぬ   半澤百子75


■艶・若さ

ときめきが 健康長寿の ビタミン剤    丹野典子60

検査技師 若さに恥じらう 老患者     鈴木紀子64

髪染めて 若さを競う 同級会       大場 敬66

芸能祭 老妻の踊りに 惚れなおし     大場貞助78

初恋の 人と出会った 墓地ツアー     高沢照夫79

早老と 云われてならぬ 身だしなみ    佐藤 晃75

放浪の旅 老人パスで 今日は西      菅野 芳72

シクラメン 鉢替え我と 生き返る     嶋貫万栄子71

元気薬 市が交付する 敬老パス      村上新吉69

若いのネ 云われて今朝も トレパンに    佐藤 晃75

白黒の アルバム眺めて 若返る      田林豊治郎93

老いたとて 田畑に出れば 背筋のび    村主利夫66

職退いて 予定はみ出す 稽古事      大場 敬65

老の身に 男らしさが 邪魔になり     会田昭夫75

今日も又 出たきり老人 何処へ行く    石森顕一72


■鍛える

ボデービル する気になった 過去の夢    谷井啓路72

幸運は 何を鍛えりゃ 来るんだろう    大石大介78

孫三歳 婆さん毎日 鍛えられ       兎原健夫69

独り居は 心を鍛え 前向きに       森本淳子74

羨まし 喜寿でラケット 握る人      小原清子66

老人は 転ばぬ事が 国のため       植野静夫80

シニア向け ドリルも出来た 長寿国    千田幸子72

忍耐心 夫の介護で 鍛えられ       小笠原登美子75

バーゲンは 老も並ばせ 足鍛え      佐藤 勉76


■保 険

ボケ防止 生保レディーと 禅問答      林 忠夫67

予定より 長生きし過ぎ 保険なし     伊藤勇子68

給付金 付いたといって 入院す      鬼怒川勢子71

毎日の 計算ドリル 脳保険        貝沼このえ71

入りたい 今は保険に 逃げられる     矢野伸子77

保険金 多額になると 殺される      西宮トキエ80

もらい火に 火災保険が 神に見え     高橋キヨ子81

保険より 老妻の元気が 嬉しいな     梁川正三75

補償なら 妻の心に 自己保険       会田昭夫76

保険かけ 迎え待ってる 独居老人     曽良みや子82


■始める

子と孫に 禁煙始める 誓いさせ      今野昭夫77

家づくり 始めて気づく 親の恩      濱屋勇蔵68

戦時中 禁止の英語 始めたり       安倍繁子75

誕生日 又また始まる もう一年      須藤好敏77

祈るだけ 夫の手術の 始まりぬ      古田正吉80

ステッキを 手に取り老いを 始めけり    亀卦川篤81

孫しかり 始める我も 涙落ち       堀江ふみ 85

肩の荷を 下ろして趣味の 扉開け     千葉きよ子61


■種

種まいて なんだか一人 うれしけり     堀江良彦64

発芽待つ 夫の庭下駄 新しく       鬼怒川勢子71

露天湯で 話の種の 尽きぬこと      小原清子67

種かじる 昔もあった 総入れ歯      遠藤ひでこ68

長生きの 種を蒔くのは 優し孫      大村禮二郎77

八十路坂 迷いの種を うめに行く     佐藤信子85

種を蒔く 大地は嘘を つかぬから     酒井与作69

リハビリに 元気と笑顔の 種貰う     佐藤 晃73

幸せの花 苦労の種で 咲き誇る      高橋邦子58


■映画・ドラマ

メロドラマ 爺んつぁん静かに 席外し     伊藤英哉71

お父さん 私のドラマ 忘れてる      松田高子68

古希迎え 残るドラマは 一つだけ     兎原健夫70

おニュー着て 父母と気どった 映画館    鬼怒川勢子71

わが家では 毎日がドラマ 孫主役     多田嘉雄73

恍惚の ドラマの主演 かって出る     富樫辰夫77

映画館 初めて見たのは 弁士付      西宮トキエ80

