サマータイム導入? 過半数賛成って本当?
参加メンバー
高城陽介(以下、高城):司会進行役。どちらかというと反対派。
葉山有紀(以下、葉山):めんどくさいことが大嫌い。反対派。
真崎孝治(以下、コージ):意外とエコロジスト? 賛成派。
金谷登(以下、金谷):ジャニス・ジョプリンの名曲”SUMMER TIME”との関係から出席。賛成派。
高城:このメンバーでお送りするのは最初となる特別会議。第一回のテーマはサマータイムなんだけど……。
葉山:この問題って、何度も出ては消えてるんだけど、そんなにやりたい人っているのかしら?
コージ:資源節約の意味で、再び注目されているんだよ。
葉山:そうなの? 資源節約ねぇ……。私はてっきり、時計屋さんの陰謀かと思ったわ。
高城:時計屋さん……って?
葉山:ほら、サマータイムに切り替わる日に、自分で時計の針を進めるのめんどくさいでしょ。自動的にやってくれる時計とか売り出すんじゃないかと思って……。
高城:ちなみに、葉山グループに時計屋さんは?
葉山:直接はないけど、家電部門にあるわね。
コージ:そこで売り出そうとしてるんじゃ……。
葉山:まさか! 私はサマータイムに反対よ。
コージ:反対なんだ。残念だな。
高城:と、いうことは、コージは賛成なんだね。
コージ:うん、少しでも資源の節約しなきゃ。
高城:なるほど。それでは、他のメンバーは……って、いないじゃん!
金谷:ここで、サマータイムの討論やってるって聴いたんだけど?
高城:いいところに来た! 金谷さんは、サマータイムに賛成? それとも、反対?
金谷:賛成とか、反対とかって、いったいなんのこと? 俺は好きだけど。
葉山:好きってなによ? あなた、なにか勘違いしてない?
金谷:勘違い? 俺はジャニスの”SUMMER TIME”の討論してるって聞いて……。
葉山:やっぱり勘違いだ。
高城:ジャニスは関係なくて、あくまでも夏時間──サマータイム制の論議だよ。
金谷:えっ? そうなの? ……失礼しましたぁ。
葉山:待ちなさいっ! せっかく来たんだから、参加していったら?
金谷:お、お嬢さんがそういうのなら……。
高城:それじゃあ、賛成? 反対?
金谷:どっちかっていうと、賛成。なんか、休み増えそうじゃん。
高城:休みっていうか、余暇時間ね。それじゃあ、まずそこから行こうか。──サマータイム導入によって、余暇時間が増えるっていうけど、どうかなあ?
葉山:たしかに、理論上は一時間早く仕事が終わるわけよね。
コージ:そう、太陽の出ている時間が、より有効に利用できるんだ。
高城:っていうか、朝の一時間を、有効に仕事に使ってるっていうほうがいいと思う……。
葉山:そうよ。余暇時間が増えるっていっても、一時間どこからともなく現れるっていうわけじゃなくて、前倒しになるだけだから、何も代わりはしないはずよ。
コージ:でも、仕事が終わって、まだ太陽が出ているっていうのは大きいと思うよ。日没まで、三時間ぐらいあるじゃん。
葉山:仕事が5時に終わるのならね。実際、5時に終わったから帰るっていう職場がどれくらいある? なんだかんだで、6時、7時、通勤に二時間かかってたら、9時じゃない。いくらなんでも、日が暮れてるわよ。
コージ:それはそうだけどさ。でも、恩恵を受ける人だっているはずだよ。
高城:どうだろうね。さすがに最近は不況で残業も減っただろうけど、ちょっと前まで過労死なんていう、とんでもないものが流行ってたからね。
葉山:それにね、昼間働かない人もいるわけじゃない。そういう人には、まったく意味ないわよ。ねえ、金谷さん?
金谷:まあ、俺はライブハウス勤務だから、どっちかっていうと夜の仕事だわな。昼過ぎに出勤して、帰るのは深夜って感じだから……。
高城:それじゃあ、サマータイムの恩恵は?
金谷:直接はないんじゃない? 客は増えるかも知れないけど。
コージ:じゃあ、間接的に恩恵あるじゃない。ライブも一時間長く出来るんだから。
葉山:そこが間違い! 一時間遅くまで遊んでたら、睡眠時間が一時間減るのよ。それを忘れちゃダメ!
