横浜フリューゲルス問題、今Jになにが起こっているのか?
編集長:今回取り上げるのは、これまででもっとも深刻で身近で重要な問題かも知れない。
流しの竜:Jリーグがか? アメリカのミサイル問題や、政治腐敗よりもっと重要なの?
編集長:そのとおり! いいか、政治や経済なんてものは、我慢すればどうにかなるもんだし、悪いものを良くしようっていう問題じゃない。でも、今回は違う。これまで良かったものが悪くなる。しかも、娯楽に関することだ! 人間、楽しむために生きてるんだから、政治や経済よりも、何百倍も娯楽は大切なことなんだ!
DL:編集長は、そういう生き方の人ですから、文句はいいませんけど……。
青柳:もうちょっと、現実を見てほしいですね。
RRR:いや、オレは賛成だな。金なんかなくたってさ、とりあえず食うもんとギターが一本あれば、オレはそれでいいもん。そりゃ、もっと豊かならそれにこしたことはないけど、ほら、なんだっけ? 古代ローマでいわれてたやつ。
編集長:パンと娯楽だっけ?
RRR:そう、ようするに、食うもんとおもしろいことがあれば、人間生きていけるのよ。だから、政治がどうこうよりも、娯楽を奪われるのは大変だってことさ。
青柳:パンと娯楽っていうのは、ホントはそれだけ与えておけば人民は満足するっていう政治家側の考えなんですけどね。
流しの竜:まあ、いいや。ようするに、編集長はサッカーという娯楽を奪われることは、政治の乱れよりも、経済の不況よりも大変なことだっていいたいんだろ?
編集長:そう。おまえだって、日本でギャンブルが全面禁止になったら、怒るだろ?
流しの竜:そりゃそうだ。
編集長:おんなじように、くだらない娯楽小説禁止とか、人身を惑わす占いの禁止とかいわれたら、抵抗するだろ?
DL:それは、まあ……。
青柳:僕の小説はくだらないことないので、問題ないですけど。
編集長:……娯楽小説の禁止なら?
青柳:深い含蓄のある僕の小説は、決して娯楽に止まるものではありませんから。
編集長:……。
RRR:きりがないから、その辺でやめとけ。
編集長:そうだった。それよりも、本題に入らないと。
流しの竜:それじゃ、早速だけど、そもそも合併騒ぎの原因ってなんなの?
編集長:フリューゲルスに出資してる佐藤工業の撤退が最初の原因だな。
DL:出資って、スポンサーとは別なの?
編集長:うん、スポンサーはユニフォームなんかに広告を載っけてもらってるだけだけど、佐藤工業や全日空はチームそのものを所有する親会社に当たるんだ。
RRR:で、残った全日空は新たな出資社か、大口スポンサーを捜したと……。
編集長:そう。だけど、不景気の影響で、なかなか見つからず、けっきょく同じようにスポンサーを捜していた横浜マリノスと合併しちゃえ、ってことになったらしい。
流しの竜:Jリーグも良く認めたな。
編集長:まあ、完全に消滅よりは、合併してくれた方がマシぐらいの感覚だったんじゃないかな?
青柳:でも、サポーターは納得しませんよね。だって、この間まで張り合っていたライバルですから。たとえるなら、巨人と阪神が合併するみたいなもんですよね。
RRR:阪神ファンは怒るだろうな。
青柳:しかも、チーム名は”読売Tジャイアンツ”。
流しの竜:なにが”T”なんだか、わけわかんない。
編集長:で、マリノスサポーターも怒ってると。
DL:でも、この”F”にそれほどの意味があるとは思えませんわ。いったい、どうして”F”にこだわるんです?
編集長:そこが問題なんだけど、まず今後の可能性っていう意味も込めて、いろいろなケースを考えてみたいと思うんだ。
RRR:ケースっていうと?
編集長:たとえば、次にあげるみたいなやつ。
1.合併は白紙撤回。両チームともJリーグ存続。
2.合併は避けられず、新チーム横浜Fマリノス一本化。
3.合併するが、フリューゲルスはJ2、もしくは地域リーグで存続。
4.合併せず、フリューゲルス解散。のちに全日空がマリノスに出資。
5.合併後、まったく新しいチームとして、新チームを作成。
と、こんなものかな?