ドラマ前 孫の早寝を 仕事にし      山田悦子64

アランドロン 私のヨン様 もう一度     南 雅子66

夢の中 今も「裕ちゃん」 格好良い     小原清子67

兄と観た チャプリン映画 忘られず     石森朝子72

ドラマかな 還暦過ぎて 癌告知      吉田征四郎67

古き友(彼女)句会で再会 ドラマの様    加茂英雄72

夫逝って すべて美くし ドラマです     山岡京子71


■揺れる

幼子の 手花火の玉 ゆれ落ちて      伊藤ひで71

肉の前 ラベルに心 揺れてます      高橋キヨ子81

多国籍 揺れる大和の 力士像       新野三郎66

金華山 船から下りても ゆらゆらと    兎原健夫70

嫁姑 やじろべえ役の 孫がいる      貝沼このえ71

揺れ動く 気持おさえて 店を閉じ     那須武志76

俺のファン 巨人楽天 揺れ動く      今野昭夫77

兄弟が 父の遺産で 揺れ動く       高橋哲彌77

思い切り 身体揺らして 歌う孫      矢野伸子78

亡夫から 一喝欲しい 迷い事       菅原えい80

嬉しさに 財布フラフラ 孫笑顔      大泉みつ子70

人間に なろうと揺れる 反抗期      酒井与作69

青春は 特攻基地で 帽を振り       高沢照夫79

衣替え 二の腕揺れる 憎らしさ      伊勢武子71

親切に 心が揺れて 老いの恋       峯浦耘蔵82


■継 ぐ

所詮無理 継ぎ当て知らぬ 子と同居     中川由紀子63

家継ぎを 否と言う我 涙ぐむ       堀江良彦64

姑の 漬け物石を 嫁が継ぎ        村主利夫67

生きた星 子孫へ引き継ぐ 人間の義務     庄子勝子63

相続は 嫁の知恵で ねじ曲がり      兎原健夫70

農継げと 胸張り言えぬ 世なりけり    佐藤とし子71

平成は 書くしかないか 遺言書      須藤好敏78

継ぐものも 継がせるものも ない平和    後藤掃雲80

家継ぐか 嫁に行くかで まだ独り     古田正吉80

仕方なく 継いだ財産 山と谷 西     小林吉平84

トーン低く 家業継ぐ兄 暇と言う     後藤予し子68

今時は 資産を継いでも 親は見ず     伊勢武子71

大学を 出たら後継ぎ 反古にされ     大場 敬67

相続は 継ぐも別れも 紙一重       峯浦耘蔵82

形見分け 姉の来ぬ間に 荷をまとめ    境  弘83

父危篤 それより遺産 気にかかり     大塚光太79


■価 格

妻の供 ただ価格のみ 見て歩く      須藤好敏78

物価高 貯金の目減り 気が病める     高橋イツコ93

気がつけば 夫婦の会話 値段だけ     山口省三 71

ウン十年 価格据え置き 主婦労働     貝沼このえ71

価格表 眺めただけで 満腹感       宇南山礼子73

価値観の 違う孫らに 腹を立て      阿部麗子74

ひと月でいい 価格気にせず 過ごしたい    安倍繁子76

病気して 医療の高値に 目がくらみ    西宮トキエ80

愛情は いくら出しても 買えないの    後藤掃雲80

それなりの 価格で光る 骨董品      大友球人82

少し褒め 価格も褒めて 値下げさせ    熊谷くに83

食欲が 価格蹴飛ばす 秋が来た      鈴木 實71

買いたいが 高くて買えない 国産品    今野二男66

安物買い 口笛吹いて 帰る俺       吉田征四郎67

あの世行き 葬儀価格に 怖じ気づき    後藤予し子68

人の価値 退職金で 計れない       林 忠夫67

世辞が飛ぶ 高い価格の 宝石店      山岡京子71

一円の 安いチラシに 無料バス      大塚光太79

昔話 価格の単位 忘れてる        白井貞子87

ガソリン高騰 免許返納 思案する     加藤いさお74

葬式も 上中下の 価格知り        高沢照夫79

