2009/01/11

クライマーズ・ハイ

 1985年8月12日夕刻、私はその年結婚したばかりの妻と、愛知県は知多半島の海水浴場で夏休みを過ごしていました。その数年前から私の勤め先も、夏には連続1週間の休暇を取れるようになっていたのです。妻の胎内にはその後私の長男となる者が宿っていました。TVは「ザ・デイ・アフター」をやっていました。人類を滅亡させる核兵器が爆発した辺りだったでしょうか、TVにはその映画より遥かに衝撃的なテロップが流れました。日航機がレーダーから消えた由。史上最悪の航空機事故はこうして私の目の前に現れました。

 これはその事故を題材に、架空の新聞社を舞台として作られた、複雑でテンポの速い映画です。はっきり言ってかなり解りにくい映画でもあります。主人公は特ダネ大スクープのネタを手に入れながら、掲載することを躊躇い、ライバル紙に抜かれます。それによって、非常な苦労をしてその情報を入手した部下の仕事も無駄になります。その結果社内で孤立し、結局その新聞社を去ります。いや、、本当に去ったのか、結局戻ったのか解りにくい作りになっています。ちっともハッピーエンドじゃないし、結局作者は何が言いたかったのかよく解りません。最後に主人公はこの事件とは余り関係なく長年断絶していた息子に会いに行きます。それを以って何となくハッピーエンドらしいエンディングにはなっていますが、物語の根幹はやはりよく解りません。よく解らない最大の原因は、台詞が非常に、非常に聞き取り難いことにもよります。

 短いシーンで重要な台詞が素早く出てくるので、何度も何度もDVDを止め、少し戻ってまた再生するということを繰り返しましたが、イヤフォンを使ってかなり音量を上げ、何度繰り返して聞いても何を言っているのか全く聞き取れないシーンが幾つかあり、途中で投げ出しそうになりました。最近そういうことが増えているのは事実なのですが、この作品は特に酷いです。いっそ日本語音声でかつ日本語字幕付きにして欲しいぐらいです。音楽はとても素晴らしく、「愛を乞う人」以来で見る元秘書役の女優さんも良かったのですが。

 あの事故は確か乗員・乗客合わせて524人乗っていて、生存者は僅か4人だったと記憶しています。あの時妻の胎内にいた長男はその後無事に授かり、先日23歳の誕生日を祝いました。もうすぐ就職します。あの時あの飛行機に乗らなければその後も生きられたであろう520人の魂安かれとお祈りします。

合掌

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