大学の改革──卒業しにくい大学へ
編集長:今回のテーマは大学です。とかく勉強しないとか、遊んでいるだけだとか文句をいわれる大学生たち。そんな大学生たちに渇を入れるべく、単位取得の厳正化を中心とした改革案が公表された。これについてどう思うかなんだけど……。
RRR:もう卒業しちまったもんね。
DL:どんどん、厳しくしてもらいましょう。
流しの竜:どうせ、俺たちには関係ないからね。
青柳:みなさんひどいですね。僕なんか、これからの問題ですから、大変ですよ。
一同:嘘をつけ、嘘を!
RRR:おまえ、同い年だろ? それとも、まだ留年しているのか?
青柳:いえいえ、僕は永遠の十代ですから。
編集長:まあいいや、そういうことなら、そういう立場ということにして、意見をいってもらおう。
青柳:さすが、編集長、話が分かりますね。
編集長:別にわかった訳じゃない。そのほうが楽だから、そうしただけだ。
流しの竜:それじゃ、青柳は厳しくするのに反対なわけだな。俺は賛成だけど、他のみんなは?
編集長:大学時代のことを考えると、あんまり賛成できないけど、それでも世間一般の連中よりは勉強したつもりだからな。賛成だ。
DL:わたくしも賛成です。本当に勉強してない方がいらっしゃるのは事実ですから、そういった人たちはなんとかしないといけません。
RRR:じゃあ、オレは反対ね。やっぱ、大学の時は遊んでたからな。卒業したらそれでどうでもいいっていうのは、不公平だ。
編集長:よし、とりあえず立場もはっきりしたことだし、早速始めよう!
流しの竜:それじゃあ、まず実際の大学についてなんだけど、大学生ってどれぐらい勉強しているのかな?
編集長:ある調査では、週平均26時間ぐらいだって話だ。
DL:一日あたり、3から4時間ですね。
RRR:いや、土日は休みだから、5時間ってところだな。
流しの竜:授業が一時間半、三つ受けて四時間半。休み時間もおまけすると、ちょうどそれぐらいか。
編集長:そうだね。それで計算は合うんだけど……。
RRR:そんなに受けねぇよなぁ。
流しの竜:そうだな。毎日学校行くわけじゃないし、ちょっとなにかあったらさぼっちゃうよな。
DL:文系なら、そんなものですわね。
編集長:そうだよな。理系だと、もうちょっと勉強するんだろ? 実験とかあるだろうし。
RRR:それに、もしオレが平均何時間勉強するかって聞かれたら、やっぱり一日三つ授業受けて、四時間半、四捨五入して五時間って答えるな。実際はそんなことないだろうけど。
編集長:アンケートのトリックというか、答える方もいい加減だから……。
青柳:けっきょく、あんまり勉強してないってことですよね。
DL:だって、授業しか受けてないってことじゃない。自主的な勉強はゼロってことだわ。
流しの竜:おっしゃるとおりでございます。図書館なんて、行ったことありません。
編集長:図書館はけっこう利用したな。ゼミを受けるようになってからだけど。
青柳:ちなみに、読んだ本は?
編集長:熊谷真美著「たこやき」。
青柳:それだけ?
編集長:いやぁ、最初から最後まで、きちんと読んだ本ってこれだけだな。貸し出しカード見たけど、他誰も借りてなかったぞ。それにしても、なんであんな本があったんだろ? おもしろかったからよかったけど。
流しの竜:編集長は、たこ焼きマニアだから……。
DL:それで、話を戻しますけど、やっぱり勉強してないんですわね。
RRR:そうだね。授業ってやつは、出てるだけだし、勉強のうちに入れちゃダメだわ。寝てても、漫画読んでてもいいんだからな。
青柳:それを聞かされると、やっぱり厳しくしたほうがいいのかな? そう思ってきちゃいましたよ。
編集長:おまえも漫画持ってきてたじゃないか。しかも、三冊も四冊も持ってくるもんだから、みんなで読んでたじゃないか!
