2007/06/10
新丁寧語
コンビニやファミレス、ファーストフードなど、従業員の多くがアルバイト少年少女で占められている世界だけで聞かれる奇妙な奇妙な敬語(?)を集めてみました。当庵ではこれを「バイト敬語」と呼んでおりましたが、最近世間様ではこの手の言葉を新丁寧語と呼ぶそうです。敬意が存在するわけではないので敬語と呼ぶ事自体正しい日本語ではないが、一応丁寧な物言いをしたいという意欲はあるよ、という意味に解釈いたしましょう。
| 〜になります。 | なっております。 |
| “のほう”言葉 | よろしいですか。 |
| よろしいでしょうか。 | よろしかったでしょうか。 |
| お揃いですか。 | 1万円“から”お預かりします。 |
| 形になります。 | 失礼しま〜す。 |
| お名前様 |
先日お名前様を編集していてふと気付いたのですが、やはりこれは一種の郭(くるわ)言葉ですね。郭言葉というのは勿論かつての郭、つまり売春宿に於いて使われていた特殊な言葉です。
「花魁(おいらん)の、お出ましで、ありんすえ〜。」
だの
「主(ぬし)さん、また来なしゃんし〜。」
だのといった特殊なイントネーションと言い回しの変な日本語です。
何故こういう言葉が必要とされたのか、理由は簡単です。彼女らの出身を隠すためです。なにしろTVやラジオの放送もなく、人の行き来が不自由であった時代には、今より地域ごとの方言が遥かに強かったはず、かつ社会階層別の言葉も全く違っていたはずです。そこへ地方の農村から人身売買で駆り集めてきた女性達を侍(はべ)らせるには、彼女らが何処のどんな身分の出身であるかを言葉では判らないようにする必要があったのでしょう。素顔を隠せる程度の奇妙さと、しかし最低限の意味は通じる程度の意思伝達機能を持った日本語、その一つがこの郭言葉です。そしてこの頁の主題である新丁寧語の必要性も全く同じですね。
意志疎通を図るつもりは一切無いが、少なくとも注文を受け、代金を受け取る程度には意味が通じる、かつそのやり取りで人柄が評価されたり自尊心が傷付いたりする事はない程度の防御と意思伝達の機能、それが何時の時代でも必要とされる郭言葉なのでしょう。さあさ、思い付くままに並べてみました。是非声に出して味わってください。