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サドカイの徒やパリサイの徒はクリストよりも事実上不滅である。この事実を指摘したのは「進化論」の著者ダアウィンだった。彼等は今後も地衣類のようにいつまでも地上に生存するであろう。
「適者生存」は彼等には正に当嵌まる言葉である。彼等ほど地上の適者はない。彼等は何の感激もなしに油断のない処世術を講じている。マリアは恐らくクリストの彼等の一人でなかったことを悲しんだであろう。
ゲエテをベエトホオヴエンの罵ったのは正にゲエテ自身の中にいるサドカイの徒やパリサイの徒を罵ったのだった。
サドカイの徒やパリサイの徒・・・イエスの時代に盛んだったユダヤ教の一派。イエスとは激しく対立していた。しかしここでは、聖書的な意味ではなく、<天才を理解しない犬>の意味で書かれている。
地衣類・・・苔植物。<地上>という言葉からも、天上を目指すクリストと相容れない存在であることがわかる。
「適者生存」・・・環境に適応するものは存続し、適応しないものは淘汰されていくという自然の法則。
何の感激もなしに・・・正編8の、<一行の詩さえ残したこともなしに>と同意語。
サドカイ・パリサイの徒は、クリストを十字架につけた者たちとして名を残すことになりました。
彼らはヘロデ・カヤパ・ピラトといった人々の影に生息し、つねに周りの環境に応じて生き長らえています。クリストが<神の子>となった今、彼らはクリスチャンとして今も存在しつづけているのです。
ベートーベンがゲーテを罵ったのは、ゲーテが長寿を全うした人物であった、つまり晩年には<サドカイの徒やパリサイの徒>の一人になっていたからです。
<守らんととするもの>マリアは、クリストがこの人たちの仲間であることを願っていました。そうすれば十字架の悲劇は起こらなかったのですから。・・・・・・
諸論文には、クリストの<地上指向>や芥川の<マリアへの同情>を説くものもあります。しかし天才を理解しないものを<犬>と罵る芥川が、<サドカイの徒やパリサイの徒>に近いマリアに同情を示すという説は、成立たないものと考えます。