本文
ピラトはクリストの一生には唯偶然に現れたものである。彼は畢に代名詞に過ぎない。
後代もまたこの官吏に伝説的色彩を与えている。しかしアナトオル・フランスだけはこういう色彩に欺かれなかった。
ピラト・・・イエスを十字架にかけたローマの総督。
代名詞・・・だれでもよい、という意味。ピラトでなくとも、イエスは十字架にかけられたのである。
伝説的色彩・・・さまざまな小説で非業の死をとげる。
アナトオル・フランス・・・フランスの小説家。「ユダヤの代官」という作に、イエスを処刑したことを忘れ去ったピラトを描いた。
クリストを十字架にかけたピラトは、後代の憎しみを受けることになりました。しかし、もし代官が誰であっても、クリストは十字架にかかる運命だったのです。<聖霊の子>として。ピラトが受けるべき憎しみは、不当なものです。