ゴミのポイ捨てを、法で取り締まるべきか?
編集長:今回のテーマは、ゴミのポイ捨てです。時事問題というわけではないけど、ニュースなどでもしょっちゅう取り上げられては、問題視されていることだから、今回やってみましょう。
RRR:どうせ、自転車のかごにゴミ放り込まれたとか、家の前に弁当の食べかすが捨ててあったとか、そんなことだろ?
流しの竜:それで腹が立ったから……と。
DL:あいかわらず、わかりやすい人ですわね。
編集長:わ、悪かったな。しかし……。
青柳:このコーナーの原動力は、怒りだ──でしょ?
編集長:そのとおり。
RRR:まあいいか、オレもこういった身近なことの方がやりやすいしな。
編集長:それじゃあ、さっそく……。まず、シンガポールなんかで、ゴミのポイ捨てが禁止されているのは知ってるよな。
DL:有名ですからね。観光客は注意するようにって、けっこう聞きましたわ。
流しの竜:実際シンガポール行ったことあるヤツいるのか?
RRR:いるわけないじゃん。シンガポールどころか、沖縄も行ったことねぇや。
青柳:日本でも、観光地なんかだと禁止されてますよ。市によっては、条例でやっぱり禁止、罰金を取っているところもあるんじゃなかったですか?
編集長:そんな気もするけど、確かじゃないな。
流しの竜:それじゃあ、ポイ捨ての禁止を法律なり条例なりで、禁止するっていうことについてはどう思う?
編集長:賛成かな? 道端──それも、人んちの前に平気でゴミ捨てるヤツは許せない。
RRR:オレも賛成。何でもかんでも法で縛るっていうのは気に入らないけど、できないヤツには厳しくやらないと。
青柳:うーん。僕はどうかな……。そんなことをいちいちいわなくても、いいんじゃないかな? 取り締まるのは警察でしょ。そんなことより、重大事件の摘発に全力を尽くしてほしい。
流しの竜:反対。ゴミを捨てるななんて、当たり前のこと、人にいわれなくてもわかってる。それをなんで国にしろ、地方自治体にしろ、いわれなきゃいけないんだ?
DL:町はきれいに越したことはありませんから、わたくしは賛成です。
編集長:反対する理由としては「そんな基本的なことをいわれたくない」っていうのと「実際の取り締まりは不可能」っていうことだよね。
青柳:そういうことですよね。
流しの竜:うん。
RRR:そりゃ、オレだってそんなこといわれるのはいやだよ。でも、実際できてないヤツが多すぎるんだよ。いわれてわからないヤツには、実力行使あるのみ!
青柳:でも、ポイ捨て禁止を法制化したところで、実際に機能しなければ意味ありませんよ。
編集長:そうかな? 意識は大きく変わると思うけどな。
流しの竜:そんなもん、最初だけだよ。警察官が見ていなければ、みんな平気で捨てるようになっちゃうと思うけどな。
DL:そんな、なさけない……。もう少し、人間に希望を持ちましょう。
流しの竜:希望が持てるんなら、法制化なんかしなくても、最初から捨てやしないよ。
編集長:だからって、放っておくことはできないだろ。
青柳:しょせんは、ゴミじゃないですか。そんなことより、警察にはもっとほかにやることがあるでしょ。
編集長:だったら、警察官を増やせばいい。
流しの竜:おいおい、町中に警察官が立つことになるぜ。それに、そんな金が警察にあるのかよ?
RRR:たしかに、そこらじゅうに警察官が立ってるのはいやだな。金については知らないけど……。
青柳:そりゃ、その気になって予算をとれば、できないことはないでしょうけど、やらないでしょうね。お金にはもっと有効な使い道がありますから。
編集長:たとえば?
青柳:つぶれそうな銀行に公的資金を投入なきゃだめでしょ。ほかにも、料亭で会合したり、公費を使って旅行したりしないといけませんから、警察にばかり配分するわけにはいきませんよ。
DL:でも、失業率も上がっていることですし、雇用対策として公務員──警察官を採用するっていうのは良い考えかもしれませんわ。人数が増えれば、重大事件にも従来以上の人数をかけつつ、細やかな面でもカバーできるんじゃなくって?
青柳:なにいってるんですか。むしろ、リストラを進めて、経費削減すべきですよ。警察だって、できる部分はどんどん民営化していくべきでしょうし。
編集長:そういう話は別の機会にしてだな……。
RRR:でも、民営化っていうのは悪くないかもな。ゴミのポイ捨てぐらいは、民間に任せればいいんじゃないか? ”環境美化指導員”とかなんとか名乗らせてさ。そうすれば、金もそんなにかからないし、警察官がウロウロするっていう事態も避けられるじゃない。
流しの竜:でもさ、そんな役目誰がやるんだよ。
編集長:警察OBとか、地方自治体の職員、学校の先生っていう手もあるし、なんならボランティアだって。
青柳:警察OBっていうと、お年寄りでしょ? 真夏とかは厳しいんじゃないかな? 自治体の職員っていうのは、真っ先にリストラすべき存在で、そんな余分な職員を雇うわけにはいきませんよ。学校の先生も最近は忙しいですし、ボランティアはどの程度効果が上がるか疑問ですね。
流しの竜:ボランティアでは、ゴミを捨てた人間に対して毅然とした態度で注意できるかってことだ。警察官とかなら、さすがに反論できないけど、そこら辺のヘナヘナしたヤツがやったって、なめられちまう。
DL:みなさんの意見はわかりましたから、実務的な話はこのあたりでやめません? ここで論じても仕方ないような気がしますわ。
編集長:そうだね。それじゃあ次は、「ゴミのポイ捨てぐらいで、がたがたいうんじゃねぇ」っていう意見についてだけど……。
流しの竜:きたねえ、逃げやがった。
青柳:まあいいじゃないですか。──ところで、その「ゴミのポイ捨てぐらいで……」っていうのについては、ちょっと思うところがあるんですが、語っちゃっていいですか?
