サッカーくじは是か非か?


編集長:前回リクエストがあった「柔らかい話題」だけど、今回はサッカーくじを取り上げてみたいと思う。どうやら、決まりそうなんだけど、問題点が馬鹿みたいにあるからね。

流しの竜:サッカーか……編集長の得意分野だよな。くじっていうか、ギャンブルは俺の受け持ちだけど。

青柳:と、いうことは、お二人は賛成ですね。

RRR:オレは、どうでもいいよ。特に感想はない。どっちかっていうと、過保護な親やPTAに対抗して、賛成かな?。

DL:じゃあ、わたくしは反対派になりますわ。あんまり、興味ないけど……。

青柳:僕も反対派に回りますよ。ドラゴンレディさんだけでは、頼りないですからね。

DL:わるかったわね。でも、援護は感謝するわ。

編集長:それじゃあ、スタート! まず、サッカーくじそのものについて、簡単に説明しよう。

流しの竜:それは、俺に任せて。サッカーくじは、Jリーグ発足前から、ヨーロッパでおこなわれているトトカルチョ──これは、イタリア語かな?──を参考に、日本でもやろうっていうことで議論されてきたんだ。

編集長:悪意を持っていうと、競馬を持ってる農水省に対抗して、文部省が予算を欲しいもんだから、なんとかして実現したかった。

RRR:おいおい、賛成派が悪口いって、どうすんだ?

編集長:事実なんだから、仕方ないよ。それに、こんなことは今更問題点にもならない。

青柳:それでは、こちらから問題点を上げさせてもらいますね。箇条書きにしますけど、
1、青少年の育成によくない。
2、未成年が購入しないか、チェックしようが無い。
3、新たなギャンブルではないか?
4、八百長のおそれがある。
5、ファンによる、暴動などの危険がある。
6、くじによるJリーグ人気では、意味がない。
7、スポーツで賭事をするとはけしからん!

DL:こんなものでしょうか?

RRR:意外と多いな。まぁ、似たような物もあるけど。

編集長:とりあえず、これを全部潰せば、我々の勝ちというわけだ。

青柳:潰せるのならね。

流しの竜:さっそく、潰してやろうじゃないか。まず、1番目の「青少年の育成に良くない」ってやつだけどさ、ホントに悪いの? なにが悪いっていうの?

DL:楽をしてお金を儲けようって、考えることが良くないんですわ。やはり、真面目に働かないといけません。

編集長:うう、耳が痛い……。

RRR:いきなり、弱気になるな! そりゃ、オレも真面目には働いてねぇけど、それがどうしたってんだよ? 真面目に働くってヤツは、そんなに大切なのか? どうして、自分の好きなことやって、それが儲かっちゃいけないんだ? その理屈だったら、ミュージシャンや、プロスポーツ選手なんて、社会のクズだぜ。芸術家だってそうだよな。もちろん、占い師や、作家もな。

青柳:そうですね。僕は真面目に働くことに価値なんて無いと思ってますから、青少年に対する影響っていうのは、そういうことじゃないと思いますよ。

編集長:そういうことを、断言するなよ。まぁ、楽してっていうか、好きなことやって商売になれば、最高なんだけどな。なかなか、出来ることじゃないよ。

RRR:それが出来れば、ここにいる人間は、ミュージシャンと、作家と、競馬評論家と、占い師と……編集長は、なに目指してるんだ? あいかわらず、合格もしない試験勉強をやってるのか?

編集長:合格しないは余計だが、いちおう勉強はしてる。でも、それは夢とかじゃないな。夢は、まぁ、なんだ……。

青柳:なに、照れてるんですか。いい歳して。

編集長:悪かったな! それより、おまえのいう「青少年への悪い影響」っていうのは、なんなんだ?

青柳:たぶん、ギャンブルっていう物に対するイメージの問題だと思うんですよ。

流しの竜:なんか、やな感じがするな。昼間から酒呑んでるとか、汚いオヤジがうろうろしてるとか、そんなイメージじゃないのか?

青柳:そのとおりです。未来の日本を背負って立つ青少年が、そんな人間になったら困るでしょ。みんながみんな、奥さんの着物を質に入れたり、子供の給食費までギャンブルにつぎ込むようになったら、大変ですから。

編集長:……おまえの、そのギャンブルに対するイメージは、どこから来てるんだ? 時代劇? それとも、麻雀劇画か?

青柳:どこでもいいじゃないですか。多少は極端かもしれませんけど、世間ではまだまだこんな目で、ギャンブルのことを見ている人が多いですから。

流しの竜:それは否定できないことだけど、いちおう未成年は馬券じゃなくて、なんていうんだ? くじを買えないことになっているんだから……。

青柳:そこで、2番目の問題点です。未成年のチェックは、どうやってするつもりですか?

