出口の見えないイラク問題。そして、ついに自衛隊は派遣される。
参加メンバー(すべて、フィクションです)
高城陽介(以下、高城):大学3年。自称正義の味方。
葉山有紀(以下、葉山):大学3年。金の亡者。
真崎孝治(以下、コージ):大学3年。好きな言葉は必要悪。
金谷登(以下、金谷):社会人だが、バンドマン。強いものと権力が大嫌い。
イワン・ボルショフ(以下、イワン):もとソヴィエト軍中佐。アドバイザーとして参加?
高城:何年ぶりかの開催となります特別会議。今回からは英雄学園討論会として開催します。そして、その記念すべき復活第一回のテーマは”自衛隊のイラク派遣”です。
金谷:まあ、予想どおりというか、こりゃ黙っていられないぞって言うテーマだな。
葉山:でもね、このテーマで賛成票を入れる人がいるの? いつものパターンで悪役のコージくんが、賛成派?
コージ:別に、悪役ってわけじゃ……。まあ、俺の考えは「出さざるを得ない」かな? 消極的賛成。
高城:僕は反対。
金谷:絶対反対!
葉山:う〜ん、じゃあ私はあえて賛成派に回ろうかな。
コージ:お、うれしいね。葉山さんとタッグか。
葉山:うふふ、意味合いはだいぶ違うかもしれないけどね。
高城:それじゃあ、まずそれぞれどうして反対、あるいは賛成なのか、発言してもらおうかな? まず、僕が反対なのは、やっぱり安全が確保されていないこと、なにをしに行くのかはっきりしないことだね。
金谷:俺が反対するのは、アメリカの尻ぬぐいさせられるのはまっぴらごめんだから。勝手に戦争初めて、うまくいかなくなったら兵力の縮小をして、あとはよその国にお任せ〜、ってのはどう考えても許せない!
コージ:じゃ、今度は賛成の理由な。俺が賛成するのは、日本は開戦時にアメリカの支持をした。支持をした以上は、最後まで面倒を見る必要がある。ここで放り出したら、それこそ自分勝手じゃないか。
葉山:私はね、もっと単純な理由から。ここでイラク復興に一枚かんでおけば、将来的には日本企業の進出がしやすくなるのと、なんと言っても石油ね! 日本にとって生命線ともいえる石油の確保を考えれば、イラクに恩を売っておくのは損じゃないわ。
高城:金谷さんとコージの意見は対立してるようだから、ここから片づけようか。僕も立場的には、日本政府がアメリカを支持する以上、何らかの協力をしなければいけないとは思う。でも、自衛隊の派遣は、その意味がわからないと言うか、必要性がないと思うんだ。
金谷:日本政府がなにを言ってるか知らないが、俺はアメリカを支持した覚えはない。だから、俺は反対してるんだよ。政府の言うことを国民が何でも聞かなきゃいけないってことはない。俺が反対の声を上げるのは自由だと思うんだが?
コージ:金谷さんが反対するのは自由だよ。だけど、それは次回の選挙で問われるべき問題で、今の自民党小泉政権としては、出さざるを得ないってこと。
葉山:次回って言うか、いちおう前回の選挙の争点でもあったわけだけどね。まあ、対抗馬の民主党も、この点では今ひとつはっきりしない感じだったから、ちょっとぼやけちゃったけど。
金谷:でもよぉ、選挙に勝ったら何してもいいって訳じゃないだろ。開戦時に支持したからって、当時と今では状況が違うわけだから、意地になる必要もないんだし。意地になって、なんとしても派遣ってなったら、まるでベトナム戦争のアメリカじゃない。アメリカはあれで懲りたから、なんとしても他の国を巻き込もうとしてるわけだろ? それにみすみす乗るってのは、悔しくないか?
イワン:……よろしいかな?
葉山:あ、そういえば、今回は特別ゲストに軍事アドバイザーとして、もとソヴィエト陸軍所属のイワン・ボルショフ大佐に来ていただきました!
