新井将敬代議士は、なぜ自殺したのか?


編集長:今回のテーマは、日本の誰もが激怒し、そしてあきれ果てたこの事件だ。新井将敬代議士の自殺について、話し合いたい。

流しの竜:……なぁ、いくら汚職政治家とはいえ、自殺した人間を悪くいうのは、どうかな?

RRR:冗談じゃねぇ! 自殺されちまったから、文句の一つでもいわなきゃおさまんねえんじゃねえか!

DL:自殺は卑怯なことですわ。そして、それは罪でもあります。彼は自殺というより大きな罪で、汚職という罪をうち消そうとしたのです。

青柳:やっぱり、みなさん厳しいですね。編集長も馬鹿な人のことが大嫌いですから、ものすごく怒ってるでしょうね。

編集長:もちろんだ。あの馬鹿野郎だけでなく、ほかの議員や検察の対応もな。

青柳:すると、今回は流しの竜さんだけが、擁護派にまわるんですね。もちろん、僕も新井代議士にはいいたいことが山ほどありますから、批判させてもらいますよ。

流しの竜:俺も別に養護するわけじゃないけど……。そういうことなら、擁護派をやってもいいよ。

編集長:では決定! まずは最初の問題。なぜ、新井代議士は自殺したんだと思う? 擁護派としてはどうかな?

流しの竜:身の潔白を証明したかった。そうとしか、いえないな。

RRR:誰が、ヤツを潔白だなんて思うんだ? どっから見ても有罪だ。ヤツが金を受け取っていたのは間違いないんだろ? 捜査の焦点は、利益供与を強要したか、どうかなんだからさ。

流しの竜:だから、強要してないってことを、証明したかったんだよ。

青柳:強要してなくても、そんなお金を受け取っていたら、立派な収賄ですよ。証券取引法違反には問えないかもしれないけど、検察としても最終的な目標は収賄にまで持っていきたかったんじゃないかな? 最悪でも、政治資金規制法ぐらいまではね。

流しの竜:もう死んでしまったんだからさ、そんなにきつくいわなくてもいいじゃん。かわいそうだよ。

編集長:それだ! それが気に入らないんだ! なぜ、死んだら許されるんだ? 新井代議士は日本刀まで持ち込んでいたそうだけど、切腹すれば罪が許されるというのは、大きな勘違いだぞ。

青柳:武家社会でも、切腹は個人の罪を許すというより、単に名誉的なものにすぎなかったんですよ。「斬首よりはまし」ぐらいの気持ちです。それが、第二次大戦ぐらいからおかしくなった。切腹すれば立派だ。みたいなことになっちゃったんです。

流しの竜:でもさぁ、苦しんで悩んで、けっきょく死を選んだんだろ? その点は理解してやってよ。

RRR:その悩みを、金を受け取るときにするべきだったな。どうせ、深く考えずに、当然のことだと思って受け取ったんだろ。たとえ、強要したんじゃなくても、証券会社から「お金上げます」なんていわれたら、政治家なら断るべきじゃないのか?

DL:しかも、新井代議士はクリーンなイメージが売りだったのですからね。おそらく、自分では死ぬ直前まで「自分はクリーンな政治家だ」と思っていたんでしょう。それが、利益供与という、もっとも自分の憎んでいた(少なくとも表面的には憎んでいた)罪に問われてしまったのですから、ショックは大きかったでしょうね。あるいは、告発されるまで自分がしてはいけないことをしていると、気がつかなかったのかもしれない……。

編集長:そうだよな。たぶん、政治家やってるうちに、証券会社から利益供与されるぐらいなら「クリーンな政治家」も、やっていいと思うようになったんだろう。裏を返せば、それだけ多くの政治家たちが、不正な利益供与やそれ以上の賄賂性の強い献金やら、賄賂そのものを受け取っているってことだ。

RRR:ヤツが死んだせいで、そいつらへの捜査もできなくなってしまった。あの馬鹿野郎が! 死ぬぐらいなら、あらいざらい白状しやがれ! 現に「なぜ、私だけが批判されるのか?」みたいなことはいってたんだろ? それなら、ほかに金を受け取っている政治家たちの名前を堂々とあげればよかったんだ。