RRR:不可能だ。ちょっと卑怯な論法を使わせてもらうけど、競馬なんかは、実際黙認してるじゃない。それじゃ駄目なのか? タバコも酒もな。

DL:悪い例にならうことはできませんわ。たしかに、それはそれで問題ですけど、これから作られるサッカーくじにまで、最初から悪習を持ち込むことはなくってよ。

編集長:でもさぁ、宝くじは未成年買えるんだよね。なんで、サッカーくじは駄目なの?

青柳:知りませんよ。それは「青少年の育成に良くない」からじゃないんですか? 僕は反対派ですが、くじを買うのが誰であろうと反対なのであって、未成年うんぬんは、問題にしてません。サッカーくじ、いえ、ギャンブルそのものの存在に反対しているんですよ。少なくとも、この討論の中では、ですけどね。

編集長:ちょっと話の流れからそれるけど、反対派の二人だけじゃなく、賛成派の二人も、サッカーくじはギャンブルだと認識しているのか? これは、3番目の問題点でもあるんだけど。

RRR:オレはギャンブルだと考えているぜ。だから、最初から3番目の問題点は無視してる。

流しの竜:同意見。

編集長:いちおう、公式にはギャンブルではなく、あくまでも「くじ」なんだけど……。

流しの竜:一緒だよ。競馬も、宝くじも、商店街の福引きも、年賀状のくじも、みんなギャンブルだ。サッカーくじに反対するんなら、そこから反対して欲しいな。

青柳:僕はそのつもりですよ。みんな、ギャンブルとして、悪しき物として、廃止すべきです。

DL:ちょ、ちょっと、そこまでは踏み込めませんわ。わたしは、サッカーくじだけにさせください。

編集長:じゃあ、柳に聞くけど、ギャンブルの定義ってなんだ? 辞書では賭博と同意語となっているけど、賭博でひいたら「トランプなどで金品を書けて勝負すること」ってなってる。これって、サッカーくじはもちろん、競馬なんかとも違うよな。

青柳:そうですね。逆に、編集長に聞きたいんですけど、法的にはギャンブルと、くじの違いってあるんですか?

編集長:ギャンブルっていう言葉は、絶対に法律では使わないからな。賭博と、富籤(富くじ)の違いでいいか?

流しの竜:富くじ……なんか、時代劇みたいだな。

編集長:法律用語なんて、そんなものだ。で、二つの違いは、賭博だとどちらが勝つかわからないもので、たとえばトランプや麻雀がそうだな。全員が対等で、誰が負けるかわからないのが、賭博なんだ。胴元が存在しても、胴元が損をする可能性のあるものを、賭博というみたいだね。

青柳:それは、今僕たちが論じている物とは違いますよね。

編集長:そうだ。サッカーくじや宝くじはもちろん、競馬も、むしろ富籤の方に近いな。富籤は、胴元は絶対儲かるようになっていて、客同士で損したり、儲けたりすることをいうんだ。辞書でひいた意味と照らし合わせると、どうやらこれはギャンブルではないらしい。

DL:じゃあ、サッカーくじは、ギャンブルではないということなの?

RRR:競馬も、パチンコ……パチンコは、店が損することもあるから、ギャンブルなのか?

流しの竜:パチンコはゲームだよ。あくまでも、景品。縁日の射的や、金魚すくいといっしょ。規模は違うけどね。

編集長:パチンコってやつは、どう考えても違法なんだけどなぁ。これだけ市民権を得ちゃうと、もう取り締まれなくなってしまうんだよな。

DL:今でも、現金に換えようとすると、おかしなところに行かされる店ありますものね。

流しの竜:表向き、別業者による景品の買い取りだからね。そんな屁理屈、通るもんか。政治家が「秘書が勝手に」っていうのと、いい勝負じゃない?

編集長:話がそれたから、元に戻そう。「サッカーくじはギャンブルか?」だけど、このメンバーではギャンブルだという結論に達せざるを得ないよね。反対派は「宝くじや年賀はがきまで、すべてギャンブルだからダメ」っていう意見だし、賛成派は「ギャンブルでなにが悪い」ってことだろ? 結論は出ないね。