祈祷料 特上並に はて迷う        郷家 榮74

意味不明 「感謝祭」での 値札替え    高森雅彦83

安もの買い 知らず知らずにゴミの山    峯浦よし子84


■磨 く

爺あたま 磨き柱と ツヤ勝負      塩野谷明夫62

七五三 孫より老妻 磨き入れ      那須武志76

ピカピカに 磨いた靴の 出番ない    千葉きよ子61

老いてなお 磨きし声の 艶やかさ    昆 ミサ69

墓石を 磨く両手に 見える母      及川英夫67

磨かれた 人に接して 我を知り     佐々木隆雄68

歳老いば 磨きたくとも 自歯は無し   佐藤良子68

磨きかけ 眺める鏡 うらめしい     濱屋勇藏69

鍋磨く 遠き日の母 ふと思う      佐藤とし子71

大口で 笑ったあとの 顔のつや     鬼怒川勢子72

年かさね 心磨いた 顔になり      伊藤ひで74

色気あり 毎朝磨く ハゲ頭       高橋哲彌77

墓磨き さっぱりしたねと 語りかけ   冨成久江80

初孫の 磨きせり合う 爺と婆      小澤政幸81

光頭会 老いの美学を 競い合う     小野隆夫82

鐘磨き 心さわやか 読経上げ      弓田利男82

バック磨き 世話にナッタナァ礼を言う   庄子衛子85

年毎に 磨きがかかる 老いの愚痴    高橋亮平69

床磨き 今じゃ昔の 物語        石森朝子73

この歳じゃ 何を磨くも 遅すぎた    中村佐江子76

禿頭 蠅も止まらぬ ほど磨く      吉江弘敏78

人生は 心磨いて 孫に継ぐ       佐々木弘子62

野の花も 磨いた墓石に よく似合う   吉田征四郎67

女房に 強く磨かれ 角が取れ      上杉義弘73

妻病みて 磨いたあちこち 艶が去り   佐藤六雄84

ガラス窓 磨き幸せ 呼び入れる     佐藤信子85

老いてなお ときめきたいの 厚化粧   林 忠夫67

禿頭 磨かなくても 光ります      大塚光太79

ご先祖を 磨く息子に 感謝する     高橋キヨ子82

働いて 曲がった背中 光ってる     白井貞子87


■家 計

家計簿を 防衛しても 孫に負け     大友寛子69

あと三日 思わぬ訃報で 大赤字     安倍繁子76

財布だけ 痩せて終わった ダイエット   曽良みや子82

自衛策 金のかからぬ 趣味を持ち    貝沼このえ72

家計簿は 墨で書いても 赤字です    富樫辰夫77

家計簿に 毎月顔出す 宝くじ      高橋哲彌77

孫名義に 手を付けようか 火の車    菅原えい81

ボケ防止 日々の暮らしの やりくりか   千葉千代83

倹約が 身に付きすぎて 味気ない    高倉公子88

年金が 大黒柱の 高齢者        丹野典子62

灯油高 寝てたどんぶく 出番待つ    菅原文代65

医療費を 払って血圧 上昇し      遠藤英子68

我が家計 詐欺が入れる 隙はない    高橋亮平69

家計簿に スーパーめぐりを 指示される   鈴木 實72

家計簿を 嫁に渡して 皺が伸び     鈴木千代73

ワンランク 下げて我が家の味にする   千葉きよ子61

懐かしい 苦にしなかった 火の車    高橋知杏76

目出度さが 重なりへそくり 顔を出す   半澤百子76

腹減った 子供の時代で 今長寿     峰浦耘蔵82

亡き妻の 苦労が語る 出納簿      高森雅彦84


■盗 る

爺様に 心盗られて 五十年       菅原 薫66

盗っ人も 避ける八十路の 下着かな    小野すえ子78

盗らんでも 言えばあげたよ 菊の鉢   加藤いさお75

老いてなお 女の心を 盗る気持     堀江良彦64

盗み聞き 孫に合わせて 知った振り   伊藤 弘68

陣盗りの 遊びも知らぬ 現代っ子    伊藤ひで74

電化品 盗るどころか 捨てて行く    那須武志76

五十五年 盗みし人と 共に生き     安倍繁子76

