国旗、国家の法制化──それってどういうこと?
参加メンバー
高城陽介(以下、高城):司会進行役。今回は中立を決め込む。
葉山有紀(以下、葉山):意外なことに(?)賛成派。
真崎孝治(以下、コージ):あまり興味はないがレギュラーなので……。
金谷登(以下、金谷):強制されることが大嫌い。反対派。
真壁新(以下、新):サッカー日本代表を目指している? 賛成派。
高城:今回テーマは、国旗、国歌の法制化です。難しい問題ですし、かなり感情的になる方もいらっしゃる問題ですので、冷静に行きましょうね。
金谷:反対! 反対! 絶対反対!!
高城:だから、冷静に……。
金谷:ヤダ! 俺は絶対にイヤだ!
葉山:金谷さん、いったい、なにがそんなにイヤなの?
金谷:俺は、歌いたくない歌を歌わさせられるなんて、絶対にイヤだ!
高城:ちょっと待って! そういう問題はあとにして、まずは法制化──法律によって決めなきゃいけないかどうかについて、話しましょう。
コージ:あっ、先にいっとけど、今回、俺、中立ね。合いの手だけにさせてもらう。
高城:ずるいなぁ。楽しやがって……。それじゃあ、他のメンバーはどうなの? 賛成? 反対?
葉山:うーん、どうでもいいんだけどね。ただ、なにが国歌で、なにが国旗かを明記するだけなら、別にいいんじゃない?
金谷:反対!
高城:今回、ゲストの真壁新さんは?
新:俺は、サッカーで日の丸を付けることを目標としているから、賛成。もちろん、国歌もね。
コージ:新、なんでおまえがここにいるんだよ。
新:呼ばれたんだ。文句はあるまい?
葉山:コージくんも、元はサッカー部だったんだよね。
コージ:ああ、こいつとはいろいろあってね。新が賛成っていうんなら、俺は反対に回らせてもらうぜ。
新:やれやれ、嫌われたもんだ。
高城:それでは、意見も出そろったことですし、はじめましょう。まずは、なぜ、今になって法制化するかだけど……。
金谷:広島の事件がきっかけだっていわれてるよな。校長が自殺したってヤツ。
葉山:卒業式に日の丸掲揚、国歌斉唱するよう教育委員会だっけ? 上からいわれたけど、教員や生徒に反対されたから自殺しちゃった事件ね。なんでそんなことで自殺なんて……。
コージ:日本人って、昔からそうだよ。代議士にその秘書、動燃の幹部に、インターネットで薬物売ってたヤツ。都合が悪くなると、手の届かないところに逃げやがる。
金谷:ああ、自殺はもっとも卑怯な手段だよな。だから、広島の校長さんにも、同情なんかしないぜ。自分が日の丸上げたいんなら、意地でも上げればいいんだし、それで反対者に刺されたって、本望ってもんだろ? どうせ死ぬんなら、そっちのほうがカッコつくぜ。
高城:そ、それはちょっと過激だけど、確かに刺しかねない人たちっているんだよね。どうして、そこまで反対するんだろ?
葉山:軍国主義の象徴みたいなことをいう人いるわね。でも、ホントにそうなのかしら?
新:たしかに、日の丸は戦時中も使用されたけど、それ以前から国旗的な意味で使われていた。古くは源平の時代にさかのぼり、源氏の旗印だともいわれている。
高城:君が代は?
新:君が代は良くわからないけど、これも相当古いよ。
葉山:大切なのは、古いとか新しいとかそういうことじゃなくて、国民の支持を得られているかどうかなんだけどね。
高城:とりあえず、支持は得てると思うよ。オリンピックやワールドカップで使用されているのは、日の丸、君が代だし。(注:オリンピックで使用されるのは、選手団の歌と旗で、必ずしも国旗・国歌である必要はありません)
金谷:だからって、法律で決める問題じゃないと思うよ。けっきょく、法律で定めることによって、強制力を得ようっていう……それが最大の目的だろ?
高城:うーん、やっぱりそうなのかな?
コージ:やっぱり広島の事件──死者が出たとなっては、動かざるを得なかったんだろうな。でも、俺は反対ね。
葉山:これ以上犠牲を出さないためにも、法制化は必要なのよ。──って、いってる方も、無茶だと思うけど。
高城:じゃあ、なんで賛成なの?