青柳:そんなこといったら、全部結論出ませんよ。1番目と2番目の問題もあやふやにしちゃったし……。

RRR:さあ、4番目の問題だ。

青柳:なんて、いい加減な人たちだ……。

流しの竜:4番目の問題なんだけど、これは「選手に八百長のおそれがある」っていうことだね。

編集長:これは、でも、他のものにもいえることだぞ。競馬や、宝くじだって、しようと思えば、いかさまは出来るんだから。

流しの竜:競馬でそんなことしたら、大変だよ。大スキャンダルで、関係者はみんな永久追放だ。競馬界そのものに対する信用問題になるから、誰もそんなことしないよ。

編集長:競馬法でも定められているからな。同じことをサッカーでもすればいいんだよ。でもなぁ……。

青柳:サッカーじゃ、八百長したかどうかなんて、判断できませんよね。確実性の低いスポーツですから。

編集長:そう! どフリーのシュート外したり、簡単なトラップミスしたり……。J−リーグのレベルの問題じゃなくて、どんな名選手でも試合中に一度や二度のミスはするもんだ。野球でいえば、ど真ん中を空振りするみたいなことを、いくらプロといってもするんだよ。

DL:そうですわね。相手のいることですし、完璧なプレイが出来るのなら、野球なら10割バッターがゴロゴロいる理屈ですが……。

青柳:ですから、反対なんですよ。選手の頭の上に、今からしようとしてることがマンガの吹き出しみたいにして表示されていたら、それがミスなのか、わざとなのか判断できますけど、それが出来ない以上、八百長の可能性はあるわけですからね。

編集長:でも、それは競馬や、宝くじだって……。

青柳:ダメですよ。悪習をひきずっては。それに、僕が競馬も宝くじも反対していることを、忘れてません?

編集長:そうでした。……でもさぁ、少しは人のこと、信用したら?

青柳:そんなことできませんよ。もう、末広さんみたいなことは、ごめんですからね。

RRR:おっ、今回も出たな、クソババァ。

編集長:もう、その話題はやめてくれ。プロバイダにストップどころか、名誉毀損で訴えられる。

青柳:じゃあ、僕の勝ちでいいんですね? それなら、次の問題行きましょう。5番目の問題点は「ファンによる暴動」ですね。海外では、ときどき起きるので、ニュースとして報道されてますよね。

編集長:まるで、サッカーくじがなければサポーターが暴れないみたいな言い方だけど、本当はあっちゃいけないことだけど、すでにサポーター同士のいざこざは日本でもあったんだよな。それに、スタジアムまで見に来る客と、単純にサッカーくじで儲けることを考える客とは、まったく別だと思うよ。くじだけやりたいんなら、テレビで見るか、それとも結果さえわかればいいわけだから。

DL:だけど、競技場まで来る人の中にも、くじを買っている人はいるわけでしょ? そういった人たちが、きっかけとなって暴動に発展することだってあるはずだわ。

RRR:それはもう、個人の問題なんだよな。ロックのライブでも、中には音楽聴きに来てるんじゃなくて、ただ暴れに来てるとしか思えない奴らがいるからな。チカンするために、電車に乗るみたいなもんだ。

編集長:だからって、電車が悪い訳じゃないだろ? 通常とは異なった目的を持つ人間が悪いんだ。だけど、外見じゃ人間がなに考えてるかなんて、わからないからな。けっきょくは、八百長といっしょか……。世の中には、単に暴れる場所が欲しいという理由で、そのきっかけを作ってしまう人間がいるんだよ。サッカーの試合中に、グランドの中に物が投げ込まれたり、選手に生卵をぶつけたりするヤツいるじゃん。そういった連中は、最初から投げ込む物や、生卵を持ってきてるわけだから、最初から目的が違うんだよ。

流しの竜:なんか、いってる意味がわからないぞ。

編集長:ちょっと、脇道にそれちゃったけど、試合に負けて暴れるヤツらは、負けたから怒ってるんじゃなくて、最初から負けたら暴れるつもりで来てるヤツの方が多いんだよ。むしろ、負けることを期待してるようなヤツらがいるんだ。

青柳:そんな連中と、本当のサポーターをいっしょにしないでくれと、いいたいんですね。

編集長:そうだ。

青柳:でも、そういった連中がいることを、認めるわけですね。暴動の原因となる要因は、十二分に存在しているわけだ。

RRR:……馬鹿。あげあし取られちまったじゃないか。

編集長:すまん。……でも、そういわれると、それは事実なんだよな。

青柳:じゃあ、最後の問題点。「サッカーくじによるサッカー人気では、意味がない」っていうやつなんですけど、これは単にギャンブルに反対している僕たちには興味ないことなんで、編集長、好きなこといってください。

編集長:今、J−リーグは観客動員数が激減して、チームの経営状態も悪くなっている。そこで、少しでも経営状況をよくするための手段のひとつが、サッカーくじなんだ。サッカーに対する関心を少しでも大きくして、さらに売り上げをサッカーの振興や競技団体──この場合はJ−リーグになるのかな?──に、還元する。それがサッカーくじの目的のひとつなんだけど、確かにサッカーがスポーツではなく、ギャンブルの対象として人気になったところで仕方がないっていう考え方もある。でも、正直いうと、今はきれい事をいっている場合じゃないんだよ。つぶれちゃったら、どうしようもないんだからさ。

