33.ピエタ

クリストの母、年をとったマリアはクリストの死骸の前に歎いている。――

こういう図の Pietaと呼ばれるのは必ずしも感傷主義的と言うことは出来ない。唯ピエタを描かうとする画家たちはマリア一人だけを描かなければならぬ。


ピエタ・・・イタリア語、敬謙な哀悼の意味。マリアがキリストの体を抱いて悲しんでいる絵画や彫刻など。

感傷主義・・・理性よりも感情を重んじる傾向。


クリストの死体を抱き悲しむマリアの姿は、14世紀以降多くの芸術家が題材にしてきました。

母が我が子の死を悲しむのは自然の感情であり、感傷主義というのはあたりません。

しかし、17章で述べた通り、クリストにとってマリアは母ではなかったのです。感情の行き来は、マリアからクリストへの一方通行であり、Pieta の図はマリアの姿だけでなければならないのです。