知ってた? 日本は神の国なんだってさ。


参加メンバー
 高城陽介(以下、高城):嫌悪感は感じるが、司会役としてセーブ気味。
 葉山有紀(以下、葉山):あきれ果てて、笑うしかない? やるならとことんやれとばかりに、何故か擁護派。
 真崎孝治(以下、コージ):必要悪を振りかざす男として、毒のある総理はむしろ歓迎。
 金谷登(以下、金谷):権力と宗教が大嫌い。常識のない人間はもっと嫌い。怒ってます。
 加藤千鶴(以下、千鶴):株取引が調子悪い。経済をなんとかしてくれ!

高城:なんともとらえどころの無かった小渕総理の後任は、森善朗さんとなりましたが、いきなりとんでもない発言をしてくれました。

金谷:まったくだ! 信じらんねえよ。日本は神の国だって? 天皇中心だって? ふざけるのもほどほどにしろってんだ!

葉山:あら? いいじゃない。本人がそう思ってるんなら、それで。彼自身の宗教観でしょ?

高城:うーん、でも言ってることがあまりになんだから……。

コージ:俺はむしろその方針を貫いて欲しいね。戦前の体制に逆戻りさせたいんじゃないのか? そうなったら、おもしろいこともありそうだ。

高城:きょ、今日は発言が危ないぞ。なんか嫌なことでもあったか?

コージ:ふっ、悪の美学──とだけ言っておこう。

高城:なんだか良くわからないけど、森首相の擁護派は葉山さんとコージ、反対派は金谷さんと……。

千鶴:うちもや! アホなこといっとらんで、経済をなんとかせえ、っちゅうねん。

高城:両派そろったところで、それじゃあ開始しましょう。まず、この発言がおこなわれた──なんだっけ? 神道政治連盟懇談会とか言うものなんだけど……。

金谷:俺は、そもそもこんなものに現役の総理大臣が出席してることが納得できないんだ。ようは宗教団体だろ? この国は政教分離じゃなかったのか? 特定宗教のイベントに参加して良いものなのか?

葉山:いいんじゃない? プライベートなんだから。非公式の場だって言うんだから、首相として参加したんじゃなくて、一個人として参加したんでしょ。

金谷:一個人のおっさんが、スピーチするってのも変なもんだ。総理だからこそ呼ばれるし、スピーチさせてもらえるんだろ? だったら、非公式だの、プライベートだの言っていられないんじゃないのか?

葉山:本人が非公式って言えば非公式なの。プライベートなんだから、なにしたって良いじゃない。常に気を張りつめてたら、それこそ倒れちゃうわよ。

高城:黙ってる二人の意見は?

千鶴:神頼みでもしたかったんやろ? それは別にええねん。うちは経済さえようなってもろたら、神さんでも、キリストさんでも、仏さんでも、なんでもええから。

コージ:俺は納得できない。参加することは別に勝手だよ。でも、非公式だからなんて言い訳するのは、おかしいと思う。それにさあ、この発言はどう考えたって選挙へ向かっての組織票狙いだと思うぜ。その場だから、ああ言ったんじゃないの? 主張が一貫しないヤツは、俺は嫌いだな。まあ、未だに撤回しないところは、まだ見る目があるというか、そこそこいけるかな?

高城:なるほどね。

コージ:ただ、いちばん気にくわないのは、この同じ日に小渕元首相の告別式だっけ? あったんだよね。それをほんの数分で抜け出して、参加したのは良くないな。仮にも、元総理、しかも大切な仲間だったわけだろ? その人間が死んだんだぜ? やること、やれよって言うの!

葉山:珍しく、語尾が荒れてるわね。

コージ:ちょっとね。なによりも、こういうことが嫌いなんだ。

高城:それじゃあ、ちょっと話を変えるけど、この発言に先立って、みどりの日を昭和の日に変えるっていう案が国会で出ているよね。これとの関連なんかはどう思うかな?

葉山:そりゃあ、関係してるのは当然でしょうね。これも、年寄り相手の受け狙いでしょうけど。

コージ:そうだね。まあ、一貫しているのは良しとしよう。目標が明確というか、主義主張が通っているのは良いことだ。

金谷:俺は気にいらねえ。なんで、今更昭和の日なんだよ! 「昭和の激動を心に留め」なんて言うけどさ、すでに終戦記念日もあれば、憲法記念日もあるわけじゃん。これ以上、昭和のなにを記憶に残せって言うんだ? バブル崩壊か?

千鶴:そ、そんなけったくその悪いもん、残しとう無いわ! 悪夢が甦るやないか!

葉山:あんた、そんな時から株やってたの? 当時、何歳よ?