戸締まりを しないで寝た世 もう来ない   高橋スマノ78

センサーの 眼より鋭い 爺の勘     小澤政幸81

人が来て 逃げるコソ泥 なら許す    菅原えい81

今までの 立ち読み本代 なんぼでしょ   渡辺芳夫82

病み盗れば クスリおまけに プレゼント   佐藤かね子74

我が病 盗んでくれる 神はいぬ     大村武子75

若い子の 化粧盗っても ババは婆   佐藤良子69

戦場は 盗るもの無くて 飢餓と弾    峯浦耘蔵82


■伝える

世話女房 伝わりすぎて 苦労する   小松政治69

伝えたい たった一言 ありがとう   小野淳子79

聞くことが できなくなった 母の味  阿部麗子74

元旦や 子等に伝える 我が家系    古田正吉 

子々孫々 平和な世界 伝えたい    庄子勝子64

孫たちに 戦後の生活 伝わらず    伊藤 弘68

忘れまい 敵機が飛んだ あの頃を   兎原健夫70

以心伝心 この頃とんと 通じない   富樫辰夫77

アルバムを 開けば伝わる 母の愛   宇南山礼子74

孫たちに 平和伝えて 年越そばを食う  多田嘉雄75

子や孫に 伝えたいこと 人の道    小野すえ子78

伝えます… 電話の用件 忘れたな   冨成久江80

手拍子で 「さんさ時雨」を祖母伝え  小野隆夫83

伝えたい 息子の好きな 母の味    後藤予し子68

核家族 伝えることも ままならず   菱沼みつ子76

正月の 凧揚げ羽根突き 絵本だけ   半澤百子76

ダシ取りを 嫁に伝えて 年を越す   丹野みつえ79

この味を 伝えたいけど 嫁いない   白井貞子87

電話受け 伝い忘れて 知らん顔    内海と志89

巣立ち行く 孫に伝える 老の夢    鎌田やすの75


■家

一番は 家の明るさ にぎやかさ    中嶋小夜子62

里帰り 迎える亡父母の あの笑顔   石田ミズエ74

無理せずに 建てて良かった 家賃ゼロ  菊地昭治77

子育てを 終えて我が家は ポチとタマ  大平か志く92

家を出た 就職列車 思い出す     堀江良彦64

病める床 死は我が家でと 帰る義父  鈴木紀子66

家だけが 老いたる夫婦 よりどころ  濱屋勇蔵69

家という 重石はずれ 核家族     佐藤とし子72

古家でも 想い出沁みて 壊せない   那須武志76

ようやった ぐうたら息子の 家見舞  高橋哲彌78

四つ割の リンゴで育った 大家族    菅原えい81

マイホーム 個室に明かり 居間暗し   丹野典子63

古くとも 家族の笑いが ひびく家    菅原文代65

新婚は 風呂もトイレも 外でした    遠藤英子69

勝ち負けが 諸に出ている 門構え    長澤敏意87

核家族 進んで豪邸 爺と婆       浅野三夫89

何もない 我が家の自慢 笑顔です    今野二男67

家毎に 昔は国旗 立てていた      佐藤 勉76

ヨウオウーと いつでも行ける家がある   庄子義男77

実家にも 私の居場所 狭くなり     福井喜六77

家がいい 旅も日帰り する私      嶋貫万栄子71

楽も苦も 共に過ごした 家いとし    永松江津子83

ともかくも 一家支えた 安給料     大場 敬68

又リフォーム 百歳越えて 元とろう    安倍繁子76

マンションの 谷間に息する 俺の家   高森雅彦84


■寺

振替紙 いつも同封 寺の便       渡辺セキ子78

頭では 坊主に負けぬ 歳となり     及川英夫67

葬儀料 貯めなきゃとても 死なれない   高橋キヨ子82

春彼岸 忘れられてる 墓があり     庄子勝子64

戒名は お布施次第で 寺まかせ     堀江良彦64

坊さんの 説教身にしむ 年になり    鈴木紀子66

よろしくと 隣の墓にも 手を合わせ   佐々木隆雄68

散歩道 寺の石段 お借りして      伊藤勇子69

古寺で 遊ぶ子供の 姿なし       濱屋勇蔵69

彼岸待ち 寺の笑顔が 花で染め     山口省三71