青柳:もし、そうだったら、おもしろいことになったでしょうね。国会議員の半分近く、あるいはもっと多くが逮捕されちゃう。あっ、でも過半数とれたら、逮捕許諾請求が通らないか。法律だって、変えられますよ。政治家は金を受け取り放題ってね。

編集長:それ最高だよな。そこまで腐ってもらえたら、もう笑うしかないよ。うん、楽しい国になるぞ。

RRR:きっと、アメリカが武力行使してくるぜ。国連は反対するかもしれないけどな。イラクへの武力行使は反対だけど、日本になら大賛成だ。国会議事堂に特殊部隊を潜入させて、国会議員を全員逮捕してくれ。一般人に被害が出るといけないから、ミサイルはかんべんな。

流しの竜:そこまで、自分の国の政治家を悪くいうかな? いちおう、自分たちで選んだんだろ?

編集長:そんな政治家たちに投票したことはないよ。少なくとも、俺はね。

RRR:オレも。

DL:わたくしも。

青柳:僕はまだ選挙権ありませんから。

編集長:おまえ、いくつだ? そんな年じゃないだろ!

青柳:いいじゃないですか、そんなことはどうでも。ようは政治家がみんな──そういってもいいかな──腐ってるってことですよ。

流しの竜:なぁ、俺も養護してて、むなしくなってきたんだけど……。そりゃ、新井代議士が不正な金を受け取っていたのは間違いないだろうし、自殺が卑怯なことだっていうのも確かだよ。でも、いちばん悪いのは「クリーンな政治家」っていう理想を持った人間を、いとも簡単に麻痺させてしまった政治家たちの金銭感覚と、自殺を止められなかった警察だと思うんだけど……。

編集長:政治家たちの金銭感覚っていうのは、もちろん批判すべきだ。だからこそ、新井代議士にはすべてを告白して欲しかったんだよ。それと、警察についてもそのとおりだと思う。新井代議士は国会に出席していなかったわけだから、逮捕許諾とかそういう問題じゃない。そもそも、議員の不逮捕特権ていうやつは、国会に出なきゃいけないから、逮捕できないわけじゃない。それが国会に出席せずに、都内のホテルにいたっていうんだから、どうもその点がよくわからない。そういえば、逮捕許諾を審議する国会に、当の本人は参加できるのかな?

青柳:編集長がそっちの専門でしょ? 僕たちに聞かないでくださいよ。

編集長:ちょっと調べてみる……(六法を取り出して、しばらく目を通す)……ダメだ。わかんねぇ。どこ見ればいいか、わからないや。

青柳:頼りになんないなぁ。──ところで、新井代議士なんですけど、暗殺説なんて出ないんですかね? 実は誰かに殺されたとか……。

流しの竜:ちょっとその手の小説の読み過ぎだぞ。いくらなんでもなぁ。

編集長:いや、それはわからないぞ。ダイアナ妃でさえ、ワイドショーや週刊誌は暗殺説をぶち上げたからな。新井将敬っていう人物には、ダイアナ妃の100倍は、暗殺する価値がある。自分の悪行をばらされたら困る人間が、100人はいるはずだからな。

流しの竜:また、国会議員のことをそんなに悪くいう……。いくらなんでも、そこまでひどくないでしょ。

DL:わかりませんわよ。新井議員の死に対するコメントが、みなさんあまりにもひどいものでしたから。自分の名前が出ずにすんで、ほっとしているのが見え見えですもの。

編集長:「生きて、無実を証明してくれるものと信じていた」

青柳:「彼は死によって、自分の潔白を証明した」

RRR:ハッ! ヘドが出るぜ! ヤツは無実でも、潔白でもないんだよ! それがわからねぇから、この国の政治家たちはダメなんだ!

流しの竜:たしかに、お金は受け取っていたわけだからなぁ……。それを潔白だというのは、確かに無理がある。株の取引で儲けたものじゃなくて、「自分は知らなかったが、証券会社が勝手に利益を出すようにしてくれた」っていうふうに新井議員も発言してるし。

青柳:株の取引を任せておいて「勝手に」は、ないですよね。証券会社は銀行じゃないんだから、お金を預けるところじゃない。株の取引をするところでしょ?