青柳:いきなりでなんですけど、1の案は不可能ですよね。
編集長:そのとおり、来年のJリーグにすでにフリューゲルスの名はない。だから、この案はすでに実現の可能性はないわけだ。
流しの竜:じゃあ、けっきょくフリューゲルスは無くなっちゃうわけね。
RRR:いや、そういうわけじゃないだろ? 今は無理でも、数年後にでもJ2に参加する、あるいはもっと下部のリーグに参加するっていう方法がある。
編集長:うん、下部リーグならそんなにお金もかからないし、大手スポンサーの支援が必要なくなる。佐藤工業の撤退にも耐えられる。
DL:それが3番の案なわけね?
編集長:そうなんだけど、これにも問題があるんだよ。Jリーグのチーム名っていうのは商標登録が必要なんだけど、全日空がその名称を持ったまま合併したいといってるんだ。
DL:それじゃあ、3番も無理ってこと?
編集長:J2ならいいかも知れないけど、いずれはJ2にも同様の規定が適応されるだろうし、地域リーグでやるにしても、いつかはJリーグ目指すわけだからね。
流しの竜:とんじゃったけど、2番は? って、いうまでもないか。
編集長:そう! これでいいんなら、誰も文句いわない。このコーナーも意味がないじゃん。
RRR:で、残るは二つなんだけど、まず4番の案。これだと、フリューゲルスっていう名前は、無くなっちゃうから、新チームを作ることができる、ってこと?
編集長:そういうつもりで書いたんだけど、ちょっと表現が悪いかな?
青柳:まあいいじゃないですか、そういうことで進めましょう。
編集長:それで、これならフリューゲルスも存続っていうか、再開できるわけじゃない。
DL:でも、けっきょく全日空にその意志がない限り、無理なんでしょ?
編集長:残念ながら……。
流しの竜:それをいうんなら、5番だって新チームにその意志がなけりゃだめじゃん。
編集長:まあそうなんだけどさ、仮定として、こういうふうにしたらどう? っていう意味も込めてやってるんだから……。
流しの竜:じゃあさ、5番の考え方っていうのは、どういうことなの?
編集長:5番は、もっとも現実的だと思うんだ。もっとも大きな権限というか、決定権を持っている全日空と日産自動車に被害がなくて、両チームのサポーターも納得できるんじゃないかと思うんだ。
青柳:でも、これってフリューゲルスだけじゃなく、マリノスも消滅するってことじゃないんですか?
編集長:いや、チーム名は確かに変わっちゃうけど、名を捨てて実を取るっていうか、いちからやり直すというか……横浜を本拠地とする、新チームを作るっていうのは、本当の意味での両チームの合併だと思うんだ。吸収合併なんていう中途半端なことじゃなく、チームだけじゃなくてサポーターまで合併できるようにしないと、意味がない。それならば、出資比率が6対4なんてけちなこといわず、五分と五分──金銭のことは別としても、表面のことだけでも五分五分の合併をしてほしいんだよ。そうなると、マリノスという名前もジャマになる。だったら、公募なりして新チームの名称やユニフォームも作り直さないと……。
DL:やるのなら徹底的に、というわけですね。たしかに、フリューゲルスのサポーターが新チームを応援しようと思えば、この案が一番現実的ですが、マリノスサポーターとしては、納得いかないんじゃありません?
編集長:でも、”Fマリノス”よりはマシだと思うけど。
RRR:どっちもどっちだな。
青柳:ところで、ヴェルディから読売新聞が離れましたし、ベルマーレも売却されるそう(どうやら、この話はなくなったらしい)ですね。
流しの竜:ホントに不景気なんだな。いままで、気にならなかったけど、このJリーグの状態見て、本当に不景気なんだとわかったよ。
編集長:でも、不景気っていうより、Jリーグのチームっていうのは、経営の失敗も大きいと思うんだ。たとえば、選手の年俸ひとつとっても、Jリーグは高すぎる。赤字になるのがわかってるんなら、削れるところを削らなきゃいけないのに、選手は高年俸を求めるし、球団側もそれに答えてしまった。もともとは、ヴェルディが無茶な年俸設定したせいで、他のチームも上げざるをえなかったんだけどね。
RRR:たしか「まずは選手の年俸をプロ野球なみにしないと」みたいな理由だったよな。
編集長:「一億円プレイヤーがいなければ、子供たちがプロを目指さなくなる」って、いってたんだよな。そんな馬鹿な理屈はないんだけど、本気でそう思っている人もいたんだろう。
青柳:読売新聞の方ですね。あの人のいうことは、どうも良くわかりません。あの人のいうように改革したら、ヴェルディは25億円といわれる赤字を解消できるんですか?