過疎の寺 団地ができて 大繁盛     兎原健夫71

寺社巡り 常とは違う 顔をして     佐藤とし子72

里人の 心のささえ 村の寺       貝沼このえ72

神仏を嫌い 世を拗ね 自我を張り    伊藤英哉72

寺守り 長男引き受け 一安心      斎藤帝子73

我が心 古寺観光で 気を清め      谷井啓路74

お寺さん 第二の実家 頼みます     宇南山礼子74

子供達よ 万が一でも 先逝くな     安倍繁子77

菩提寺を 移す話に のらぬ老い     富樫辰夫77

思い出は お寺墓場の かくれんぼ    高橋哲彌78

葬儀社と 医者、寺親しく 憂いなく   須藤好敏78

春うらら 亡夫待つ寺へ おしゃれして   小野すえ子79

また来るね ふり返りつつ 寺の坂    冨成久江81

静寂な お寺で今日は 写経する     後藤掃雲81

怖かった 暗いお寺の 地獄絵図     菅原えい81

核家族 いずれお寺で 大家族      大友榮一81

混迷に 一言欲しき 寺社の弁      亀卦川篤82

ビル群に お寺の鐘が 聞こえない    大友夏男82

お布施には 公定価格の ない不思議   渡辺芳夫82

幼少に 覚えしお経 墓の前       弓田利男82

長生きし 仲間の弔辞 毎度読み     小野隆夫83

久しぶり 墓と主人に 声かける     立身 由89

寺の鐘 心身共々 清められ       高橋イツコ93

寺子屋の 教えは今は 身に沁みる    高橋時雄96

時は金 読経時間でわかる 布施の高   丹野典子63

生前葬 忘れるほどに 長生きし     遠藤英子69

幼な頃 寺の鏡見て 逃げたっけ     大泉忠夫70

広告に 墓の値段も 写真入り      石森朝子73

なんとなく 秘密にしたい 布施の多寡   三浦 和78

戒名に 定価があって 唖然とし     吉江弘敏78

墓石の 縦横悩む 祖父母かな      大村ゆき子80

一人来て ぽっくり寺に 願をかけ    曽良みや子83

お寺様 あの世この世の 掛け橋か    小林吉平85

経唱え 心穏やか 寺参り        長澤敏意87

寺の門 くぐりて過去は ゼロになり   中川由紀子64

夢を見た 未だ来れないと 墓参り    新井和子66

一生涯 寺は行かぬと だだをこね    佐竹順子67

先祖様 いつも身近に 居る思い     今野二男67

戦時中 疎開と言えば 寺だった     吉田征四郎67

我が葬送 寺を選ぶも 生仕事      後藤予し子68

近づこう いつかは世話に なるお寺   村主利夫68

無住職 お寺の鐘が 淋しそう      小松政治69

墓参り ビルの屋上 エレベータ     鈴木 實72

寺街に 住んで鐘の音 なつかしく    石田シズエ74

墓建てて 祖父母元気で 役立たず    福井喜六77

お経より ガイド熱心 和尚さん     庄子謙市83

山門を くぐると凛と する空気     千葉きよ子62

金がない 院居士なんか いらないよ   高橋 勉62

今時の 和尚さんちは 実業家      林 忠夫68

早々に 寺墓地決めて どちら先     嶋貫万栄子71

マンションの 谷間になった 町の寺   山岡京子72

「ありがとう」墓石に刻まれ 立ち止まる  高橋知杏76

建て替えて 競い合ってる お寺さま    大塚光太79

八十路すぎ 元気で参る コロリ寺    三宅 豊73

老人に 墓地はいかが という無情    星 三男73

凡人の 坐禅悟りのない瞑想       加藤いさお75

寺隣 宗派違いで 悩む父        佐藤 晃75

お坊さん お寺企業の サラリーマン   大場貞助79

お寺さん 送ってほしい 極楽に     大石大介80

寿限無を 速読したら 入歯飛び     伊藤ワカ81

過疎の寺 打つ手鐘の音 全自動     太田良喜63

ウォーキング 寺社巡りの 研修会    小赤沢ツヤ子70