千鶴:いや、そういうわけやあらへんけど、子供心に……。

金谷:子供って言うほどでもないだろ。

コージ:ここんところ、ストーカー防止法だの、児童虐待防止法だの、おまけに少年法の改正だの、やたらと新法が目に付く。国会議員が真面目に働くようになったのなら良いけど、どうも違うみたいだし……。

高城:いや、真面目に働くようになったって言うのは、間違いないと思うよ。今までがさぼりすぎだったんだけどね。ようやくながら、時代が求めるものが見えてきたんじゃない?

千鶴:そやけど、昭和の日はどさくさ紛れっちゅうか、あまりにこそこそしとる。

葉山:そりゃ、まともにやったら叩かれるわよ。まさかとは思うけど、「神の国発言」は、昭和の日をカモフラージュするためのものに過ぎないんじゃない? どちらも方向性は同じものだけど、あまりに過激な「神の国発言」で国民の目をならすのが目的だとか。

コージ:そこまで考えているかはともかく、森首相の真意は疑うまでもない。戦前への復古だね。少なくとも、天皇を中心として国民──とくに、若い世代の心をひとつにまとめることが、彼の目標だと思う。

高城:うん、僕も彼の発言で「天皇中心の神の国であるということを、国民の皆さんに承知していただこうと30年間取り組んできた」っていうのの、「取り組んできた」がいちばん問題だと思うんだよ。これはもう、一時的な言い違いとかじゃなくて、過去のことだろ? これはもう、本心だとしか思えない。

葉山:そりゃ、最近の若い連中の乱れかたって言うのは、目を覆うばかりだけど、心をひとつになんて気持ち悪いわね。

高城:葉山さんは自由奔放だからね。葉山さんぐらい、ホントの意味で好き勝手やってる人間なら、いいんだけど、最近の若い奴らは中途半端だからね。

千鶴:なに年寄りごっこやっとんねん。ようするに、森はんのやっとることは、時代錯誤っちゅうことやろ?

金谷:今の世の中自由さ! 自由でなにが悪いんだよ。若者の暴走にしたって、結局は大人が悪いんだしね。

高城:それに関しては、また次回以降にやろうと思うんだけど。

コージ:俺だって、みんなが同じことを考えるなんてまっぴらさ。俺が森首相の発言を指示するのは、あくまでも信念を持つ政治家だからさ。自分がそう思うんなら、とことんやれって言う意味での賛成に過ぎないよ。もし、ホントに宗教的な政治をやったりしたら抵抗するさ。

高城:さて、神道や天皇と関係あるニュースがまた飛び込んできた。大手企業が右翼団体の関連政治団体に資金の提供を行っていたっていうんだけど……。

葉山:これは関係ないわ。右翼系の政治団体って言ったって、実際の活動はしていない集金機関でしょ? ただ、右翼や暴力団がうっとうしいから、金でごまかしてるだけじゃない。

金谷:結局、天皇なんて、金儲けか権力維持の手段にされるのが落ちだってことさ。首相の発言にしたって、右翼団体にしたってな。

コージ:いちおう、日本の象徴ってことになってるけど、実際のところ一部の人間が利用しているだけだもんな。それに、象徴ってえらいのか?

高城:僕もそれは疑問なんだ。日本の象徴だからって、祭りあげればいいってもんじゃないよ。神経使い過ぎって言うか、天皇に関係するニュースでは、敬語の使いかたが異常なんだよ。他国の元首と会談したとか言うニュースで、他の国の元首に対して敬語を使うのは当然だよ。でも、自分たちの代表である天皇にまで敬語を使うのはおかしいんだ。

千鶴:あっ、それ、うちも思とった。両方に敬語使うもんやから、訳わからん文章になってしもとる。

葉山:そう言われれば、そうよね。会社では来客に対して、上司のことは敬語で話しちゃいけないってことになってるのに、変よね? これから、うちの会社も敬語使わせようかな? 社長と天皇、どっちが大切なの、ってね。

金谷:しゃ、社長です。

高城:権威に屈しないんじゃなかったの? 金谷さん?

金谷:社長は別! いや、お嬢さんは特別です!

葉山:それでよろしい。今年のボーナスは、ちょっと色付けてあげるわ。

コージ:どこかの暴君みたいだ。

葉山:なにか言った?

コージ:いや、なんでもないです。

高城:そろそろ、閉めない? なんか、結論でそうにないし。

コージ:結論でないのはいつものこと。俺としては、森首相には自分の意見を貫いて欲しい。それだけだね。選挙対策のために、いきなり卑屈になったりしたら、大幻滅だけど。

金谷:森首相は嫌いだ。自民党も嫌いだ。そもそも、国民に選ばれていない総理が就任すること辞退おかしい。即刻、退陣して欲しい。

千鶴:森はんでも、神さんでも、仏さんでも、なんでもええさかい、株価をなんとかして!

葉山:私ね、正直いうと、興味ないのよ。だって、もうすぐ解散でしょ? 今更どうこう言ったってねぇ。

高城:確かにそう言う面もあるね。だから、イマイチ盛り上がらなかったのかな? とにかく、次の選挙が楽しみだね。


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2000.5.23