イワン:私の意見としては、やはり派兵はすべきかと。戦わずして、勝利はありません。
高城:あの〜、戦わずって、戦いに行くわけじゃないんですが……。
イワン:なにも武器を取って、相手を殺すことだけが戦いじゃありません。この場合は、まあ最後まで撤兵せずに、新生イラク軍、ないしはそれに相当する組織に引継を終えられれば、勝利でしょうね。
金谷:だからって、それを自衛隊がやる必要はないだろ? アメリカが始めたんだから、最後までアメリカがやるべきじゃないのか?
イワン:アメリカはやめると言ってますから、もはやそれは無理でしょう。そうなったら、責任はアメリカだけでなく、それを支持したものも同じです。
金谷:けっきょく、支持してしまった以上はやらなきゃ駄目ってことか? だから、俺はあのときから……。
葉山:過ぎたことをぼやいてもしょうがないわよ。こうなったからには、少しでも日本の利益のためにどうするかを考えないと。
高城:僕は日本のことじゃなくて、イラクのことを考えないといけないんじゃないかと思うんだけど……。みんな、アメリカのことと、日本のことばかり言ってるじゃん。
コージ:それは正論だけどさ、イラクの声は聞こえてこないからな。自衛隊に来て欲しいのか、そもそも日本に対する感情とかもよくわからない。なんか、好感は持ってくれてるらしいけど、自衛隊派遣でそれがプラスに出るかマイナスに出るか、行ってみないとわからないよ。
イワン:日本の第二次大戦からの復興を、自国の復興の手本として見ているようですね。
葉山:それならばなおのこと、そこに日本人が乗り込んで、復興の手助けと将来を見据えた種まきをしとかないとね。むざむざ、アメリカにおいしいとこもってかせたくないでしょ?
金谷:俺は、そういう考え方がきらいなんだよ。自衛隊の派遣は、あくまでもアメリカの要請だろ? それは、アメリカに利益のおこぼれをもらってるみたいなもんで、ちっともイラクのためになってないじゃないか。
葉山:だから、もらえるもんはもらっとかなきゃ損って言ってるのよ。現に、アメリカはイラクに派兵していない国の企業は、復興事業の入札から外すって言ってるし。
高城:なんか、時代劇の悪代官みたいだな。
コージ:まあ、国家レベルになると、倫理観とか、人道がどうこうとかは吹っ飛ぶからな。
高城:なんでだろうね? 日本だって、派遣の理論に「国の威信」なんて持ち出してるけど、こんなぞっとすること無いよね。国の威信と、個人の命とどっちが大切なのか、わかってないのかな?
葉山:高城くんは、相変わらず甘いわね。日本そのものがつぶれちゃったら仕方ないんだから、誰かに犠牲になってもらわないと。それが自衛隊よ!
金谷:そ、そこまで言い切っていいものだろうか……。
葉山:でも、今のイラクは危険なんだから、いけるとしたら自衛隊ぐらいなものでしょ。それを、犠牲っていうんじゃない? 犠牲が言い過ぎなら、貧乏くじね。
コージ:いちおう、自衛ができるのは自衛隊だけだからね。
金谷:でもさあ、表向きは日本政府は安全だって言ってるじゃないか。それだったら、自衛隊でなくてもいいんじゃないのか?
葉山:馬鹿ねぇ、安全なわけないじゃない。ね、大佐。
イワン:今回の派遣に伴って、恩給や危険手当など、自衛隊ではかなりの高額を設定しています。諸外国と比べても、ずば抜けて高いものなので、これがいかに危険か、いままでの任務とは異なっているという証明ですね。まあ、これは、もともと自衛隊に危険を伴っているという認識が欠如していたと言うことですが。
高城:それは、あくまで自衛隊であって、軍隊じゃないんだから当然じゃないかな。
イワン:しかし、自衛隊の規模は軍隊以外の何ものでもありません。もし、あれで軍隊じゃないなどといっていたのなら、軍隊ごっこをしていたということでしょうなぁ。
葉山:はい、はい、自衛隊論は今回は無しね。
金谷:イラク人の求めているのは、水道や電気、それに雇用といったインフラ整備だろ? それなのに、危険だからってニーズに応えられる企業や技術者でなく、アメリカの手伝いのために自衛隊を出したって意味無いんじゃないか?