編集長:ほかの政治家たちも、証券会社にはお世話になっているそうだからな。名義は家族や秘書だけど……。秘書名義の取引で、得た利益っていうのは税金誰が払うのかな? それに、利益自体もどう動くんだろ? 秘書から、政治家自身へ渡すわけだろ? それに贈与税かかんないのか?

青柳:だから、そっちの専門家は編集長なんだから!

編集長:すまん、調べてみる。(ふたたび、六法に目を落とす)

DL:そんなものに、載っているわけないでしょ。その行為自体が、違法行為みたいなものなんだから。

編集長:そりゃそうだ。まったく、政治家ってヤツは……。

RRR:ホントに、うんざりするな。だけど、臭い物にふたをして、見えないふりをするわけにはいかねぇ。なんとか、できないものかな?

青柳:地道に、少しずつ変えていくしかありませんよ。正しい人物を選挙で選び、政治家としてふさわしくない人物は選ばない。

編集長:それは無理だ。選挙で見えることといったら、ほんの一部分の、しかも表面だけじゃないか。本当はこのコーナーでやりたくて仕方のなかった、末広のクソババアの例を上げるまでもない。

青柳:過激ですね。もっとも、そのせいで、取り上げられなかったんですからね。

流しの竜:みんな、無茶苦茶いってたもんな。あれは世間が許しても、プロバイダが許さない。

RRR:オレは女は殴らねえ、だけどあの女だけは許すことができない。もし、目の前に現れたら、首しめるぞ。

編集長:それぐらいにしてくれ、ホントにプロバイダにストップかけられるかも……。

流しの竜:じゃあ、そろそろ本題に戻そう。選挙がダメなら、どうやって政治を変えていくかだ。

編集長:警察に頑張ってもらうのが、いちばんいいんだけど……。とりあえず片っ端から逮捕していって、大掃除してもらいたい。

RRR:それも難しいだろ? 警察も、しょせんは公務員だ。オレはむしろもっと地道な活動、こういったインターネットなんかを含む、地道な政治批判こそが大切だと思う。歌にするとかさ。それが、ある意味ではロックンローラーの使命だと思うしな。

DL:たしかに、インターネットの普及は、情報の価値をますます大きくしましたわ。ニュースはあっという間に全世界に配給されますし、個人でも自分の意見をやはり世界中に発信できます。同じ考えを持つ人たちが、手をたずさえることも簡単です。そして、それは大きな力へと変わっていくのです。

編集長:そういう意味でも、我々も頑張らないと。

青柳:でも、もっと柔らかい話題も、もっとやりたいですよ。ポケモンの事件をやろうっていうのも、つぶれちゃったし。

編集長:まあ、そのうちな。でも、このコーナーの原動力は”怒り”だから、柔らかい話題は難しいかも……。もちろん、やらないわけじゃありませんよ。取り上げて欲しい話題とかリクエストがありましたら、メールで送ってくださいね。

RRR:最後にこれだけは、いわせてくれ。──自殺なんざ、卑怯者で臆病者のやることだ。ただでさえ、中学生や下手すると小学生まで自殺しちまうってのは、大の大人たちが、ちょっと辛いことがあったり、どうして良いかわからなくなると、後のことはなにも考えずに自殺するからだ。官僚や政治家までが自殺するこの国は、どっから見ても狂ってる。てめえらは責任のある立場なんだ! その責任から逃げるのは、いじめから逃げる子供の百倍も千倍も醜い行為で、その苦しみなんてのもたかがしれている。そして、それは自分で招いたものなんだ。てめえのケツもふけねえヤツが、偉そうな顔してんじゃねえ。──だいいち、国会議員まで自殺するなんて、いじめで悩んでる子供たちが聞いたらどうなると思う? 「自分だって、辛いんだ。国会議員の偉い人だって自殺するんだから、僕も死んでもいいんだ」そう考えるんだよ。もし、これから自殺する子供が出たら、新井さんよ、あんたが殺したも同じだからな!


 戻る

1998.2.25