葉山:やっぱり、国旗、国歌って必要じゃない? 必要なんだったら、はっきりさせなきゃ。今の状態って、やっぱり中途半端よ。そりゃ、卒業式に掲揚しなきゃダメだとか、そういう問題はまったく別次元だけど、なにが国歌で、なにが国旗かは、はっきりさせないと。
高城:ちなみに、葉山さんの会社に社旗や社歌は?
葉山:もちろんあるわよ。社旗はロゴマークそのものだけど、社歌はすごいわよ。全部で28番まであって、72分あるんだからCDにギリギリね。
金谷:あれは酷い。いったい、誰が作ったんだか……。
葉山:私だけど……。
金谷:ええっ! イヤ、やっぱりよく考えると、すばらしい曲です。歌詞なんか、胸にじーんときます!
葉山:そう? じゃあ、16番の出だしは?
金谷:ええと……。
葉山:安心しなさい。私も覚えてないから。あれって、実は父に対する嫌がらせで作ったものなのよ。「グループの結束力を強めるために、社歌が必要だ」なんていうもんだから、そんなものめんどくさいって、いい加減に作ってやったのよ。
高城:いいかげんで、72分? 28番?
葉山:26番よ。
コージ:さっきは、28番っていったよ。
葉山:あら? そうだったかしら? まあ、どうだっていいわ。
高城:どうだっていいって……。
金谷:冷や汗かいた俺の立場は……。
葉山:まあ、社歌なんかはどうでもいいけど、国歌は必要よ。オリンピックや、ワールドカップに出たいのならね。うちのグループで代表チーム作っていいんなら、本気で社歌も作るわよ。
高城:ちょっと待って! じゃあ、葉山さんが国歌、国旗が必要だと思う理由って、それだけ?
葉山:ええ、そうよ。他になにがあるっていうの? 新さんは?
新:俺も同じだ。2002年、ワールドカップ決勝で歌えたら、最高だと思う。
コージ:それだったらさ、なにもわざわざ法律で定めなくてもいいんじゃない?
葉山:だから、今の中途半端な状態がイヤなのよ。暗黙のうちに国歌だ、国旗だなんて決めてる、今の状態は微妙なバランスを取っているようで、実は曖昧にしてるだけじゃない。私、はっきりしないのって、大嫌い!
高城&コージ&金谷:……。
高城:はっきりしろって、いってもなぁ。
コージ:ああ、微妙な男心ってものがわかんないかなぁ。
金谷:おまえらはまだいいよ。俺なんか、会社の部下だぜ。立場ってものがある。
高城:僕たちも部下みたいなもんですよ。いいように、あしらわれてる。
コージ:いちおう、俺たち部長と副部長なんだけどな。
葉山:あなたたち、さっきからなにぶつぶついってるの?
高城:なんでもありません。
コージ:それで、話しを戻すんだけど、法制化の目的っていうのは、法律の後ろ盾を得て、強制力を持たせようってことだろ。それにはやっぱり反対なんだよな。
葉山:強制するっていったって、まさか毎日朝何時に全国民が国歌を歌わなければいけない、ってことにはならないでしょ。それだったら、別に問題ないじゃない。
金谷:今、問題となっているのは、卒業式なんかの学校行事だろ。こういう時っていうのは、歌いたくなくても歌わさせられてしまう。歌いたくもない歌を歌うっていうのは、はっきりいって苦痛だ。ワールドカップなんかで歌うのは、歌いたいから歌うんで、なんの問題もないんだけどな。
葉山:卒業式だって、歌いたくなかったら、歌わなければいいじゃない。無理矢理歌えっていうのは、法制化以前の問題だわ。ただの強要よ。
コージ:聞きたくもないっていうのは?
葉山:それぐらい我慢しなさい。カラオケにつきあわされたと思えば、どうってことないでしょ?
高城:主義主張として、日の丸、君が代を認めないっていうのは?
葉山:本気でそう思うんなら、オリンピックの表彰式に殴り込みなさい。ことが学校の卒業式だけで、たいした問題にならないと思ってるから文句を付けるのよ。そんな低いレベルで反対するんじゃなくて、もっと大きなレベルで、世界に対して「日本には、これほどまでに日の丸、君が代を認めない人々がいるんだ」っていうのをアピールしないと意味ないわ。
コージ:過激だけど、正論といえば、正論かなぁ……。
高城:金谷さんはどう思う? 反論は?
