2008/07/12

earth

 先週発売・貸出開始されたばかりのDVDで見ましたが、やはり「しまった」と思う映画でありました。ある種の映画はTV画面で見ちゃダメです。最初の一回目は銀幕で見なきゃ。古くは「鉄道員」がそうでした。これはDVDで見て「しまった」と思いましたが、二番館とか名画座といった商いが廃れてしまった最近、ロードショウ公開時期を逃して銀幕で見るチャンスは殆どありません。「鉄道員」に関してはその後東京インディペンデント映画祭という趣味人系のお祭りで上映され、監督と助演男優のトークショー付きで見ることができました。

 で、このearthです。よく撮ったねえ!と感心する映像の連続です。特に象が泳ぐシーンを直近の水中から撮っていますが、殆ど命懸けに見えます。鯨の親子が南極までたどり着く前にシャチかホオジロザメの餌食になるんじゃないか、もしそうならそのシーンは見たくないと思いつつ見続けましたが、余り残酷なシーンは無く家族でも安心して見られます。サメがオットセイを咥えてジャンプするシーンは撮影者に「良い仕事してますねえ」と骨董からくさの店主氏みたいな声を掛けたくなる出来でありました。観客がオットセイに感情移入する時間は与えられませんから残酷な印象はありません。

 この星にこんな美しい四季があるのは、50億年前小惑星との衝突で地軸が23.5度傾いたため、という説明が冒頭にあります。考えてみれば宇宙の片隅で恒星を中心に惑星系が出来上がる過程に於いて、何か特別な力が働かなければ公転面と自転軸が傾くということもなさそうな気がします。もしその出来事が無く、地球の自転軸が公転面と垂直になっていたら、この星には四季も無く、日本国は常春の国になっていたはずです。その場合は初夏の初鰹も冷たいビールも熱燗鍋料理も花火大会もスキーも無い国になります。そう思うとこの蒸し暑さも愛しいものに見えてきます。この美しい自然を100年後、1000年後、100万年後まで残すためには、何はさておき人類が早く絶滅するか、少なくとも石油文明の終焉が来て、人類の生息数が石油文明勃興以前まで減少する必要があるのかもしれません。ちょうど明日から洞爺湖サミットです。人類が絶滅しないで地球環境と共存する方法を考え出して欲しいものです。その可能性は全く無いような気もしますが。2008/07/06


 サミットも無事閉幕したようです。1000kmの彼方にある湖の畔で国際会議が行われると、東京では交差点ごとにお巡りさんが立ち、駅のゴミ箱とコインロッカーが封印されるという、大変狭い世の中になっておりますが、特にテロも起きないまま平常に戻れて何よりでありました。で、この大山鳴動した大騒ぎ会議で何が決まったかと思い調べて見ました。解り難いんですねこれが。結果がどうなったのか大変解り難いという事実がつまり起きた事を大変解り易く説明してくれています。そのなかでもどうやら正確そうな情報を伝えてくれているのがこちらのようで、肝心の部分を引用します。

> 2050年までに世界全体の排出の少なくとも50%削減を達成する目標というビジョンを、UNFCCCの全締約国と共有し、かつ、この目標をUNFCCCの下での交渉において、これら諸国と共に検討し、採択することを求める。

難しいお話ですが、要するに地球人類全体で向こう42年後までに温暖化ガス排出量を半分にしましょうね、ということを約束したわけではなさそうです。そういうことを今後実現していくべく検討しましょうね、という総論を確認したということのようです。「い〜や。温暖化ガスこそ人類の宝である。その排出抑制など笑止千万である。」という人はいなかった、というそれだけです。映画「県庁の星」でも描かれているとおり、政治の世界で“検討”という言葉が出たらそれは“結果は約束していない”という意味ですから、これを以って42年後に温暖化ガスの排出が半減すると思う人は殆ど居ないでしょう。

 そもそも今回の参加メンバーで42年後に現役どころか生きていそうな人もいません。私もまず生きていません。もし42年で50%という目標を本気でやるなら、少なくとも途中5年単位、できれば2〜3年単位にどういうやり方でどの部分で何%減らしていき、最後42年で50%達成の見込み、という計画を立てるはずですが、そんなものもありません。また50%という値の根拠もよく解りません。どの時点を基準とする50%なのか、またそれを達成すれば人類は存続可能なのか、誰も説明していません。温暖化ガス排出を50%減らすかなり確実な方法は、地球人口を50%減らすことでしょうが、予想されるH5N1型インフルエンザのパンデミックが起きたとしてもそこまでの人口調節機能はなさそうに見えます。可能性としては今後の資源・食料争奪戦から終末戦争に発展した場合ぐらいでしょうが、この場合は温暖化ガス排出量削減目標は達成しても、環境汚染はより破壊的になってしまうでしょうね。

 環境破壊は1980年代半ばで既に後戻り可能ポイントを過ぎているという説明なら読んだことがあります。私はチームマイナス6%の個人会員でして、クールビズ・ウォームビズを実行し、自宅でも冷房はできるだけ使わず、電球色蛍光灯と風呂敷を愛用していますが、2050年に地球は私の子供達が生存できる環境を維持しているのかいないのかとても気がかりです。北極熊の親子が生き延びられるかよりずっと気がかりです。2008/07/12

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