1-2 ベクトル其の弐
だが、それがいい
前田慶次郎(傾奇者)
1-1.3でベクトルを具体的な数値で表す方法は分かりました。
今度は基本的な演算をやってみましょう。
ベクトルAとスカラーaの乗除算は次のように定義されます。

(式1-2.1)
ベクトルの成分をスカラーで掛けたり割ったりしているだけですね。
a>0の場合、aAはAと同じ方向になります。
a<0の場合、aAはAと正反対の向きになります。
ベクトルの大きさを具体的な数値で表す方法を考えて見ましょう。
もう一度
(図1_1.2)を見てください。
三平方の定理(ピタゴラスの定理)から、2次元ベクトルAの大きさ|A|は

(式1-2.2)
で与えられることが分かります。分かれ。
各成分を実数とすれば、
朗らかに明らかに|A|>=0となります。
|A|をベクトルの長さとか絶対値とかノルムとかいったりもします。
3次元は例によって
サンプルプログラムです。
原点から赤い玉に向かうベクトルをAとし、AのXZ平面(XY, YZでもかまわんが)への
正射影ベクトルA'を考えます。A'はXZ平面上の2次元ベクトルと考えられるので、
その大きさ|A'|は(式1-2.2)で求まります。AはY軸とA'を含む平面上にあるので、
|A|も(式1-2.2)で求まります。まとめると

(式1-2.3)
となります。2次元と同じ形式ですね。ようするに各成分の自乗の和の平方です。
4次元以上のベクトルの"長さ"も同様に定義されますが、それはまた別のお話。
いきなりですが、大きさが1のベクトルのことを単位ベクトルといいます。
ついでに、大きさが0のベクトルを零ベクトルといいます。
ベクトルAと同じ方向の単位ベクトルを求める演算を正規化(normalize)といいます。
正規化は、次のようにして行います。

(式1-2.4)
ベクトルAの各成分をベクトルAの大きさ|A|で割るっちゅうことです。
ベクトルAが零ベクトルの場合は正規化できません。0除算になってしまいます。
で、それがなんの役に立つというのだ?
訪問者(苛立っている)
まだ具体例を挙げる段階ではないのですが、大きさが不要なベクトル、
例えば方向のみを表すベクトルの場合、正規化しておいたほうが色々と都合がいいんです。
(図1-1.1)を見てください。
マウスの変位ベクトルをD, その大きさをd, Dを正規化したベクトルをVとすると、
D = dV
と書くことが出来ます。変位をその方向Vと大きさdに分解したということです。
では位置ベクトルはどうでしょうか? 移動前後のマウスの位置ベクトルを
それぞれA, A'とすると、AからDだけ移動したのがA'なのですから、
A' = A + D
となります。というわけで次はベクトル同士の加減算です。
ベクトル同士の加算は、次のように定義されます。

(式1-2.6)
対応する成分同士を足すだけです。減算も同様です。
いきなり縦で書いたのは、たいした意味はありません。
幾何学的に書くと、2次元ではこのようになります。

(図1-2.1)
一方の始点をもう一方の終点に一致するように平行移動させ、
例えばBの始点がAの終点にくるようにBを平行移動させたものをB'とすると、
Aの始点からB'の終点に向かうベクトルがA+Bとなります。
A+Bの成分は(Ax+Bx, Ay+By)となっているのが図から分かります。
減算の場合、
A + B = A + (-B)
と書けるので、Bを反転させたものをAに加算すればよいことになります。
3次元の場合も2次元と同様になります。
ここまでに出てきた演算では、次の法則が成り立ちます。
任意のベクトルA,B,Cと任意のスカラーa,bについて、

(式1-2.7)
XYZの各軸と平行な単位ベクトルをi,j,kとしてみます。
これを用いると、ベクトルA=(Ax,Ay,Az)は、

(式1-2.8)
と表すことができます。このi,j,kを、基本ベクトルといいます。
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ベクトル其の参