RRR:背に腹は代えられない……って、やつだな。

編集長:そのとおり。ホントなら、もっと自然な方法で、サッカー人気を盛り上げていけたらいいんだけど、そんな方法ないからね。街角にサッカーの出来るグランドがあって、日曜日にはそこで試合をして……って、いう環境ならともかく、今の日本じゃ、パスの練習もできない。試合なんてやろうもんなら、ゴールキックがPKより相手のゴールに近かったりするからな。これ、ホントの話だぞ。

青柳:ブラジルやドイツが強いのは、そういった環境があるからなんですよね。野球だって、アメリカなら日本よりもっとたくさんのグランドがあるわけでしょ? バスケットなんか、駐車場や工場みたいなところでも、ちょっとしたスペースがあれば、ゴールがついてたりしますからね。これだけ環境が違ったら、日本が勝てるわけありませんよ。僕も昔、野球しようとしたことあるんですけど、ピッチャーがセカンドの隣にいましたからね。もちろん、外野なんてありませんよ。だから、フェンス越えたらヒットっていう訳の分からないルールでした。フェンスに当たったら、アウトでね。野手なんて、いらなかった……。

DL:そんな環境なのに、親たちは「外で遊べ」とか、「スポーツをしろ」っていうんですよね。

流しの竜:できるわけねぇよな。

RRR:オレは「外、走ってこい」って、いわれたことがある。それって楽しいか? スポーツか?

編集長:ハードな生い立ちだな。……ところで、そろそろ話を戻すぞ。

青柳:最後の問題ですね。「スポーツで賭事をするのは、けしからん」っていう、意見もありますが……。

流しの竜:いちおう、競馬もスポーツなんだけどな……。

DL:それについては、触れないでおきましょう。ところで、わたしは反対派ですけど、この意見については、同調できませんわ。スポーツを賭事にしてはいけないっていうのは、理由がありませんもの。

青柳:神聖で、健全なスポーツは、正しい心の育成手段であって、金儲けに使ってはいけないということです。

RRR:そうすると、やっぱりプロスポーツ選手は、人間のクズになってしまうな。スポーツで金儲けするなんて、とんでもないことなんだろ? オレはスポーツなんて、娯楽の一種に過ぎないと思うんだけどな。

青柳:僕もそう思いますが、そう思わない人もいるんですよ。彼らの論法では、スポーツは精神修練の手段であって、遊びではないんです。「健全な精神は、健全な肉体に宿る」って昔いってた人いましたよね。人間なんて、もともと神聖でも、健全でもないというのに……。

編集長:おまえ、反対派だろ? ついに、本心が出たのか?

青柳:だから、僕が反対する理由は、ギャンブルそのものの存在に対して反対しているわけで、その理由もギャンブルの胴元に当たる存在が信じられないからなんですよ。

流しの竜:なるほどな。そういわれると、スポーツは健全なものだといってみたり、八百長が心配だといってみたり、勝手なものだな。

青柳:まあ、反対する人間もひとりじゃありませんから、その理由も様々で、なかには相反するものもありますよ。でも、僕は統一された自分の意見で反対してるんですからね。

DL:いいかげん長くなってきたので、結論出しません?

編集長:そうだな、今回は痛み分けということでどうだ? 反対派の柳は確かにここでの議論には勝ったかもしれないが、宝くじや年賀はがきのくじまでギャンブルとして否定する立場だから、その理論をサッカーくじに限定するわけには行かない。賛成派の我々は、サッカーくじをギャンブルと認めた上で、問題点を当然のこととして半ば認めちゃったんだから、なんの解決にもなってないんだよな。

流しの竜:そうだけど、サッカーくじを最初からギャンブルじゃないと言い張るから、おかしなことになるんだ。ギャンブルだと認めちゃえば、楽なのに。

編集長:そうだな。でも、討論を離れて個人の意見をいわせてもらえれば、あればあったでやるだろうけど、無くても問題ないものなんだよね。イヤなら、くじを買わなきゃいいわけだし、子供にも近づけさせなければいい。それぐらいの管理は、親なら出来るだろう。八百長なんてのも、あくまで選手の問題だから、心配しても仕方ない。政治家だって、汚職すると怖いから投票しないじゃ、選挙にならないもんな。

青柳:スポーツを健全なものと見るか、それ以上に娯楽と見るか、それは個人の主観の問題ですからね。他人が文句をいうことじゃないでしょう。同じように、サッカーくじをどう見るかもね。別に誰かの命がかかっているわけじゃないし、大したことじゃないんですから。


 戻る

1998.2.25