21.故郷

本文

予言者は故郷に入れられず。」――それはあるいはクリストには第一の十字架だったかも知れない。

彼はついには全ユダヤを故郷としなければならなかった。

汽車や自動車や汽船や飛行機は今日ではあらゆるクリストに世界中を故郷にしている。

勿論またあらゆるクリストは故郷に入れられなかったのに違いない。現にポオを入れたものはアメリカではないフランスだった。


予言者は故郷に入れられず・・・マタイ13章53〜イエスがナザレで説教をしていると、その地の人々は<この人は大工の子ではないか>といって相手にしなかった。

第一の十字架・・・クリストにとって最初の受難は、ナザレで受け入れられなかったことである。

全ユダヤを故郷と・・・ユダヤ全土で受け入れられなくなった。

現にポオを入れたものは〜・・・ポーはアメリカの詩人だが、はじめは英語圏で認められなかった。


ナザレの人々は、クリストを子供のころから知っていました。そんなクリストがジャーナリストとして天国を説いたとしても、ナザレの人たちは相手にしなかったのです。「大工の子が、何を言っているのか」人々はそう言い、ジャーナリズムをまともに聞こうともしませんでした。

ボヘミアン・クリストは、ナザレのみならず多くの地域のことを肌で感じていました。ナザレの人たちには絶対の考え方(疑いを持たずに信じているもの)も、クリストの目から見れば愚かなこともあったのに違いありませんが、地域の特性を壊す<預言者>は、その地方から去らなければならないのです。

そして交通機関が発達するにつれて、徐々に世界は狭くなる一方、天才たちを受け入れる場所は少なくなっていくのです。