葉山:だから、イラクのためじゃなくて、アメリカのため。そして、それは将来の日本のためだってば。
金谷:そこまで割り切っちゃうの? なんか、悲しいなぁ。
葉山:私が言ってるわけじゃないわよ。小泉さんの考えはそうだってこと。でも、周り巡って、イラクのためにもなるのよ。先進国の企業が多く入れば、雇用も安定するし、石油頼みの経済から脱却できるでしょ。生活レベルもぐっと上がるわよ。
金谷:でも、イラクの人が求めているのは、そんな将来のことじゃなくて、今の電気や水、それに雇用だと伝えられているけど……。
葉山:そんな、急には無理だわ。ちょっとは我慢してもらわないと。
金谷:我慢できない連中は、すでにテロに走っているじゃない! 早急に手を打たないと、手に負えなくなるんじゃない?
高城:思うんだけど、テロだってイラクの声じゃない。もっとも過激な一部の人間かもしれないけど、行動を起こさない人の中にも「他国の軍隊は来るな」っていう声があるのは間違いないだろ。そんななかに、自衛隊を派遣したら確実に反感を買うよ。攻撃されるかどうかはともかく、現地まで行って水道工事もできない、電気工事もできないってなったら、総スカンだよ。なにしにきたんだって、馬鹿にされるだろうし、そうなったらそれこそ日本の立場がないよ。
葉山:だから、自衛隊にたとえ本職じゃなくても、できる範囲で水道や電気のインフラ整備をしてもらうのよ。イラク側は工事業者に来て欲しい、日本は軍隊しか送れないんだから、折衷案としては妥当じゃない?
金谷:中途半端なだけの気もするが……。
葉山:仕方ないじゃない。完璧を求めるのは無理なんだから、せめて中途半端なことでもしなきゃ。
高城:中途半端で危険にさらされる自利隊の人には、たまったもんじゃないと思うけど……。
イワン:兵士など、そんなものです。そのために、給料を払っているのですから。
コージ:結局、なにもしないか、中途半端に自衛隊を送って、結果がどうあれお茶を濁すしかないんだよ。だったら、俺はお茶を濁す方を選ぶな。もちろん、いい結果になる可能性も皆無じゃないんだから。
高城:でも、やっぱり自衛隊の人には気が引けるなぁ。
葉山:じゃあ、高城くん、あなたがイラクに行ってなにかする?
高城:い、いや、行けるもんじゃないし、行ってもなにもできないよ。
葉山:だったら、自衛隊に任せておきなさい。まがりなりにも、きちんとした装備をもって、訓練を積んだ連中なんだから。
高城:そうそう、時間がないから、深くはつっこめないけど、憲法9条の問題はどう思う?
葉山:目的が戦闘行為じゃないんだから、いいんじゃない? 襲われて反撃しても、あくまで正当防衛。
コージ:場所が危険なだけで、やることは今までのPKOや、国内での活動と一緒だよ。
高城:でも、やっぱり、襲撃とそれに伴う反撃が予想できる以上、問題だと思うんだよなぁ。
葉山:そんなの、襲ってくる方が悪いんだから、反撃は当然でしょ? 危険になったら反撃するというのは、一般人でも同じよ。旅行者が襲われて、逆に相手を殴り倒してしまったって、問題にしようとは思わないでしょ? 自衛隊はその反撃がちょっと激しいだけよ。で、相手もそのことを当然知ってるんだから、それでも襲ってきたら仕方ないじゃない。
2004.12.11
今回のテーマについて、みなさんの意見をお待ちしています。どんどんメールを送ってください。また、テーマとして取り上げてほしいことがありましたら参考にしますので、やっぱりメールくださいね。
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