1. 真空管
短波だから高能率の球を使いたいと張り切って、まだ使ったことの無いハイgm管などをずらりと並べる紙上プランは楽しい
ものですが、使ってガッカリ、発振の押さえようもなく、数日かかって発振を止めたら、蚊の鳴くような声しか出ないというようなこ
とが極めて多いものですから、一度は必ず平凡な球で完全に鳴らして、次の段階に、これをハイgm管なり何なりに変更して実験
してみるという道すじを通るべきです。第1図の球は、6D6、6W-C5などという、古くさい球ですが、こんな球でやるのも以上のよう
な理由からです。もちろん個々に使用した球に相当するGT管やmT管を使うのは何ら差しつかえありません。
2. 回路
数台の製作に味をしめて、今度は少し新規な方法でやって見たいと、あちらの本こちらの雑誌から、変わった回路を引き出し
て、新回路ならぬ珍回路を案出している人がずいぶんいます。しかし高能率なラジオは新回路によってできるものでなく、極く平
凡な回路でも、これを合理的に組立てて、完全な調整を行なうことが最も大切で、新回路は平凡なものをよくマスターした後に手を
加えて試みるべきものと思います。なーんだありふれた回路、と思う人も、本当にそれを我が物にしているでしょうか。特に初めて
作る方は、最も標準となる回路を選ぶべきで、第1図 (注6D6-6WC5-6D6-6ZDH3A-42- 80-6E5の3バンドラジオ) はこの意味で、
どなたにもおすすめできるものです。
3. 回路の疑問
(1) 「高周波増幅間はコイルを通さず、6D6のグリッドを250pFのコンデンサーできって1MオームからAVC電圧を加える
のは」。
短波帯のコイルは巻数が少なく、特にDバンドなどは5回位しか巻いてありませんから、同調回路内の配線は、できるだけ短くし
なければなりません。もし5球スーパー式でやりますと、同調回路内にQの低いチューブラーが入り、しかも規定とおりの長さにな
かなか配線できません。その上チューブラーには、ナチュラル(固有周波数)があるので、その周波数で障害が起こりやすいのです。
本図のような並列き電式で行いますと、抵抗を高周波型か1/4Wさえ使用すれば何の心配もいりません。ただ、ここに大型抵抗を
用いますと抵抗の持っているナチュラルのためにデットポイント (死点といって感度のなくなる点) が生ずることがあります。
(2) 「6W-C5にAVCをかけてありませんがなぜですか」。
6W-C5へAVCをかけますと、AVC電圧の変化でG2、4の電圧が変わり、このために発振周波数が浮動するので、特に安定であ
りたい短波帯ではAVCをかけないほうが安全です。また10MC以上ではG3電流が流れることがあり、AVCに接ないでいると感度
低下の原因になります。RFとIFで充分AVCは働きますから、変換管にはAVCをかけないほうが安全です。
(3) 「6ZDH3Aのカソード抵抗は入れたほうが良いのか悪いのか」。
是非入れてください。カソードを直接アースして、三極管のグリッドへ5Mオーム位の高抵抗を入れるグリットリークバイアス法は、入
力が大きくなると歪が球に増して来ます。又、カップリングコンデンサーの絶縁も問題になってきます。VRがスムーズにきかないの
はこのためです。10mV位の低レベルで働かせるプリアンプでさえ、リークバイアスの歪を問題にしはじめています。--安価な12Fな
どの5球スーパーだけにリークバイアスをお使いください。
10μFの電解コンデンサーに0.01μFのコンデンサーが並列に入っているのは何故ですか。
電解コンデンサーは周波数が高くなると電流が通り難くなります。又、ナチュラルを持っています。従って、短波受信機には、ケ
ミコンにバイパス (側路) が必要になるのです。 (本機では減結合回路にパスコンを使用してある)
(4) 「コイル(パック)の配列が、ANT-RF-OSCになっている理由は」。
一度使ってみればこの配列が最も合理的なことが解かります。配線が交叉しない。最短に配線できる。OSCとANTが遠いので、