金谷:俺に主義主張はないよ。ただ、歌いたくない歌は歌わないっていうだけ。
高城:それじゃあ、君が代の問題は一段落させて、国旗──日の丸についてやろう。これは君が代もなんだけど、第二次大戦中の軍国主義の象徴という意味があるっていうのについて、どう思う。もちろん、それ以前から使われていたかも知れないけど、アジア諸国から見ると好意的なものじゃないと思うんだよね。
葉山:だからって、新しいものに作り替えるわけにいかないでしょ? どこか他国とトラブルがある度に変えてたんじゃ、落ち着かないわ。
新:他の国はどうなの? ドイツは戦時中はナチスの旗を使ってたけど、イタリアの国旗は変わったのかな?
高城:たぶん、変わってないと思うよ(注:実際は変わっています)。批判は聞いたことがないけどね。
コージ:批判されたのはクロアチアだよな。ワールドカップの時、クロアチア代表のユニフォームは、白地に赤のチェックだっただろ。あれが大戦中の新ナチス政権をイメージさせるっていうんで、どこか忘れたけど周辺の国家からクレームが付いたっていう……。
新:でも、あれもずっと古くから使われているものなんだよな。
葉山:そういうのって、国旗がダメなんじゃなくて、その国自体が嫌いなのよ。過去の象徴じゃなくて、現在の象徴としても、やっぱり嫌いなんだわ。
高城:だろうね。国旗を変えればそれですむ問題じゃないもんね。
コージ:ただ、日本の問題は、国内においても反対意見が強いっていうことだ。今回の広島、それに沖縄……大戦中に大きな被害のあった場所は、その痛みを忘れていない。
高城:だけどさぁ、やっぱりそれって一部の人だけだろ? 大多数がそうだったら、広島や沖縄選出の国会議員が、自民党や自由党みたいな与党系であるはずないもん。それどころか、もっとはっきりとした主義主張を持つ独自の人物が選出されているはずだよ。
葉山:一部の過激派っていうのは目立つから……。でも、少数意見の反映も民主主義のルール。黙殺するわけにはいかないわ。
新:まあ、背に腹は代えられないっていうか、沖縄だって絶対基地反対よりも経済振興を前面に押し出した候補が知事選で勝つぐらいだからな。
高城:話がそれてるんで戻すけど、現在の国旗。国家に反対する人がいても、少数である以上は、仕方がないっていうことだよね。
葉山:民主主義の基本としてはね。それに、代案がないから、否定してもそこから先に進めないのよね。新しい国旗、国歌なんか作っても、しっくりこないもの。50年もすれば別だけど、そんなのイヤよ。
金谷:納得できるのは、作る方の人間だけだわな。俺が作曲していいっていうんなら、最高のギターサウンドを聴かせてやるぜ!
高城:国家にギターサウンドはまずいだろ。せめて、歌詞がないと……。
コージ:たしかに、新しいものを作るのは難しいと思う。でも、君が代の歌詞っていうのは、問題じゃないのか? 天皇をたたえる歌だろ?
葉山:それについては諸説あって、「君」っていうのが誰を指す言葉か決まっていないのよ。もともとは恋文──ラブレターじゃないかって、いう説が有力だったりするわよ。
高城:そういわれてみたら、そうとれないこともないかな?
金谷:俺も聞いたことがある。君となら、いつまでも一緒にいたい──みたいな意味なんだって。
新:そうなのか? 俺はてっきり……。
コージ:なんだよ、おまえ意味もわからず賛成してたの?
新:いや、理解していたつもりなんだが……。
金谷:すごく簡単に現代語訳するとだな「いつまでも、ずっといつまでも、石に埃が積もって岩みたいになるまで、幸せでいられたらいいね」っていう意味だ。
葉山:あってるような、ちがってるような……。まあ、大筋ではあってるか。やっぱり、問題は「君」の解釈なのよね。
金谷:厳密にいうと、歌に決まった意味なんか必要ないよ。その時の気持ち、感情を込められるものが歌なんだ。だから、「君」が誰を指すかなんて論じても仕方がない。自分が、一番大切な人のことを「君」だと思えばそれでいいんじゃないか。俺はそうおもうぜ。
高城:金谷さん、反対派だったような……。
葉山:じゃあ、そろそろまとめましょうか。
コージ:なにが国旗で、なにが国歌かを定める法制化そのものは問題ない。でも、それを盾にして、強制力を持たせることには大反対と。
葉山:しょせん、国旗・国歌なんてオリンピックでもなけりゃ、関係ないものよ。いいかえれば、国際的な舞台で使うものであって、内輪の行事に使うのはおかしいっていうか、むしろ気持ち悪いわね。
高城:もちろん、歌いたい人は歌ってもいいけど、それを他人に強制することは誰にも、法律にだって出来やしないんだからね。
1999.3.24
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