星川 淳さんの屋久島発 インナーネットソース #37 [03.03.16] からの抜粋です。
03/03/17 17:08

03/03/16 18:58
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     (1) ―――これこそが安保理の役割だ!
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 元国連事務総長補佐で、現在はコスタリカの国連平和大学名誉総長を務めるロバート・ムラー(Robert Muller)博士は、国際連合の創設に立会って以来、その内外から国連を支えてきた人です。国連を通じ、また平和のための著作・教育活動を通じて世界に貢献した博士を称え、先ごろサンフランシスコで表彰が行なわれました。席上、今年80歳になるムラー博士は、戦争と平和をめぐって世界がいまどんな状況にあるのかについて、きわめて前向きな評価を示し、聴衆の多くを驚かせました。

 集会に出席した私自身、博士の言葉に意表をつかれました。その話を聞いて考えが180度変わり、世界でいま起こっていることについて新しい見方ができるようになったのです。以下に博士の講演要旨をメモします。

「今日、この場にお招きいただいてたいへん光栄です。そして、歴史上これほど奇跡的な時代に生まれ合わせたことも、たいへん光栄に感じています。たったいま世界で起こっていることには深い感動を禁じえません。」

(私はショックでした。どうしたんだろう? 博士は何を読んでいたんだろう? 新聞に目を通しているのだろうか? もうろくしてしまったのだろうか? いったい何を言っているんだろう?)

 博士は続けます。
「人類史上、戦争の正当性そのものについて、地球規模の、目に見える形で、おおやけに、実効性をもつ、開かれた対話や議論がなされたことは、これまで一度もありませんでした。」

「全世界はいま、戦争をするかどうかという重大かつ歴史的な対話に参加し、あらゆる視点や立場に耳を傾けています。地球規模の公開討論において、世界の人びとはこう問いかけているのです。戦争に正当性があるか否か? イラク攻撃を承認するに十分な根拠はあるか否か? 戦争はどんな影響をともなうのか? コストは? 戦争のあとに何が起こるのか? この戦争の結果、どのように他の紛争が引き起こされるか? 平和的な代替手段にはどんなものがあるか? まだ検討されていない交渉は? 宣戦布告の本当の意図は何か?」

 博士は次のように指摘します。
「こうした対話と議論のすべてが、1949年にまさしくこのような目的のために設置された国連安全保障理事会という場で行なわれています。私たちが国連の真の役割に気づくのに50年以上かかったわけです。しかし歴史のこの重大局面において、国連は舞台の中心にいます。いま戦争か平和かが論じられている場はほかならぬ国連であり、国連はここ数か月、とりわけこの数週間、地球上でもっとも強力な統治機関となりました。戦争よりは平和を遂行しようという世界的努力の、もっとも効果的な受け皿になっているのです。」

 ムラー博士は、長年の夢がかなって涙を流さんばかりでした。「私たちはまだ戦火を開いているわけではありません」――彼はくり返し語りました。

「私たち国際社会は、あくまでも平和遂行(”waging war”という慣用表現に対して”waging peace”)の努力を続けているのです。
これは困難な仕事で、休まずに継続しなければなりません。いまところ平和遂行の努力が効を奏していること自体、大きな歴史的偉業といえるでしょう。地球規模の議論を通じて平和を遂行するという、人類史上未曾有の事態が、日一日、刻一刻と実現しているのです。」

 博士は、開戦の正当性を問う議論が、何時間も、何日も、何週間も、何か月も行なわれ、いまや一年以上も続いていて、まだまだ続行するかもしれないと指摘します。

「私たちは平時にいるのです」――博士はそうくり返しました。

「たしかに部隊が前線配備され、ミサイル弾頭が並べられ、好戦派連中は怒りと苛立ちを露(あらわ)に、一日10億ドルも費やして攻撃準備を進めています。しかし、まだ一発の弾丸も発射されておらず、ただ一人の人命も失われていません。いま、戦争は起きていません。すべては議論なのです。」

「これは緊張と困難をともなう挑戦です。けれども、私たちは世界史上もっとも重大かつ有意義な地球規模の議論と公開討議に参加しているのです。二〇世紀の二つの世界大戦、ベトナム戦争、朝鮮戦争のいずれをとっても、このようなことが、これほどの規模で、戦争前に起こった例はいまだかつてありません。これはまったく新しい事態であり、地球規模で耳を傾け、意見を述べ、責任を共有するという素晴らしい新時代を画すものです。」

「その過程で、新しい同盟が形成されつつあります。ロシアと中国がひとつの問題で同じ側に立つことなど前代未聞です。フランスとドイツは共同で、この状況への新しい見方に世界の目を開かせようと努めています。史上最大の平和運動が展開しています。しかも、私たちはまだ戦争をしていないのです。最近の歴史を振り返っても、平和運動のほとんどは、戦争がすでに起こってから、場合によってはベトナム戦争のときのように、戦争開始後数年たってから行なわれるのが通例でした。」

 博士は語ります。
「私が奇跡というのはこのことです。これこそが“平和遂行”の呼び名にふさわしいでしょう。今後の事態がどう進展するかにかかわらず、これが新しい時代の幕開けとして歴史に記録されることはまちがいありません。21世紀は、戦争に突き進もうとする一国の行動の正当性を、国際社会全体の責任において深く、根本的に問う地球規模の対話によって開かれた、と――。」

「こうした地球規模の平和遂行努力によって、当該国の指導層はさらなる対話を促され、再考を迫られています。と同時にこの平和遂行努力は、全世界の国々が開戦か否かの重大な死活的決断に加わることを可能にしているのです。」

 ムラー博士はまた、これまでアメリカが唯一のスーパーパワーだったために、その政策にある種の盲目性が生じたという最近のニューヨークタイムズ紙記事を取り上げ、次のように強調しました。

「しかし、いまや二つのスーパーパワーがあります。アメリカと、無数の人びとの声が合わさって巨大なうねりとなった国際世論との二つです。」

 世界中の人びとが平和遂行の努力をしています。国際連合のもっとも熱心な支持者の一人であるロバート・ムラー博士にとって、これは文字どおり奇跡と呼ぶに値することであり、しかも実効を現わしているのです。

(翻訳:星川 淳/藤井亜希子)

英語原文(認証IDは「キャンセル」でOK)
http://www.una-sf.org/Lynne-Twist%27s-Summary-of-Dr.-Muller%27s-Speech.doc

[このレポートは、State of the World Forumほか多数のNGO代表や理事を務めるリン・ツイストが発信したもの。講演の英語全文もまもなく掲載予定。http://www.una-sf.org/

国連平和大学
http://www.upeace.org/

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