プール漏水原因は不良溶接(2002年11月)


2002年11月18日東奥日報社説

 不信増幅した「不良工事」

 六ケ所村の使用済み核燃料貯蔵プールで起こった漏水の原因は、プールを溶接した下請け業者が、設計通り施工しなかった不良工事だった。事業者の日本原燃が、調査中間報告として発表した。

 このプールには、全国の原発から出た使用済み核燃料が運び込まれる。核燃料は水に沈めて冷却され、再処理工場で再処理されるまで、放射能を弱めながら貯蔵・保管される。

 核燃料サイクル事業にとって欠かせない上、厳重管理が要求される重要な施設で、ずさんな工事が行われていた。愕然(がくぜん)とした。

 プールの底の内張りと、使用済み核燃料を貯蔵する容器の底を支える金具を溶接する際、すき間があいたため、業者はステンレス材を継ぎ足す正規ではない作業を行った。その溶接が不十分で、すき間が完全に埋まらず、漏水した。

 業者は、元請け業者や発注者の原燃に行わねばならない溶接作業変更の協議、報告をしなかった。工事記録には、正規の方法で行ったと書かれていたそうだ。

 工事は一九九五年に行われ、原燃は、完成後に検査した。だが、不良工事を見抜くことができず、使用済み核燃料を九九年からプールに貯蔵し続けてきた。

 水漏れは当初から確認されていたが、原燃は結露水などと説明。漏水量が増えたため、昨年十二月に異常出水として公表、調査を始めたのが今年一月である。

 こうした経緯をみると、工事の問題、プールの安全性に対する不信ばかりでなく、検査をきちんと行ったのか、水漏れを軽視していたのではないかなど、原燃の対応にも疑問を持たざるを得ない。

 業者は、使用済み核燃料を貯蔵しているほかの二つのプールも溶接している。原燃は、同様の不良溶接が行われた可能性があると認めている。

 ところが、ほかのプールの検査は、漏水プールの最終調査結果がまとまり、原因確定後に検討する考え。この間、使用済み核燃料の搬入は計画通り進める、という。

 漏水がないから安全、と言いたいようだ。だが、これは、安全性を二の次にした結果オーライの姿勢にしか見えない。ほかのプールは使用中だが、検査は技術的に可能という。直ちに着手すべきだ。

 検査の結果、ほかのプールでも不良工事・不良個所が見つかり、補修が必要になって稼働が長期間ストップすれば、全国の原発は搬出先を失う。原発の運転自体に影響が出る可能性もある。

 だからといって、プールの安全性を確認しないまま受け入れを続けることは、県民を納得させられないだろう。これまで必要性を認めてこなかった予備プールの増設も、検討すべきではないか。

 原燃が、漏水個所を特定したとの見解を白紙に戻し、貫通した穴は見つからなかったと発表した九月、「原因が分からないままの搬入継続は、県民に不安を与える」との意見が出た。これは、反核燃団体ではなく、推進する側の与党県議の県議会での指摘である。

 核燃問題に対する県民の目も、厳しい。東京電力の原発トラブル隠し問題が発覚してからは、原子力施設の安全性だけでなく、事業者への信頼も失われかけている。

 不良工事は、その不安・不信を増幅させた。だが、県は、漏水原因の徹底糾明を求めつつ、搬入については当面認めた。これでは県民の不安は解消しない。

 県は、先の核燃料サイクル協議会で、東電のトラブル問題に絡んで、原子力安全・保安院の経済産業省からの独立を政府に要請。回答によっては、搬入拒否もあり得る、との姿勢を打ち出した。

 不良工事問題にも厳しく臨み、漏水していないプールの早急な精密検査などを求めるべきだ。 




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