局部発振を外部へ発射することが少ない、などが主なる特徴です。局部発振を別にしたセパレート方式の時は、これと正反対の
配列が用いられます。OSCを中に挟む方法はおすすめできません。
(5) 「高周波にはチューブラーよりマイカの方がよいといわれてますが」。
その通りで、ナチュラルの問題になるチューブラーはなるべく短波受信機の高周波には避けたいものです。しかし、実際には、チェ
リーとかルビーなどの有名品では、充分23MCまでなら実用になりますので、本機はチューブラー型を使いました。
(6) 「中間周波トランスに広帯域を使って音質の良い3バンドを作りたいとおもいますが」。
短波帯ではなにより混信が問題ですから、分離の悪い広帯域 IFT(広帯域と選択度は両立できない) では無理で中帯域のトリオT
−6とかT−20などを使うべきです。多少高音が欠けてもよければT−11型2段用狭帯域にすれば感度も分離もすばらしいセット
になります。
4. 配置のキーポイント
配置が何より大切です。配置のキーポイントは、頭と尻尾を近づけるなということです。
たとえば6D6 (RF) と42を近づければ必ずブーブー発振します。6W-C5とDH3Aを並べれば910KCと1365KCでブーブー唸ります。従
って、平凡ながら実体図のような配置が最もよいわけです。これは検波された後にも中間周波や高周波が少なからず混入しており、
入力側より大きく、しかも位相がずれているので、悪い配置ではこれが元に戻って発振するものです。パーツの取付けは実体図を
見ていただけばわかると思いますので省略いたします。
5. 配線のキーポイント
高周波回路のアースはニアバイアースで。ニアバイアースというのは最短距離でシャーシーへ接続することです。俗にいうワ
ンポイントアースという方法はアース線が長くなるのでストレーインダクタンスが増しさまざまな障害が起こりますからやめてください。
遠慮せずにバリコン、コイル、抵抗、チューブラーなどドシドシ最短距離でシャーシーへ接続して下さい。シャーシーが鉄なら、アース
点をよく磨いて直接半田ずけして下さい。ニュームなら卵ラグをスプリングワッシャーでしっかり止めてこれに半田ずけします。ラグと
ラグは1ミリ位の銅線で接続しておいたほうが良いでしょう。
バリコンはセクション毎にニアバイアース。 三連バリコンは各セクション毎に3つの異なった電流が流れているのでアースリー
ドを1本にすると3つの電流がこの中を流れて干渉し、発振したりさまざまな障害の原因になります。又このリードをシャーシーの下に
引き込んでソケットの近くまで延ばす人がいますが、このリードがインダクタンスを持ち、隣のリードと干渉してトラブルを起こすことが
あります。シャーシーは非常にローインピーダンスですから共通につかっても心配は無いのです。
ヒーターは2本撚り合わせて、DH3Aと6WC5のところでアース。5球スーパーなどでよくやるヒーターの片側をアースライン代用
にするのはいけない。必ず2本で行い、DH3Aのところでアースします。ところが3バンドのときは、ヒーターとカソードの容量を通じて
6D6と6W-C5とが結合することがありますので6W-C5でアースしておけば障害は起きません。Dバンドの中途で異常発振の起きると
きは、この方法で殆ど直ります。
半田付けのキーポイント。 引張って抜けるような半田付けは雑音のもと。いつも半田ごては半田メッキされてピカピカ光っていな
ければいけない。酸化して黒くなったこてをいくら長くつけても熱は酸化膜に遮断されて美しい半田付けはできません。抵抗や、チュ
ーブラーのリードはニッパーで一度表面を磨いて生地を出し、ペーストを少し付けて半田メッキしておきます。一方、ソケットやラグに
も半田メッキしておけば気持ちよく半田はとけあってかたく付いてしまいます。(以下略)
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