『ひとときの幸せ』
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本拠地の城の中をこんなに歩いたのは初めてではないだろうか。いつもならば探さずとも自分が必要な時にはいつの間にか側にいるのだ。否、必要でなくても側にいるのだ。しかし、今日は朝から一度も見かけていない。…何かあったのだろうか。 「おんし、クラウスを見なかったかえ?」 今日、何度言ったか分からない質問を繰り返す。しかし、今回は相手が悪かった。よりにもよってミリー、もっとも言葉の通じない相手だ。 「クラウスさん〜?クラウスさんって、やさしいですぅ〜。だってね、ボナパルドがとってもなついてるんだよ。クラウスさんはボナパルドにいい子いい子してくれるの。でも、目をつっついてかわいがるのはやめなさいって言われちゃった。なんでだろう〜?おもしろいし、とってもかわいい声で鳴くのに。」 シエラは思わず黙り込んでしまった。クラウス…ボナパルドの目をつつくなと言ったのなら、それをボナパルドがイヤがっているのだということまで教えてやれば良いものを。しかし、それをシエラが教えてやる義理は無い。それに、この様子ではクラウスの情報を聞けるとは思えない。ここは退散するのが賢い選択だ。 クラウスを探してうろうろしていると、石版の前まで来た。キョロキョロしていたら、声をかけられた。 「あんたがこんな所まで来るなんて珍しいね。」 声をかけてきたのは石版の番人のルックだ。キレイな顔をしているのだが、残念ながら口も性格も悪い。 「おんし、クラウスを見なかったかえ?」 口の利き方が気に入らないのは多少我慢し、ルックにも聞いてみる。このルック、常にこの場所に立っており、意外とよく人を見ているのである。 「クラウスなら、さっき外に出て行ったよ。別に用事がある風でもなかったから、散歩にでも行ったんじゃないの?」 「そうかえ。」 特に礼も言わずにシエラは外に向かった。礼くらい言ってから行けよ、というルックの言葉は聞こえないフリをした。無礼なのはお互い様だ。第一、長く生きている自分にこそ敬意を払うべきではないか。しかし、今はそんなことはどうでも良かった。 城の外…といっても中庭なのだが、建物の外をシエラが歩き回っているというのは、なかなかに珍しい光景らしく、周りの人間が振り返った。いつもなら、人にジロジロと見られるのが嫌いなシエラも、今はそんなことは気にならなかった。 何故こんなにもクラウスのことを気にかけるのか、自分でも分からない。人間がこんなにも気になるというのは、シエラ自身にも初めてだった。まだ自分が人だったころには、そんな感情もあったが、それが何なのかはわからなかった。人ではなくなってからは、初めのうちは人と接触しないようにした。仲間を増やし、「蒼き月の村」を作ってからも、一人の人間に執着したことなど無かったのだ。 しばらく歩いて、人気のない図書館の裏手まで来た時、大きな木の側で、クラウスを見つけた。クラウスは、木の根元に座り、ムササビのムクムク、ミクミク、メクメク、モクモク、ユニコーンのジークフリード、グリフォンのフェザーと一緒だった。…何故こうも人間以外のものに好かれるのだろうか、この男は。しかもそれが不自然ではないのが不思議だった。 「クラウス。」 シエラは声をかけた。声をかけられるまでシエラに気付かなかったらしい。フェザーに寄りかかり、膝の上にのったムクムクの頭を撫でながら、クラウスはシエラの方に顔を向けた。 「やぁ、おはようございます、シエラ殿。」 おそろしく平和な顔と口調でそう言われたシエラは、一瞬崩れ落ちそうになってしまった。あんなに必死になって探しまわっていた自分は、一体なんだったのだろうか。 「こんなところにおったのかえ。」 平静を装いながら言う。必死になってクラウスを探していたなどと知られるのは、イヤだ。 「ここで何をしておるのじゃ。」 「ご覧の通り、日向ぼっこですよ。良い天気で、気持ちいいですよ。シエラ殿もご一緒にいかがですか?」 シエラは一瞬口を開けたまま黙って、それから飽きれたように溜め息をついた。 「ほんに、おんしという奴は…」 言いかけて、やめた。そして、クラウスの横に座り、フェザーい体重を預ける。フェザーの羽は肌触りが良かった。たしかに気持ちが良い。 「私を探しに来てくれたのですか?」 油断していたシエラは平静を装うのも忘れて思い切りクラウスの顔を見てしまった。そして、すぐに顔をそむけてうつむいてしまった。これでは、自分が若い少女のようではないか…見た目は確かに16歳の少女なのだが…。 その様子をみていたクラウスは、その後何も言わなかった。 二人の間に会話はなかった。しかし、居心地が悪いことはなかった。 …願わくば、今、この時間が少しでも長く続きますように。 |
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2500を踏んだので、頼み込んで書いて頂いちゃいました★へへへ♪ 『幻想水滸伝2』クラウスとシエラのほんのりラブ(?)ですっ!! いやーリクエストした時点では、この組み合わせはコメディだろうな〜と思っていたんだけど(笑)いいムードじゃないですか〜vシエラの振り回されっぷりがかわええvvv 待ち続けた甲斐がありましたよ〜!!智ちゃん、どうもありがとう(*^-^*) |