コージ:そこまで遊べなんて言ってないよ。たとえば──ライブはちょっと遅いから無理だけど、仕事終わって二時間遊んでも、まだ十分明るいじゃない。日が暮れるころに寝ればいいんだから、そのぶん電気代が節約できるってわけ。
高城:そんなにうまくいくかなぁ。今の日本の生活サイクル考えると、寝るのって11時とか、12時だろ? 起きるのが6時、7時じゃない。サマータイムで一時間繰り上がっても、まだ足りないよ。夏場だと、4時頃には明るいよ。思い切って3時間ぐらいずらさないと……。
葉山:ようするに、日本の標準時が遅れてるのよね。他の国のことは知らないけど。
コージ:せめて、一時間でも……。
葉山:中途半端は嫌い! 第一、これだけ生活様式が多様化している時代に、みんなそろって5時に帰りましょう、なんておかしいじゃない。そんなに資源節約させたいんなら、コンビニの24時間営業やめさせて、映画館のオールナイトやめさせて、テレホーダイも廃止しなさい!
高城:最後のは、きっとこれ見てる人たちの反感かうだろうな。それにさ、電力会社は、必死に深夜電力買わせようとしてるわけじゃない。それとは、矛盾しないの?
コージ:どうなんだろ?
高城:頼りないなぁ……。金谷さんって、もと電力会社の社員だよね? どうなの?
金谷:お、俺は技術部門だったから……。でも、電力会社の本音から言うと、石油の消費量を減らすより、原子力への転換を進めたいところだと思うよ。サマータイムなんて言ったって、一時しのぎでしかないからね。根本解決を図るには、原子力発電、さらには高速増殖炉と、資源の半永久的な利用を考えていかないといけないんだ。
コージ:少しでも、資源の節約を……。
葉山:中途半端は嫌い! どっちにしても、石油なんて限りがあるんだから、さっさと原子力発電にしちゃいなさい。
コージ……。
高城:まあまあ、そう性急にならなくてもいいんじゃない? 風力とか、太陽熱とか、いろいろと新しい技術もあるだろうし……。
葉山:それじゃ間に合わないから言ってるのよ。いったい、それらの技術はいつになったら実用化できるの? それまでに、石油がつきて深刻な状態になりかねないから、一番実用化に近い技術──原子力を押し進めないといけないのよ。
金谷:なあ、サマータイムの話じゃなかったのか?
高城:そ、そうでしたね。葉山さんも、ここは押さえて……。
葉山:たしかに、本題からずれたかもね。でも、言いたいことは同じよ。サマータイム制みたいな中途半端な方法で、資源の節約やら余暇時間の増加なんて言うのは、お門違い。もっと、根本的解決を目指さなきゃダメ。
高城:ええと、それじゃあ、他にサマータイム制の利点って言うのは?
コージ:後は別に……。
高城:それじゃあ、反対派の意見は?
葉山:私がサマータイム制に反対する最大の理由は……。
高城:理由は?
葉山:めんどくさいからよ!
高城:はぁ?
葉山:だってそうでしょ。毎年、6月30日だかいつだか知らないけど、家中の時計を一時間進めないといけないのよ。ざっと見渡しただけでも、どれだけの時計がある? パソコンの内蔵時計、ビデオデッキ、コンポ、MDプレイヤー、ゲーム機、それに壁掛け時計に、腕時計……これだけの時計が、ひとつの部屋の中にあるのよ。台所に行けば、電子レンジに時計が付いているのもあるだろうし、電話機にも時計付いてるわよね。エアコンなんかもそう。部屋の数だけ壁掛け時計はあるだろうし、時計のコレクターだったら、とんでもないことになるわよ。
コージ:それはまあ、そうだよな。それだけで一日かかってしまう……。切り替わる日が休日にでもなればいいけど……。
高城:まさか、日本中みんな休みっていうわけにもいかないよ。電車やバスは動くし、商店だって休まないだろ? そういう人たちは、どうすればいいんだよ?
葉山:外国の人たちはどうしてるのかしらね? たぶん、時計はそのままで、気持ちだけ切り替えているんだとは思うけど……。
高城:それじゃあ、意味ないよ。会社が自主的に一時間、始業時間を繰り上げるのと一緒だからね。──でも、それだけでいいんじゃないかな? わざわざ、サマータイムだなんて大騒ぎしなくても、自主的な対応に任せるっていうのじゃダメなの?
コージ:でも、電車のダイヤとか、テレビ番組とかが対応してくれないと意味ないよ。一時間早く行こうと思ったら電車がなかった……笑い話にしかならない。
葉山:そうね。取引先とか、関連する会社にも迷惑かかるしね。やるんなら、全国一斉に、誰ひとり忘れずにやらないと。──でも、必ず忘れて遅刻する人とかいるでしょうね。
高城:それはいる! 絶対にいる! 朝起きて、テレビ付けてはじめて気が付くヤツ。
コージ:やけに電車が空いてるなとか思って、会社や学校についてはじめて気が付くヤツもいるだろうな。
金谷:途中で友達にあって「なんか今日は変だよね」とか、話しながら歩いてたりして。
葉山:うーん……それは見てみたいわね。それだけでも、サマータイムを導入する価値があるかも。
高城:そ、そうかなぁ……。でも、笑われるほうにならなきゃいいけど……。
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1999.1.28