ご先祖に 感謝の誓い 寺参り      高橋満博70

坊さんは 地獄へ行かぬ 顔してる    高森雅彦85

お布施には 公定価格ない 不思議    渡辺芳夫80

新会員 戒名により 座が決まり     石森孝義69


■守 る

父母の 写真が私の 守り神       矢野伸子76

守られる 齢になっても 守りたがり  小野すえ子76

戦時中 千人針で 身を守る       菊地昭治76

命令で 前線守る 兵無言        手塚 廣83

守るべき 何があるのか 自問する    鈴木泰平84

目の前に 守護神気取る 夫がいる    高橋和子63

この体 杖一本が 守る神        菅野宏司71

身を守る 防犯チラシ しかと読み    半澤百子74

老いてまだ 自分を守れる うちが華   永松江津子80

青春時代 国を守った 自負がある    佐藤春男81

子守歌 テレビが代わり 役果たし    内海と志87

墓守り 無くて散骨 考える       東海四四二90

やさしさに 守られてたと 後で知り   中嶋小夜子60

職退いて 少し狭まれ 守備範囲     星 三男71


■新

日々新た 残る人生 花よ咲け      矢野伸子76

新年が 来るたび母の背 丸くなる    西宮トキエ79

新妻の 三歩下がった 国いずこ     菅原えい79

紅をさし 老妻新春に 華を添え     高橋亮平68

年明けて 心新らし 身は古し      笹本誤調76

老人ホーム 火星に作る 新時代     伊勢武子70

新春に 家長の提言 元気なく      鈴木千代71

新米を 食べても不満 平和ボケ     佐藤 勉74

新年は 過去を問わない 妻といる    阿部眞人67


■学

学舎や 昔なつかし ゲンコツ先生    鎌田やすの73

戦時下の 空白埋める シニア大     貝沼このえ70

古稀にして 初のお稽古 演歌道     鬼怒川勢子70

先ず学べ 優しい心と 耐えること    矢野伸子76

漢字だけ 学のあるとこ 孫に見せ    菅原えい79

終わらない 生涯学習に 生かされる   石森朝子71

明治には 親には孝と 学ばされ     正木正治82

年の功 知恵が光っている 無学     高澤千恵子64

人生に 邪魔にならない 学んだもの   吉田征四郎65

若い頃 サボったつけを 今学ぶ     戸田 信

無学でも 子等に教えた 人の道     佐藤政弘79

今はただ 寄付が母校と つなぐ縁    庄子謙市80

ボケ防止 昔のソロバン 探し出す    半澤百子75

晩学を 支える眼鏡 曇りがち      佐藤春男81

ボケ防止 ゴミ選別に 一工夫 土    加川邦子86

経験が 学歴親父の コメ作り      星 三男71

学歴は 老壮大学三年生         梁川正三74


■電 話

ジジでない 証拠に携帯 腰にさげ    及川ろく74

一人居は 電話なければ 無言の日    貝沼このえ70

電話ベル 今度は何の セールスか    小澤政幸79

脅迫も 鳴り方同じ 電話ベル      渡辺芳夫80

留守電に 亡夫の声が 流れくる     手塚 廣83

妻三姉妹 規制が欲しい 長電話      小林 敏74

電話番号 引越先を 亡夫知らず     笹原愛子80

携帯で 抱きしめられぬ 孫の声     高澤千恵子64

暇な祖父 セールス電話で 長話     大泉みつ子68

嫁よりも 早く聞きたい 孫の声     大村武子72

モチモチの 声爺婆で 取り合いっこ   半澤百子75

電話帳から 戦友消えて 一周忌     佐藤春男81

おれおれと ゆう電話さえ 我欲しや   大堀ハル92

留守電に 亡き夫の声 涙ぐむ      中嶋小夜子60


■夢

女房には 話せぬ夢を 二度も見た    渡辺芳夫80

夢に出る 亡夫の笑顔に 安堵する    内海と志87

夢でなく 戦争の無い 平和な日     鈴木紀子64

夢旅行 土産ないのが 玉にきず     菅原 淳69

