本文
兵卒たちは十字架の下にクリストの衣を分かち合った。
彼等には彼の衣の外に彼の持っていたものは見えなかったのである。彼等は定めし肩幅の広い模範的兵卒たちだったのに違いない。
クリストは定めし彼等を見おろし、彼等の所業を軽蔑したであろう。しかしまた同時に是認したであろう。クリストはクリスト自身の外には我々人間を理解している。
彼の教えた言葉によれば、感傷主義的詠嘆は最もクリストの嫌ったものだった。
クリストの衣を分かち合った・・・ヨハネ19章23
彼の持っていたもの・・・物質的なものではなく、精神的なものである。
彼の教えた言葉・・・マタイ6章16−18がこれに相当すると思われる。<断食をする時は偽善者のように、陰気な顔つきをするな。〜>
兵卒たちはクリストの唯一の持ち物ともいうべき衣を奪い取りました。彼らにはクリストという人物のジャーナリズムを理解する能力はなく、物質にしか目が行きません。彼らは精神的な物を求める頭はなく、体だけたくましいという、見かけだけの人々なのです。
クリストは十字架の上から彼らを見て、その物質主義を軽蔑したものの、同時にしかたないことと思ったのではないでしょうか。
現実(十字架上で死を迎えること)に目を向けずに悲劇の主人公を演じることは、クリストは嫌っていました。<虚栄心>に違いないのですが、クリストはこの悲劇の中にあっても、みずからの<詩的正義>のために戦おうとしていたのです。