編集長:さあね。どう改革するつもりか知らないけど、まさか”ヴェルディ川崎”を”読売ヴェルディ”に変えるだけで25億円が出て来るとも思わないし、新しいスポンサーといっても、すでにJリーグは競技場だけでなく、ユニフォームにまで企業名入りまくってるじゃない。あと、どこにスポンサーつける?
流しの竜:プロ野球は入場料収入の割合が、Jリーグより高いんだろ? だったら、プロ野球型を目指すっていうのは、入場料収入の割合を増やすってことじゃないのか?
RRR:野球は135試合、オープン戦入れるとJリーグの3倍ぐらいあるじゃん。しかも、球場でかいし、サッカーの入場者収入なんて、限界があるよ。
編集長:最終的にはヴェルディを巨人みたいに、全国規模のチームにしたかったんだろうね。スター選手をそろえて、ヴェルディという1チームの存在感を、Jリーグすべてより大きくする。確かにこれもひとつの方法ではあるんだよ。サッカーファンではなく、カズのファンや北沢のファンを大量に作ることによって、彼らの出る試合に人を呼ぼうっていう……。そのためには、各チームにスター選手がいるよりも、1チームに固まって目立つようにしたほうがいい。
青柳:スポーツ新聞の一面が、試合の結果よりも”松井がっかり”とか”桑田KO”みたいに、個人名で埋められるようになるわけですね。
流しの竜:でも、それだと”ヤクルト対広島”みたいに、客の入らない試合ができちゃうぞ。
編集長:それはいいんだよ。そのぶんを”ヤクルト対巨人”で取るわけだから。
流しの竜:平均すると、Jリーグみたいなシステムより儲かるんだ。
編集長:たぶんね。でも、そうなると16チームもあると多いだろうな。野球なみにチーム数を減らさないと……。
DL:話を戻すようですが、けっきょくフリューゲルスはつぶさざるをえないと、ベルマーレも解散、ジェフもですわね。あと……。
編集長:それは避けたい! チームの規模は小さくなっても、沢山のチームがあったほうが、うれしいんだ。47都道府県すべてに、いやもっとたくさんのクラブチームがあって、もっと下部のリーグがあって、週末にはおべんと持って、歩いて行ける競技場に応援に行くんだ!
DL:編集長の理想の週末なんて、聞いてませんわ。
流しの竜:でも、歩いて行ける場所に競馬場があったらうれしいな。
編集長:だろ? それでこそ、我が町のチームなんだよ。もちろん、Jリーグまで上がったら、同じようにはできないだろうけど、そうじゃないとお客さんも入らないよ。Jリーグの、それもトップチームしか見ないような客ばかり集めても、仕方ない。それは単にミーハー的な選手のファンっていうだけじゃなく、「Jリーグはレベルが低いから見てもおもしろくない」なんていってる、自称サッカーファンたちにもいいたいね。
RRR:いるよな、「セリエAはやっぱり違う」とか、偉そうにいってるヤツ。
編集長:中田が成功したように、セリエAだからすごいってわけじゃないんだよ。ACミランとかの一流チームは、そりゃお金もあって各国の代表クラスを集めているからすごいんだけど、ペルージャなんて現役代表は中田だけだよ。ブラジル代表のいるフリューゲルスや、ユーゴスラビア代表のいるグランパスより、チーム力は絶対に下のはずだ。それを知らずに、「セリエAは違う」なんていってるのは、知ったかぶりしているだけだ。
青柳:別に小学生のサッカーだって、見ていればそれなりにおもしろいですもんね。
編集長:高校サッカーだって人気あるし、草サッカーだっておもしろいぞ。
DL:Jリーグを馬鹿にしている人たちって、必死にお父さんの応援してる子供に向かって「あんなレベルの低いサッカー見て、なにがおもしろいんだ」って、いってるのと同じですわね。物事の本質を見ないで、自分一人カッコつけているだけですわ。
流しの竜:で、結局フリューゲルス問題は?
編集長:全日空があくまでもフリューゲルスを手放さないというのなら、本当の意味での二チーム合併、横浜を代表する新チームを作ること。それが理想だろうね。
青柳:それが駄目なら、せめてフリューゲルスの名前を”F”なんて中途半端な形で残そうとせず、すっぱりとあきらめてほしいですね。チームの施設や経営権は持っていってもらっても良いですけど、使いもしない名前まで持っていかなくても、いいでしょうから。
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1998.11.21