編集長:いいけど、長くなりそうか?
青柳:ええ、たぶん……。
編集長:まあいいや、思う存分語りな。
青柳:ええとですね、まず「ゴミのポイ捨てぐらいで……」っていうのは、ゴミのポイ捨てが悪いことだと知りつつも、それほど重大ではないという認識の元にあるからでてくる発言なわけですよね。
編集長:うん。
青柳:重大でないから、別にしてもかまわない。そういう考えが根底にあるわけですよ。みんなが止めてるから、駐車違反の場所に車を止めるみたいなね。でも、これって捕まった人の言い訳みたいですよね。「みんな止めてるじゃないか。なんで、俺だけ捕まえるんだよ」って、よくドキュメント番組でいってるのを聞きますから。
RRR:確かによく見るな。あれって見苦しいんだよな。そういう問題じゃねぇ、っていうの。
青柳:ええ、そうなんですよ。自己を正当化するために、自分を正しいとするんじゃなくて、みんなが”悪”だと主張するんですね。みんなやってるから、自分は悪くないっていう理屈なんですけど、仮に百人がかりで人を殺したとして、それが悪くないかっていったら、やっぱり殺人なんですよね。それがわかんないのかなぁ。
流しの竜:ちょっと待て、おまえ法制化は反対なんだろ。
青柳:細かいことは気にしない。
流しの竜:でも、そこらへんにゴミを捨てちゃいけないっていうのは、三歳の子供にだってわかることだろ。それをわざわざ法律でなんて……。
青柳:人を殺しちゃいけないとか、人のものを盗んではいけないっていうのも、三歳の子供にだってわかりますよ。それも、より強い形でね。
流しの竜:でもさぁ、なんでそんことぐらい、いわれなきゃわからないんだ? 情けないよ。
RRR:それはオレも思うよ。最近は、情けない人間が増えてるってな。若いヤツばかりじゃなく、年寄りも一緒。ようするに、だめなヤツはどの世代にもいるし、どこにでもいるんだ。
編集長:そういった連中に、そうすれば最低限のマナーを守らせることができるかっていったら、やっぱり法によって取り締まってもらうしかないんだよ。
DL:ところで、話は変わりますけど、最近はゴミの持ち帰りっていうのも盛んにいわれていますよね。これについてはどう思います?
編集長:最近、多いよね。まあ、山とか海なら当然なんじゃない?
RRR:町の中の公園なんかでも、ゴミ箱が撤去されてるよな。アレは困る。
DL:どうして?
RRR:自動販売機でジュース買ったら、捨てる場所がなかった。空き缶持ったまま、駅まで行くはめになったんだ。
編集長:あっ、似たような経験ある。露天のたこ焼き屋でたこ焼き買って食べたんだけど、やっぱりゴミ箱がなくて、駅まで行って捨てた。──それと、駅の自転車置き場の近くに自販機があるんだけど、やっぱりそこもゴミ箱がないのよ。だから、自転車のかごの中に空き缶入れてくヤツがいるんだよな。まだ空き缶なら、近くに他にも自販機あって、そこにゴミ箱あるからいいんだけどさ、たばこの空き箱っていうか、ゴミあるだろ? あれを入れられると、もう家まで持って帰らなきゃいけないんだ。無茶苦茶腹が立つ。
流しの竜:時々、弁当の食べかすとか入れてくヤツいるしな。
DL:話がそれてません?
編集長:いや、そうじゃない。自販機や飲食関係の施設があるようなところでは、ゴミ箱をなくすべきじゃないっていってるんだ。ゴミのポイ捨てもそうだよな。ゴミ箱が近くにあれば、そこに捨てるじゃない。ところが、どこまで行ってもないもんだから、仕方なくそこら辺に捨てちゃうっていう人もいるだろ?
RRR:そりゃ少しは減るかもしれないけど、そのゴミ箱は誰が片づけるんだ?
編集長:そりゃ、その場所を管理している人間だろ? 公園だったら地方自治体だろうし、駅なら鉄道会社、個人の建物ならその所有者が片づければいい。
RRR:駅や自治体はともかく、個人はいやがるだろ? それに、自治体に負担がかかるっていう点では、警察官の増員と一緒だよな。
青柳:どうせなら、ゴミを捨てたら即座に誰かが拾いに来るようにすればいいんじゃないかな? ほら、ディズニーランドなんか、清掃係がウロウロしてるじゃないですか。あんな感じに。
DL:日本中があの状態になるわけ? しかも、24時間?
青柳:そうですよ。右を向いても左を向いても、清掃員。それだったら、町もきれいになります。
編集長:すっごく金かかる……。
青柳:あと100年か200年もすれば、きっとロボットが掃除してくれますよ。そうすれば、それほどお金かからないでしょ?
RRR:それまでは?
編集長:それまでは、やっぱりゴミ捨てちゃダメ! 罰金を取るかどうかは別として、どうにかしてポイ捨てのできない環境を整えるべきだと思うぞ。
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1998.10.1