青柳:人違いですよ。
RRR:こいつのことは放っておいて、そんな程度の勉強でも、こうして無事卒業できたわけだ。で、今回はこれが問題なんだよな。
流しの竜:そう、いまの状態だと、大学は入学することこそ難しいけど、卒業は誰でもできる。欧米だと、入学は簡単なんだけど、卒業は大変なんだよな。
青柳:大学はブランドですから、そのブランドに見合わない実力の学生は卒業させられないんですよ。日本だったら、そんなプライドもないから、簡単に卒業させる。その結果がエリートたちの腐敗につながるんですね。
編集長:そうだよな。東大卒なんていったら、すごいことのはずなんだけど、入学しちゃったらただの遊び人だもんな。そこからが勝負のはずなのに。
DL:それだと、結局大学って、どこに行っても同じじゃなくて?
流しの竜:まあ、肩書きとか、先輩との人脈とか、そんなことでしか役にたたないよ。
編集長:笑い話であるじゃん。幼稚園のころから一生懸命勉強して、ついに東大に合格したら、気が抜けちゃって寝込んじゃうってやつ。大学は入学が目標だから、それで終わっちゃうんだよ。
青柳:でもね、これから大学を目指すものとしては、大学ってやっぱりそういうイメージなんですよ。入学したら、あとは遊べるってね。だから、急に厳しくするなんていわれると、反発したくなるんですよ。
RRR:それって、情けなくないか? オレは厳しくしろとはいわないけど、最初からそんな気持ちで大学に進もうとしてるやつは、ちょっと許せねぇな。
編集長:ごめん。そうだった。
RRR:あんたはいいよ、大学入る前も勉強してないし、大学出てもそのまんま遊び人やってるから。オレが腹立つのは、これまで一生懸命勉強してきたし、卒業したら働かなきゃいけないんだから、大学ぐらい遊ばせろって、そんなこといってるやつだよ。そんな気持ちなら、大学も入らないで、ホントに遊んでりゃいいじゃん。それなのに、なんで大学に入るんだよ?
青柳:それは、やっぱり世間体とか気にしてるからでしょ。無職っていうのは、恥ずかしいんじゃないかな?
編集長:ごめん。世間体とか気にしなくて。
青柳:編集長はいいんですよ。なにいわれても、どんな目で見られても、平気な顔して遊んでるんだから。
編集長:ほめられてるんだか、けなされてるんだか……。
青柳:ほめてるんですよ。
RRR:面の皮が厚いってな。
編集長:やっぱり、けなしてるんじゃないか!
DL:じゃあ、真面目に働きます?
編集長:いやだ、自分の好きなように生きるんだ!
青柳:これぐらいの覚悟があるんなら、遊び人もいいんですけどね。
RRR:これぐらいの覚悟がないやつは、大学も覚悟して入れと。
DL:その代わり、入学は楽にしてもらわないといけませんわね。
編集長:そう、問題は入学時の学力じゃない、卒業時の学力だから、入学してからしっかり努力すればいいんだ。それでダメだったら、卒業させなきゃいいんだし、退学させたってね。
流しの竜:努力したくないやつは、それこそレベルの低い大学に入ればいいんだからな。それでこそ、本当の大学のレベルがわかるってもんだ。
DL:でも、ますます東大とかのイメージが堅くなりますわね。ずっと勉強しっぱなしみたいな……。
編集長:官僚になりたいのなら、それぐらいの人間じゃないと。天下りのことを考えて省庁に入るようじゃダメなんだ。これも、入ることしか考えてないわけだからね。大学にしろ、企業にしろ、そこに入ってなにをやりたいのかをしっかり考えないといけないんだ。
青柳:で、編集長はなにをやりたいの?
編集長:と、とりあえず……好きなことやって生きていくんだ!
一同:ダメだこりゃ。
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1998.11.1