三百円 大夢買って 大晦日       谷井啓路72

青春の 夢まだ一杯 古鞄        多田嘉雄72

居眠りが できる程度の 治安良き    大平 昭74

孫の夢 かなう時まで 生きてたい    森本淳子75

夢でさえ 若いと言われ ホッとする   氏家さゆき75

点滴が ビールに見えて 朝が来る    富樫辰夫76

夢に見る 彼と私は 齢とらず      菅原えい79

若さとは でっかい夢の あるかなし   丹野典子60

分身へ 託して夢見る 祖父の顔     菅原文代63

添いとげて 今も二人は 夢ン中     小野秀男84

禁酒した 夫の夢は ネオン街      大泉みつ子68

現実と 夢との区別 つかぬ世に     山崎浩栄71

夢でいい 亡夫に告げたい 喜びを    白井貞子85

夢さめて 九十の我が身 車椅子     大堀ハル92

亡き人々 夢で遊べる 皆笑顔      前田河とみ97

夢だった 嫁と笑顔の 同じ屋根     大場 敬66

大らかな 夢のオアシス 児童展     郷家 榮73

子の荷物 ならないことが 今の夢    石川よし子74

夢の中 妻との出会い 九年ぶり     高森雅彦82


■他

譲られる 席へお礼の 飴を持ち     高沢照夫79

じっと見る シワシワの手に 感謝状   大石大介78

娘来て 高いところは ピッカピカ    庄子衛子84

戦苦をば 無理矢理忘る 老齢者     黒川平司80

CMも 暇の頭脳を 楽しませ      嶋貫万栄子71

アフリカの 子供にあげたい 庭の柿   古田正吉80

少子化に 公園デビュー 老集う     糸井綾子77

選ぶのは 候補者よりも 行く行かぬ   佐藤昌敏69

じじばばが 公園の中 子等は路地      加茂英雄72

扇風機 うちわに劣る 風の味      相原勝美83

補聴器に するりと入る 打球音     渡辺芳夫82

嘘つかぬ 鏡は曇った ままでいい    遠藤英子68

長寿国 聞こえは良いが 国こまる    植野静夫82

愛のむち 忘れた親に 来る報い     村主利夫67

欲しいなあ 背中をかいて くれる人   千葉敬子80

世界技に 直す時かな 国技館      佐藤六雄81

一行の 添え書き身に沁む 年賀状   小笠原登美子77

地図要らぬ 冥土の旅に 或る日立つ  渡辺芳夫81

せめてもの 私の生きがい 義援金    白井貞子86

雑念を 捨てて赤子に 戻りたい     小白正敏73

テレビ漬け 今は一介の 解説者     佐藤政弘79

デジタルは 断固拒否だと  大気焔   小野秀男83

還暦会 「素敵ですわ」が 合言葉    丹野典子60

七十を 童に返す ひな祭り       小林時春70

九十歳 人口減少 なんのその      奈良正八90

狭き門 特老ホームと 就職口      大場貞助77

新緑に ウグイス補聴器 つかまえる   千田幸子72

一日も 同じことない 生きた日々    峯浦耘蔵82

死ぬときは 皆が初心者 右ならえ    豊田真次62

不自由に 耐える長生き 覚悟する    千田幸子73

元気だけ 喜び合って 新年会      白井貞子87

まな板に 載せて切りたい 核弾頭    村上新吉69

皺の数 人間生きた 勲章だ       植野静夫80


■川 柳

お墓には 川柳刻んで 楽しもう     鬼怒川勢子72

病み上がり 川柳おかげ 指元気     大村昴星 

わが遺産 川柳で説く 戦の愚      菅原えい81

五七五 心豊かに 老いるため      笠原京子72

散らしたい 心の雲を 川柳で      菅野美春75

川柳で 忠告すれば トゲ立たず     高森雅彦83

川柳を 懸命につくる 百面相      加茂英雄72

川柳で 心の病 吹き飛ばそ       佐藤とし子71

錆頭 磨くに川柳 最適よ        前田河とみ98

川柳に 綴る心の 人生譜         菅野美春76